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未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された

2021-08-13

未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された

未成年者誘拐事件告訴逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県知多市に住むAさんは、会員制交流サイト(SNS)において、女子中学生のVさん(15歳、愛知県知多市内在住)が「家出したい」と書き込んでいるのを見つけました。
そこで、Aさんは「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込みました。
後日、Vさんから事情を聞いたVさんの母親は事態を重く見て、愛知県知多警察署未成年者誘拐罪の告訴をしました。
その結果、Aさんは、愛知県知多警察署の警察官により、未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
(2021年2月3日に中日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【未成年者誘拐罪とは】

刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

未成年者誘拐罪は、「未成年者」を「誘拐」した者に成立する犯罪です。
未成年者誘拐罪の「未成年者」とは、「20歳未満の者」(民法4条)をいいます。
例えば、刑事事件例のVさんは15歳であるため、20歳未満の者であるとして、未成年者誘拐罪の「未成年者」に当たります。

また、未成年者誘拐罪の「誘拐」とは、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移すことをいいます。
刑事事件例では、Aさんは、「家出したい」と書き込んだVさんに対して、「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送っています。
このAさんの行為は、誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)行為に当たると考えられます。
そして、Aさんは上記誘惑行為を手段として、Vさんを自宅に連れ込んでいます。
このAさんの行為は、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為に当たると考えられます。

よって、AさんによるVさんに「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込むという行為は、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為として、未成年者誘拐罪の「誘拐」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。

【未成年者誘拐事件の刑事弁護活動】

刑法229条
第224条の罪…は、…告訴がなければ公訴を提起することができない。

未成年者誘拐罪は、被害者の方の名誉を保護するという観点から、「告訴がなければ公訴を提起することができない」親告罪であるとされています。
告訴とは、検察官または警察官に対して、犯罪事実を親告して、被疑者の方の処罰を求める意思表示のことをいいます。
また、告訴は、被害者の方(刑事訴訟法230条)またはその法定代理人(刑事訴訟法231条)がすることができると規定されています。
刑事事件例でいえば、未成年者誘拐事件を担当する検察官がAさんを未成年者誘拐罪で起訴するためには、Vさんかそのご両親の方が告訴をしている必要があるといえます。

ここで、刑事事件例では、既にVさんの母親が未成年者誘拐事件告訴をしていますが、刑事訴訟法237条では「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定されているため、Vさんの母親は未成年者誘拐事件告訴を取り消すこともできます。

そこで、刑事弁護士としては、被害者の方の母親と連絡を取り、正式な謝罪と相当な被害弁償をするので未成年者誘拐事件の告訴を取り下げてもらえないかと交渉することができると考えられます。
刑事弁護士による示談交渉により、未成年者誘拐事件告訴を取り下げてもらうことができれば、Aさんは未成年者誘拐罪で起訴されることはなくなると考えられます。

未成年者誘拐罪のような親告罪では、刑事事件(特に示談交渉)に強い弁護士を選任することにより、円滑に示談を進めていくことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
未成年者誘拐事件告訴逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)

2021-08-07

愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)

愛知県豊山町傷害事件同時傷害の特例)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県豊山町に住むAさんは、知人のBさんと愛知県豊山町内の歩道を歩いていたところ、Vさんに因縁を付けられたため、Vさんに対して暴行を加えました。
その際、BさんはAさんに加勢もせず、ただAさんによる暴行を見ているだけでした。
その後、Aさんは現場から立ち去りましたが、その場に残っていたBさんが倒れこんでいたVさんに殴る蹴るなどの暴行を加えました。
その結果、Vさんは全治2週間の怪我(傷害)を負ったとして、愛知県西枇杷島警察署の警察官に傷害事件の被害を訴えました。
Aさんは愛知県西枇杷島警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
Vさんの怪我(傷害)はAさんとBさんのどちらの暴行によるものなのかは分からないとのことです。
(2019年10月4日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪や暴行罪といった犯罪は、刑事事件のニュースや新聞でよく耳(目)にする犯罪ですが、傷害罪と暴行罪の違いは何でしょうか。

傷害罪については、刑法204条が以下のように規定しています。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の「傷害」(刑法204条)とは、人の生理機能を害することをいうと考えられています。
例えば、切り傷、打撲傷、骨折などはいずれも人の生理機能を害する傷害罪の「傷害」(刑法204条)にあたるといえます。

これに対して、暴行罪については、刑法208条が以下のように規定しています。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪のいう「暴行」(刑法208条)とは、人の身体に対する有形力(物理力)の行使をいいますが、刑法208条に規定されている通り、暴行罪は、「暴行」を加えたが、その結果「傷害」が生じなかった場合に成立することになります。

ところで、刑事事件例では、Vさんは怪我(傷害)を負っていますが、AさんとBさんのどちらの暴行行為により怪我(傷害)が生じているのか判明していません。
このような場合、Aさんには傷害罪と暴行罪のどちらが成立するのでしょうか。

【同時傷害の特例とは】

刑法207条
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくとも、共犯の例による。

刑法207条の同時傷害の特例は、以下のような場合を想定して規定された条文です。

加害者が二人いて、彼らは意思疎通(共謀)をすることなく被害者の方に暴行を加え、被害者の方は怪我(傷害)を負った。
しかし、被害者の方の怪我(傷害)が、加害者のうちどちらにより生じたのかが分からない。
暴行行為と怪我(傷害)に因果関係があるか分からないのであれば、加害者たちにはそれぞれ傷害罪ではなく、暴行罪が成立するのではないか。

刑法207条の同時傷害の特例は、以上のような場合を想定し、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと「推定」するものです。
この刑法207条の同時傷害の特例により、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと推定されると、推定が破られない限り、加害者たちにはそれぞれ傷害罪が成立することになります。

ここで刑事事件例をみてみると、加害者はAさんとBさんの二人であり、AさんとBさんは意思疎通(共謀)をすることなくVさんに暴行を加え、Vさんは怪我(傷害)を負いました。
しかし、Vさんの怪我(傷害)が、AさんとBさんの暴行のうちどちらにより生じたのか分かっていません。
そこで、刑法207条の同時傷害の特例が適用され、Aさんの暴行とVさんの怪我(傷害)の因果関係が推定され、推定が破られない限り、Aさんには傷害罪が成立することになります。
これはBさんにも同じことがいえ、Bさんにも傷害罪が成立することになります。

このように刑法207条の同時傷害の推定が働いた場合において、それでも傷害罪の成立を否定したいときは、自身の暴行と怪我(傷害)の間に因果関係がないことを立証していくことになります。
例えば、自分の暴行は被害者の方に怪我(傷害)を与える程度のものではないと主張・立証することになります。

傷害事件という名前だけ聞くと単純な刑事事件のように思えても、詳細な事情を専門的に細かく検討しなければならないこともあります。
だからこそ、弁護士への相談・依頼が重要なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊山町傷害事件同時傷害の特例)でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

NHK総合おはよう日本で則竹理宇弁護士が取材協力及びコメント映像出演

2021-07-20

2021 年 7 月 17 日(土) 午前 7 時~放送のNHK総合おはよう日本「特集けさのクロース゛アッフ゜」で、児童ポルノ事件に詳しい弁護士として弊所代表の則竹理宇弁護士が取材協力及びコメント映像出演を致しました。

 

【番組 URL】 https://www.nhk.jp/p/ohayou/ts/QLP4RZ8ZY3/blog/bl/pzvl7wDPqn/

 

番組では、「児童ポルノ被害 拡散背景に違法サイト」という特集の中で、コロナ禍て゛拡大する児童ポルノビジネスの様相、犯罪摘発の現場、そして被害者救済の現場から長期化する被害の実態や被害をなくすために社会は何か゛出来るのか考える内容となっております。
弊所代表の則竹理宇弁護士は、児童ポルノ事件を多数取り扱ってきた刑事弁護士としての立場から、一般人でも気軽に参入できる児童ポルノの売買の実態や、児童ポルノ及び自撮り被害の現状について取材協力及びコメント映像の提供をしております。

強要罪と逮捕

2020-12-18

強要罪と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、SNSを通じて千葉県長生郡一宮町に住むVさん(15歳)と知り合い、たわいもない会話をする仲になりました。ある日、Aさんが冗談で「裸が見たい」と言ったところ、Vさんは「いいよ」と言ってAさんに裸の写真を送りました。
それからというもの、AさんはたびたびVさんに裸の写真を送るよう言うようになり、ついには「俺とセックスしないと写真をばらまく」などと言うようになりました。
すると、Vさんから「茂原警察署に相談します。もう連絡しないでください」と言われたため、焦って弁護士に相談しました。
相談を受けた弁護士は、強要未遂罪や児童ポルノの罪に当たることを指摘したうえで、逮捕の可能性について説明しました。
(フィクションです。)

~強要罪について~

暴行または脅迫を用いて、人に義務のないことを負わせ、または権利の行使を妨害した場合、強要罪が成立する可能性があります。
強要罪は、他人の意思決定を害するという点で脅迫罪と共通点を持ちます。
ただ、脅迫罪が単に脅迫のみを以て成立するのに対し、強要罪は暴行・脅迫により一定の作為または不作為を生じさせた際に成立するものです。
このことから、当然ながら強要罪の方が重い罪と考えられています。
実際、脅迫罪の法定刑が2年以下の懲役または30万円以下の罰金であるのに対し、強要罪の法定刑は3年以下の懲役です。
罰金刑が選択される余地がない点で、強要罪は脅迫罪との比較を抜きにしても重大な罪の一つと言えるでしょう。

一定の作為または不作為を目的とする暴行・脅迫はあったものの、相手方がそれに応じなければ、強要罪は既遂に至っていないということになります。
この場合には、目的を遂げられなかったとして強要未遂罪とされることもあれば、手段だけを切り取って暴行罪または脅迫罪とされることもあります。
他方、暴行・脅迫を手段として作為または不作為を生じさせたからといって、必ず強要罪が成立するとは限りません。
たとえば、行わせた行為が性交であれば、強要罪ではなく強制性交等罪となって扱いが変わってくることが予想されます。
このように様々な罪と関連することから、強要罪の成立を争う幅は比較的広いと言えます。

~逮捕から勾留までの流れ~

逮捕から勾留までは以下の経過をたどります。

①逮捕

②警察官の弁解録取→釈放?

③送致(送検)

④検察官の弁解録取→釈放?

⑤勾留請求

⑥裁判官の勾留質問→釈放?

⑦勾留(決定)

このように、逮捕から勾留までは警察官、検察官、裁判官が手続に関与します。
それは、逮捕、勾留という重大な権利侵害について慎重を期すためです。

⑦勾留されると10日間の身柄拘束が決定します。
その後、法律上は延長も可能性もあります。
仮に、勾留された場合は勾留に対する不服申し立てを行って早期釈放を目指す必要があります。
また、延長されそうな場合は検察官に働きかけを行ったり、実際に延長された場合は不服申し立てを行って早期釈放を目指します。

比較的長期間の身柄拘束である勾留回避に向けては、警察官、検察官、裁判官に対して働きかけを行っていきます。
具体的には、意見書を提出したり、場合によっては直接面談することもあります。
なお、通常、弁護士が初回の接見のご依頼を受けてから弁護活動を始めることができるのは早くても③の段階です。
したがって、検察官、裁判官に対する働きかけがメインとなってくるでしょう。
もっとも、逮捕前から弁護活動のご依頼を受けていた場合は警察官に対する働きかけも行っていきます。

長期の身柄拘束となると様々場面で障害が出てきますから、早期に釈放されることに越したことはありません。
早期釈放をご希望の方は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

傷害事件で勾留阻止

2020-12-10

傷害事件と勾留阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県小牧市在住のXさんは、駅付近の居酒屋で仕事帰りに会社の同僚とお酒を飲んでいました。同僚と飲むのは楽しく、Xさんは飲みすぎてしまい、歩くのもおぼつかなくなりました。途中でトイレに行こうと思ったXさんは、別の席で飲んでいたYさんにぶつかってしまいました。ところが、Xさんは酔いすぎており、Yさんにぶつかったことに気が付きませんでした。YさんがXさんを注意したところ、Xさんはかっとなって胸ぐらをつかみYさんを転倒させ、怪我をさせてしまいました。そこから、2人はけんかとなり、店員に呼ばれた警察に制止されるまでお互いに殴る蹴るといった状況が続きましたが、警察官によりXさんは逮捕されることとなりました。逮捕時の罪名は傷害罪でした。

(フィクションです。)

~傷害罪~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

まず、傷害罪の規定から分かることは、傷害の対象者は「人」の身体だということです。つまり、「人」以外の動物などを傷害しても傷害罪に問われることはありません(この場合は、器物損壊罪(刑法261条)に問われることになります)。また、「傷害」の意義については諸説ありますが、判例、裁判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害説に立っているものと思われます。打撲、骨折、創傷が「傷害」に当たることは明らかですが、中毒症状を惹起し、めまい、嘔吐をさせる、病菌を感染させるなども「傷害」に当たるとされています。

次に、規定上は単に「人の身体を傷害した」と行為の結果しか書かれていませんが、その前提として、

1 暴行の故意+暴行行為
2 傷害の故意+傷害行為

が必要とされています。暴行とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなどがその典型といえるでしょう。暴行の故意とは、要は、怪我させるつもりはなかったという場合です。この、暴行の故意で暴行行為を働き、結果、傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われ得ることになります。他方、傷害の故意とは、傷害させるつもりだったという場合です。傷害の故意で傷害行為を働き、結果、傷害を発生させた場合は傷害罪に、傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われ得ることになります。

最後に、暴行行為、又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。よって、例えば、暴行行為により被害者に骨折を負わせたとされても、暴行行為の前に、被害者が別の原因で骨折していたということが判明した場合は、「その行為がなくても結果は発生していた」といえますから因果関係は否定されることになり、傷害罪は成立しないことになります。

本件では、幸いにもVさんの一命は取り留められたようですが、仮に、その後Vさんが死亡した場合、Aさんはどんな罪に問われるのでしょうか?

刑法205条
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

これは傷害致死罪と呼ばれる罪名の規定で、Vさんが死亡した場合、Aさんは傷害致死罪に問われる可能性が出てきます。有期懲役の上限は20年(刑法12条1項)ですから、傷害罪に比べると格段に刑は重くなっています。また、裁判員裁判対象事件であるため、起訴されれば一般人が裁判員としえ裁判に参加することになります。ただし、傷害致死罪の場合も、行為(暴行行為、傷害行為)と死亡との間に因果関係があることが必要です。したがって、Vさんの入院中に、医師の手術が原因でVさんが死亡したという場合は、傷害致死罪ではなく傷害罪が成立する可能性が高いでしょう。

~勾留阻止による早期釈放の可能性~

警察署などに拘束されている状態を「逮捕されている」と表現することが多いかと思いますが、この「逮捕されている」という状況は、法的に表現すると、「逮捕」と「勾留」の2種類に分けられます。厳密には、身体拘束の開始の時点から勾留決定が出るまでの約3日間が逮捕で、そこから先は勾留ということになります。

逮捕から勾留までの流れを詳しく見ると、以下のようになるのが通常です。

① 警察により逮捕され、身体が拘束される
② 警察署での弁解録取などの取り調べを受ける
③ 警察署から検察庁へ移動する
④ 検察庁で再度取り調べを受ける
⑤ 検察官から勾留請求される(ここまでで1~3日以内)
⑥ 検察庁から裁判所へ移動する
⑦ 裁判所で、裁判官による勾留質問と勾留の当否の判断がなされる
⑧ 勾留決定を受け、再度警察署に戻る

早期釈放を目指す場合、弁護士は主に⑤および⑦の段階で「勾留されないこと」を目指します。
具体的には、検察官や裁判官が勾留請求または勾留決定という判断を下す前に、当事者の状況や聞き取った事件の概要、被疑者の主張等をまとめた書面を提出しまたは、直接検察官や裁判官と面談を行うことにより、法律上、勾留が妥当でないことを主張することになります。
こうした活動が成功すれば、勾留されないこととなり、逮捕された事件であっても最大で約3日のうちに釈放されます。
逆に勾留が決定されれば、10日から数か月単位で身体拘束が継続してしまいます。

以上で見たように、勾留されるかどうかという点は、逮捕された方にとって一つの大きな分岐点です。
勾留の阻止による早期釈放の可能性を少しでも高めるなら、ぜひ弁護士に事件を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。傷害罪などでご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどとお考えの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。

援助交際した後に「18歳未満だったかも?」と思ったら!?

2020-12-08

援助交際した後に「18歳未満だったかも?」と思った場合の対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市守山区に住むAさんは、援助交際専用サイトで女子高校生Vさん(17歳)と知り合いました。Aさんは、Vさんが援助交際専用サイトのプロフィールで「20歳」と表記しており、実際に会った際もVさんが「20歳」、「前日は飲み会が遅くまで飲み会があって眠たい」などと話していたことから、「Vさんは18歳未満ではなく、児童買春には当たらない」と思い、Vさんに現金3万円を渡した上でVさんと名古屋市内のラブホテルで性交しました。しかし、その後、AさんはVさんの容姿やVさんと交わした会話の内容を思い出すうち、「やはりVさんが18歳未満だったのではないか」と徐々に不安になってきてしまいました。そこで、Aさんは逮捕されてしまうのか、逮捕されないためには今何をすべきかなどを尋ねるため、援助交際に詳しい弁護士に無料法律相談を申し込むこととしました。
(フィクションです。)

Vさんが18歳未満だった場合に成立し得る罪

本件で、Vさんが18歳未満だった場合に成立し得る罪は児童買春の罪です。
児童買春罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。

(児童買春)
第四条

児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

なお、法律2条1項では「児童」を「18歳に満たない者」、法律2条2項では、「児童買春」を児童などに対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすること、と定義されています。

行為時に、相手が18歳未満であることの認識(故意)が必要

児童買春の罪が成立するには、行為時に、相手が18歳未満であることの認識(故意)が必要です。
もっとも、認識の程度は「18歳未満だ!」と確定的に認識している場合のみならず、「もしかしたら18歳未満かもしれない」という程度の認識(未必の故意)でも足りる(18歳未満の認識あり!)とされています。

上記の認識はあくまで「行為時」に存在していることが必要です。したがって、行為時には確信をもって「18歳未満ではない」と思いながら性交したものの、後になって「やっぱり18歳未満だったかもしれない」と思ったとしても、基本的に児童買春の罪は成立しない、ということになります

Aさんは逮捕される!?

Aさんはいつ警察に逮捕されないか不安な日々を送られていることでしょう。
しかし、児童買春の罪の時効期間(性交時から5年)が経過しない間は逮捕される可能性は多かれ少なかれ残されていると言わざるを得ません。残念なことに、ときに警察は「逮捕すれば自白するだろう」との思いから見切り発車で逮捕する、ということも少なくありません(もっとも、行為から時が経てば経つほど、事件関係者の記憶は薄れ、徐々に他の証拠も少なくなっていきます。そうすると、捜査機関側は児童買春の罪の成立を証明することが難しくなりますから、行為から時が経てば経つほど逮捕される可能性は低くなるということはできます)。中にはなかなかあなたの主張に耳を傾けようとしない警察官、検察官もいます。それだけならまだしも、虚偽の自白を迫るかのような発言、取調べをしてくる警察官、検察官がいまだにいることにも注意が必要です。逮捕されると、緊張と不安から、なかなか思い描いていたような主張ができなくなるものです。

そこで、逮捕されるかどうかは分かりませんが、万が一の場合に備えて事前の対策を取っておくことが必要です。具体的には、まずあなたの主張を固めることです。
なぜ、あなたが相手を18歳未満だと思わなかったのか、その理由付けが大切です。そして、その理由が不自然でないか不合理でないかきちんと検証しましょう。たとえば、Aさんの「Vさんが(性交前に)「前日は飲み会が遅くまで飲み会があって眠たい」と言っていたことから18歳未満だとは思わなかった」というのは不合理な理由付けではありませんから、きちんと主張していくべきでしょう。また、その他、あなたが相手を18歳未満ではないと思った裏付けとなる証拠(援助交際専用サイトのプロフィールのスクリーンショットなど)はできる限り保存しておくべきです。

最後に弁護士に相談することです。弁護士に相談すれば、あなたの今置かれた現状に応じて具体的なアドバイスを得ることができます。時間と予算が許す限り、複数の弁護士へ相談した方が様々な意見が聞けてよいかと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、援助交際・児童買春の罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

暴行罪で前科回避

2020-12-06

暴行罪と前科の回避について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部支が解説します。

Aさん(20歳)は、友人と居酒屋で酒を飲んだ後、自宅へ帰ろうと電車に乗りました。車内は非常に混雑しており、Aさんは後から無理やり乗ってきたVさんに足を踏まれました。これが原因でAさんとVさんは口論になり、結局近くの駅で降りることになりました。二人はしばらく言い争いを続けていましたが、ヒートアップしたAさんがVさんの胸倉を掴み、柱に頭を打ち付けました。その様子を駅員が目撃し、Aさんは暴行罪の疑いで北警察署にて捜査を受けることになりました。Aさんは看護師を目指していたため、前科がついたらまずいのではないかと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~暴行罪について~

暴行罪は、他人の身体に「暴行」を加えたものの、傷害には至らなかった場合に成立する可能性のある罪です。
一般的に「暴行」は殴る蹴るといった行為を意味するものとして用いられますが、暴行罪が成立するのはそうした場合に限りません。
ここでいう「暴行」とは、不法な有形力・物理力を行使する一切の行為とされており、一般的な暴行よりも広い概念だからです。
上記事例では、AさんがVさんの胸倉を掴んだうえ、Vさんの頭を柱に打ち付けています。
柱に頭を打ち付ける行為が「暴行」に当たると考える方は多いかと思いますが、それだけでなく胸倉を掴む行為も「暴行」に当たるのです。

暴行罪の法定刑は、①2年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留(1日以上30日未満の拘置)、④科料(1000円以上1万円以下の金銭の納付)のいずれかです。
この罰則自体は比較的軽い方ですが、傷害罪や殺人罪といった他の罪が成立するとなると話は違ってきます。
刑事事件においては、逮捕のときに言われた罪名のまま捜査が進むとは限りません。
たとえば、事件後に受けた病院での診察で異常が見つかった場合、罪名が変わる可能性は十分ありえます。
そうした可能性が否定できない点で、暴行罪とはいえ軽視すべきではないでしょう。

~前科をを回避するには?~

前科を回避するには

検察官の起訴を回避すること

が現実的な方法だと考えます。
そもそも前科は刑事裁判で有罪判決の言渡しを受け、その裁判が確定した後につくものです。
したがって、検察官の起訴を回避する、すなわち、不起訴処分を獲得することができればそもそも刑事裁判を受ける必要はなく、裁判で有罪の判決を受けるおそれもなく、前科が付くおそれもないというわけです。

不起訴処分を獲得するには、まずは被害者に精神誠意謝罪し、被害弁償、示談に向けた話し合いを進めていく必要があります。そして、被害者に被害弁償するなどして示談を成立させることができればあなたにとって有利な情状として考慮され、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。
もちろん事件の当事者間でも被害弁償、示談交渉をすることはできます。
しかし、事件当事者というだけあって、感情のもつれなどから被害弁償、示談交渉がなかなかうまく進まない場合もございます。
そんなときは弁護士が力になれます。
示談交渉に関する経験、知識が豊富な弁護士であれば、適切な内容・形式で示談を成立させることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、暴行罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。

児童買春と示談

2020-10-27

児童買春と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市中川区に住む公務員Aさんは、出会い系サイトで知り合った女子高生Vさん(16歳)に現金3万円を渡し、Vさんの性器等を触りました。
その後AさんがVさんと連絡を取り合うことはありませんでしたが、半年以上経過してからAさんは、児童買春の罪で逮捕されるかもしれないと不安になり、弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~児童買春の罪~

児童買春の罪に関しては、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の4条に規定があります。
罰則は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」です。

なお、「児童」とは18歳未満の者(男女を問わない)をいい、「児童買春」とは、児童等に対して対償を供与し、又はその供与の約束して、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。
「性交等」とは、性交若しくは性交類似行為の他、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。

児童買春事の罪は児童の補導や、児童に対する別件捜査によって発覚する事が多く、警察に捜査されていることに全く気付かないまま、行為から相当期間が経過したある日突然、警察に逮捕されるといったケースがよくあります。
上記のように、児童買春の罪は決して軽くないので、事件が発覚すれば、逮捕、勾留される可能性もあり、最悪の場合、重い刑罰を科せられる場合もあります。
そうなる前に何らかの手を打たなければ、会社の解雇、社会的信用の失墜など、取返しの付かないことになりかねません。

~ 児童買春と示談 ~

児童買春で示談を成立させることは難しいのでしょうか?

児童買春では、親などに内緒で児童買春に応じている被害者がほとんどで、その保護者などは、事例のようなことをきっかけに(いわば間接的に)娘などが児童買春に応じていたことを初めて知るということも少なくありません。
したがって、もともと保護者などの精神的ショックは大きく、その反動で犯人に対する処罰感情も非常に強くなる傾向があります。
また、児童買春は「娘などを金などで買った」という印象を与えますから、金で解決する示談にはなおさら応じたくない(金で解決してほしくない)というお気持ちを持たれる保護者の方などがおられるのも事実です。

しかし、当初は示談を断られても、示談金額や誓約条項を追加するなどして粘り強く交渉を続けていくことで保護者の方などのお気持ちが緩和され、最終的には示談を成立させることができる可能性もあります。
要は、示談を成立させることができるか否かは、どれだけ相手方に誠実な気持ち、態度を示すことができるかにかかっていると言えるでしょう。

仮に、示談を成立させることができなかった場合には、反省や謝罪の気持ちを「形」として表す「贖罪寄附」という方法も考えられます。贖罪寄付についても弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、児童買春をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

児童買春、児童ポルノ製造罪

2020-09-12

児童買春、児童ポルノ製造罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市南区に住むAさんは、SNSで知り合った女子高生Vさん(16歳)が18歳未満での者(児童)であることを知りながら、ラブホテルでVさんと性交し、その様子をスマートフォンで動画撮影して、そのデータをパソコンに保存していました。そうしたところ、Aさんは、Vさんが愛知県南警察署の警察官に補導されたことをきっかけに、同警察署により、児童買春・ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼することにしました。
(フィクションです。)

~児童買春の罪~

児童買春の罪は、正式名称、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)の5条に規定されている罪です。

法律5条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

児童買春とは、児童等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等を行うことをいいます。
「対償」とは、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。現金のみならず、物品、借金の肩代わりなど財産上の利益もこれに含まれます。「供与」とは、与えるということです。そして、対償を供与することだけでなく、「供与の約束」をしただけでも児童買春の罪に問われる可能性があることに注意が必要です。
「性交等」とは、「性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること」とされています。

~児童ポルノ製造罪~

「児童ポルノ」とは、写真やBL、DVD、メモリなどの記録媒体などで、法律2条3項各号に掲げられた児童の姿態を視覚により認識できる方法により描写したものをいいます(法律2条3項)。
「視覚により認識できる方法により描写したものの」というためには、直接認識できるもののほか、直接には認識できなくても、一定の操作によって認識できるもの(たとえば、画像、動画データ)も含まれます。

法律2条3項

1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2号 他人が児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の七あであって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更にその性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出又され又は強調されるものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

「製造」とは、「児童ポルノ」を作成する一切の行為をいいます。本件では、AさんがVさんとの性交場面をスマートフォンで動画撮影し、それをスマートフォン内のメモリ内に記憶、蔵置させる行為が「児童ポルノ」を「製造」したことに当たるでしょう。なお、Aさんの当該行為は、法律7条4項に該当します。

法律7条4項
(略)、児童に第2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る電磁的記録媒体その他の者に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。

「第2項と同様とする」とは、罰則が「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」とするという意味です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。お気軽にご相談ください。

検察官の不起訴とは 

2020-09-10

検察官の不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

~ ご相談内容 ~

私は、昨年の9月に痴漢をした件で不起訴処分(起訴猶予)を受けました。しかし、今年のの7月にまた痴漢をしました。現在はその件で検察庁から呼び出しを受けています。7月の件では起訴されても仕方ないと思っているのですが、9月の件でも起訴されてしまうのでしょうか??(フィクションです)

~ 不起訴って何? ~

不起訴とは、検察官が下す終局処分(その事件について起訴・不起訴を終局的に決める処分)の一種で、その意味は文字通り、起訴されないということです。以下、具体的にみていきましょう。

不起訴は、検察官が下す終局処分の一種ですから、不起訴を決めるは警察官でもなければ、裁判官でもなく、

 

検察官

 

です。検察官の元には、警察や検察の捜査で収集した証拠が全て届けられます。その証拠の中には、被疑者(犯人)にとって不利な証拠もあれば、有利な証拠も含まれています。したがって、検察官は、それらの証拠を総合的に判断して、事件を起訴するか、不起訴にするか判断できる立場にあるのです。刑事訴訟法には不起訴について次の規定が設けられています。

上記のとおり、起訴するか、不起訴にするかの判断は検察官に委ねられていますから、その判断の時期も

 

検察官の判断(裁量)

 

に委ねられます。

検察官は、捜査の過程で収集した証拠に基づいて終局処分を決めますし、証拠の収集には一定程度時間を要しますから、終局処分の判断までにも一定の時間を要します。ただし、身柄事件の場合は時間的制約がありますから、在宅事件に比べて証拠収集のスピードがあがり、その分、終局処分を下す時期も早くなります。

検察官は検察官が収集した証拠に基づき不起訴にするかどうか判断します。そして、検察官は、起訴するだけの証拠が集まったか否かを見極めます。証拠が集まっていないと判断した場合、あるいは集まっているが、

 

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況

 

から起訴を必要としないとき(刑事訴訟法248条)は不起訴とします。

検察官が不起訴と判断するに至った理由の「題名」のことを裁定主文といいます。よく目にするのが、「嫌疑不十分」と「起訴猶予す。

嫌疑不十分とは、検察官が起訴するに足りる証拠が集まっていないと判断したときに裁定するものです。起訴猶予とは、検察官が、証拠から犯罪であることは明らかであるが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴する必要がないと判断したときに裁定するものです。

実は、この裁定主文は「嫌疑不十分」「起訴猶予」の他にもいろいろあります。例えば、そもそも被疑者が死亡している場合は「被疑者死亡」により不起訴となりますし、訴訟条件が欠けている場合も不起訴となります。

不起訴になれば、

 

刑事裁判にかけられること

刑罰を受けること

前科が付くこと

 

がなくなります。したがって、裁判所や検察からの呼び出しに応じる負担もなくなります。また、不起訴獲得によって職場の雇用や資格取得の場面でもよい影響が出るでしょう。

~ 今後、逮捕、起訴されることはないの? ~

 

裁判と違って、不起訴処分には、それ以上事件を蒸し返してはいけないという決まりはありません。したがって、不起訴となったからといって、

 

逮捕、起訴されないという保証はありません

 

証拠が足りなくて不起訴となっても(嫌疑不十分の場合)、処分後に新たな証拠が出てきた場合、起訴猶予で不起訴となっても、処分後に再犯を犯し情状が悪くなった場合などは、再度、逮捕、起訴されることがあります。前者のケースは少ないと思われますが、後者のケースは十分にあり得ることです。したがって、起訴猶予で不起訴となった場合は、それだけで安心せず、その後の生活態度には十分気を付ける必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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