Archive for the ‘少年事件’ Category

少年院送致に納得できない…不服申し立てについて

2024-01-25

少年院送致に納得できない場合の不服申し立てについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

お子さんが少年事件を起こしてしまったという場合には、すぐに

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までお電話ください。

少年院送致はくつがえるのか

成人が刑事裁判で判決を言い渡された場合、その判決に不服があれば控訴や上告などの不服申し立ての手段があることはみなさんなんとなくご存知かと思います。
では、少年事件の場合はどうでしょうか。
実は、少年事件でも家庭裁判所の審判に対して不服申し立てを行うことができます。
これは抗告と呼ばれます。

抗告 少年法第32条
「保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、2週間以内に、抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。」

決定に影響を及ぼす法令の違反」、「重大な事実の誤認」、「処分の著しい不当」この三つのうち一つでも理由があれば抗告をすることができます。
しかし、条文にもあるように、2週間という非常に短い時間制限が設けられているため、抗告したいと考えるのであれば、迅速な対応が求められます。
また、抗告したからといって、保護処分の効力が停止されるわけではありませんから、何もしなければ少年は少年院に収容されてしまいます。
こうした事態を避けるには、裁判所に対し、執行停止の職権発動を求めていく必要があります。(少年法第34条)

では、今回は家庭裁判所の審判で少年院送致の保護処分が下された後、弁護士を切り替えて抗告するという事例を見てみましょう。

参考事例
東海市に住む無職の少年A(17歳)は、窃盗事件を起こして逮捕されてしまい、名古屋家庭裁判所の審判で少年院送致を言い渡されました。
少年院送致に納得のいかないAの母は、不服申し立ての手段はないかとすぐに少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部に連絡しました。
弁護士はまず、少年鑑別所で少年との接見を行い、少年の抗告意思や現在の状況を確認し、Aの母に報告しました。
そこで、改めて抗告したい思い、Aの母は弁護士に弁護活動を依頼しました。
弁護士は、家庭裁判所に記録を見に行ったり、少年との接見を行ったりしながら、抗告申立書を作成しました。
結果、見事抗告が認められ事件は名古屋家庭裁判所に差し戻されることになりました。
(この事例はフィクションです。)

まとめ

事例を見ても分かるとおり、抗告では2週間という非常に短い期限の中でさまざまな活動しなくてはなりません。
特に、弁護士を変えて抗告をしたいという場合には、一刻の猶予もないといえます。
そのため、弁護士を変更して、もしくは審判時には弁護士は付いていなかったが新しく付けて抗告したいという場合には、審判後すぐにでも少年事件に強い弁護士に依頼するようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部でも、少年事件の抗告に対応しています。
とはいえ、少年事件の抗告はハードルが高いことも事実です。
少年の更生を願い、後悔のない事件解決を目指すならば、少年事件となってしまったときすぐに少年事件に強い弁護士を選任するようにしましょう。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、刑事事件、少年事件に強い弁護士が無料法律相談初回接見を行っています。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受けつけておりますので、お気軽にお問い合わせください。

14歳少女による殺人(未遂)事件 逮捕後の手続きは

2023-09-08

先日、中学校2年生、14歳の少女が母親の腹を包丁で刺すという痛ましい事件が報道されました。本日は、この殺人(未遂)事件を参考に、少年事件の逮捕後の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

参考事件(9月6日配信の時事通信社記事を引用

この事件は、愛知県大治町の集合住宅の一室で起こりました。
この部屋に住む被害者の女性(少女の母親)から「腹を刺された。」との119番通報で現場に駆け付けた愛知県津島警察署の警察官が、現場にいた、この女性の長女(中学校2年生、14歳)を殺人未遂罪で現行犯逮捕したようです。
腹を刺された女性(少女の母親)は、搬送先の病院で亡くなったことから、その後、殺人罪に切り替えて捜査を進めているようです。

殺人(未遂)罪

殺人とは故意的に人の命を奪う行為で、数ある刑事事件の中で最も重大かつ凶悪とされており、その法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と厳しいものです。
ただこの法定刑は、基本的には成人犯人に適用されるもので、今回の事件のように加害者が14歳の少女の場合は、逆送されない限りは対象となりません。

逮捕後の手続き

殺人(未遂)罪で警察に逮捕されると、まずは逮捕から48時間以内に検察庁に送致され、その後、検察官によって裁判所に勾留が請求されるでしょう。
そして裁判官は間違いなく勾留を決定するでしょうから、10日から20日間、警察署の留置場か、少年鑑別所に勾留されることになります。
この勾留期間中に、警察や検察による犯罪捜査が行われ、逮捕された少女は取調べを受けることになります。
この勾留期間中に、少女の精神鑑定が必要だと認められた場合は、勾留の執行が停止され、鑑定留置されることもあります。(鑑定留置期間は数カ月間に及ぶ場合もあり、鑑定留置終了後に残りの勾留期間が再開される。)
こうして勾留期間を終えると、事件は検察庁から、家庭裁判所に送致されます。
ここで家庭裁判所の裁判官が、観護措置を決定するとともに、少女は少年鑑別所での生活が開始します。
観護措置の期間はほとんどの少年は4週間ですが、今回のような殺人(未遂)事件を起こした少女の場合は、最長で8週間まで観護措置の期間が延長される可能性が高いでしょう。
そして観護措置の期間が終了すると同時に、少年審判が開かれて、そこで少女の処分が決定します。
成人犯人の場合は、最終的な刑事処分は刑事裁判で言い渡されることになり、この刑事裁判は公開の法定で行われますが、少年審判は非公開で行われ、参加者も限定されています。

少年事件に強い弁護士

少年事件は、少年法に基づいて少年の更生を目的に手続きが進むために、成人事件と異なり特殊な手続きがふまれます。
そのため少年事件の弁護活動付添人活動については、そういった経験と知識が豊富な弁護士に任せることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、多くの少年事件を取り扱ってきた実績がございますので、少年事件でお困りの親御様、お子様が警察に逮捕されてしまったという親御様は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

【ニュース紹介】嘱託殺人の非行事実により19歳女性が少年院送致

2023-06-01

今回は、19歳女子大生が名古屋市内のホテルで起こした嘱託殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市中区のホテルで去年12月、女子大学生(当時20歳)の遺体が見つかった事件で、嘱託殺人の非行内容で家裁送致された大学生の女(19)について、鳥取家庭裁判所は23日少年院送致しました。
19歳の大学生の女は去年12月、安城市の48歳派遣社員(嘱託殺人の罪で起訴)と共謀し、名古屋市中区のホテルで別の女子大学生(当時20歳)に依頼され、窒息させて殺害したとして、嘱託殺人の非行内容で名古屋家庭裁判所に送致され、その後、鳥取家庭裁判所に移送されていました。
23日、鳥取家裁は、大学生の女を少年院送致することを決め、収容期間は3年としました。

鳥取家裁は、決定理由で「若年の被害者の生命が失われており、その結果は重大」とした一方、「本件非行は被害者の意思を踏まえた共犯者の指示に基づくもので、悪質性は同種事案の中でも低い」と指摘しました。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=017067 1月24日 「名古屋のホテルで女子大生嘱託殺人事件 大学生の女(19)を少年院送致「悪質性は低い」」より ※氏名等の個人情報については秘匿しています)

【少年院送致とは?】

少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。
ケースのような18歳以上の少年である特定少年の場合は、審判で、3年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定められます。
少年院では、身体拘束を伴い、特別な場合を除き外出することはできません。
処分に伴う負担も大きく、少年の学業、進路に対する影響も大きいです。
不必要に非行少年が少年院へ送致されることがないよう活動する必要もあります。

このような場合には多くのケースにおいて、保護観察処分、不処分を目指した弁護活動を行うことになるかと思われますが、少年が社会に戻っても、改善更正しうることを家庭裁判所に納得させる必要があります。
そのためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが非常に役立つでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
少年事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部へご相談ください。
24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご相談の予約を受け付けております。

【ニュース紹介】愛知県一宮市職員が青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕

2023-05-05

今回は、愛知県で起きた青少年保護育成条例違反被疑事件の報道をもとに、淫行事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

少女にみだらな行為をしたとして愛知県一宮市の職員が逮捕されました。
青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕されたのは、一宮市の市博物館管理課課長補佐の学芸員の男(45)です。
警察によりますと、男は去年11月、名古屋市内のレンタルルームで当時15歳の少女にみだらな行為をした疑いが持たれています。
少女に警察が、事情を聞き取ったことで発覚しました。
2人はSNSを通じて知り合い、ダイレクトメッセージで連絡を取り合っていたということです。
警察の調べに対し、男は「年齢については聞いた記憶がない行為についてははっきり覚えていない」と容疑を否認しています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=016915 1月12日 メ~テレ 「15歳の少女にみだらな行為の疑い 愛知・一宮市職員を逮捕」より引用)

【淫行事件を起こした疑いで逮捕された場合】

淫行事件を起こした疑いで逮捕されてしまった場合には、一刻も早く弁護士の接見を受け、今後の善後策についてアドバイスを受け、身柄解放活動などの弁護活動に着手してもらうことが大切です。

【どのような事件解決を目指す?】

初犯の淫行事件であれば、被害者の意向や示談の成否にもよりますが、不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられずにすむため、前科がつくことなく事件が終了します。

不起訴処分を獲得できる可能性を高めるためには、被害者に対して誠心誠意、謝罪と損害の賠償を行い、示談を成立させることが重要です。
示談書の条項に、被疑者に対する寛大な処分を希望する意思を表明してもらうことができれば、より、不起訴処分がなされる可能性が高まるでしょう。

示談交渉についても、接見にやってきた弁護士に尋ね、助言を受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
淫行事件に関してお悩みの方、ご家族が淫行事件を起こして逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

【ニュース紹介】少年が無免許でバイクを運転し、ひき逃げの疑いで逮捕

2023-03-24

今回は、愛知県春日井市で起きた、16歳少年による無免許過失運転致傷等事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

4日夜愛知県春日井市で、無免許でバイクを運転して別のバイクと衝突し、男性にけがをさせたにもかかわらず逃走したとして、16歳の少年が逮捕されました。

無免許過失運転致傷などの疑いで逮捕されたのは、小牧市に住む16歳の会社員の少年です。

警察によりますと、少年は4日午後8時すぎ、無免許でバイクを運転して春日井市内の国道の交差点を右折する際、対向車線を走ってきた大型バイクと衝突し、男性(58)に左の鎖骨を折る大けがをさせたにもかかわらず、そのまま逃走した疑いがもたれています。

少年は事故のおよそ1時間後に現場に戻ってきたということで、警察の調べに対し、「あっています」と容疑を認めています。

警察は、事故の状況を詳しく調べています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=015959 11月5日 メ~テレ 「無免許でバイクを運転 別のバイクと衝突し男性にけがをさせ逃走した疑い 16歳の少年を逮捕」より引用)

【少年事件の特殊性】

無免許過失運転致傷罪は、10年以下の懲役が予定されているれっきとした犯罪行為です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第6条4項)。
また、記事上明らかではありませんが、道路交通法違反行為である「ひき逃げ」の嫌疑もかけられている可能性が高いと考えられます。

しかし、逮捕されたのは16歳の少年であるため、少年法の適用があります。
したがって、原則として逮捕された少年が刑罰を受けることはありません。

捜査段階では成人と同じように取調べを受けたのち、家庭裁判所に送致されることになるでしょう。
家庭裁判所送致後は、少年の心理検査や家庭環境の調査などが行われ(在宅で実施される場合と少年鑑別所に入って実施される場合とがあります)、少年審判に役立てられることになります。

審判が開かれると、少年の必要に応じて「保護処分」が言い渡されます。
保護処分には、「保護観察処分」、「児童自立支援施設又は児童養護施設送致」、「少年院送致」があります。

【少年が逮捕された場合は、少年事件に熟練した弁護士に事件解決を依頼】

少年事件においては、成人の刑事事件と異なる特殊な手続が予定されています。
なるべく有利な処分を得て事件を解決するためには、少年事件に熟練した弁護士の助力が役立ちます。
まずは弁護士の接見を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
少年の無免許過失運転致傷事件などに関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
ご相談は
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。

【解決事例】西尾市の児童ポルノ事件(少年事件)で、不処分獲得

2022-07-30

児童ポルノ事件(少年事件)で不処分を獲得したことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

ご本人様(15歳)は、近所に住む女子児童複数人の裸の写真をメールで送らせ、それを友人に転送したとして、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の容疑で、愛知県西尾警察署で任意の取り調べを受けていました。
ご両親は、「被害者様方には一刻も早く謝罪したいと考えています。また、息子の事件は刑事事件となるのかとても心配です。」と相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【弁護活動】

被害者様は複数名いらっしゃり、それぞれの方に謝罪をしたい、それぞれの方に加害少年とその両親が作成した謝罪文を渡しましたが、そのうちお1人には謝罪文の受け取りを拒絶されました。
ご両親に対しては、加害少年に対し指導や教育を行い、生活環境を整えるようにお伝えしました。
その後、事件が家庭裁判所に送致されましたので、家庭裁判所に対し、①加害少年には補導歴などはなく、不良化の傾向は一切見られない、②加害少年は反省しており、自分の犯した罪に対する理解を深めるなど規範意識があがっていること、③加害少年とその両親が今回の事件についてよく話し合い、具体的対策をもって、加害少年と両親が、二度と事件を起こさないよう誓っていること、以上により、少年の更生環境は充分であり、保護処分は必要がない旨を主張しました。
その結果、保護観察をはじめとした保護処分が必要ない、不処分となりました。

【まとめ】

少年事件における、児童ポルノなどの性犯罪につきましても、成人事件と同様に被害者様への謝罪や、示談が重要です。
しかし同時に、少年事件の場合は、少年の生活環境を整えることもとても重要です。
具体的には、少年が性犯罪を犯す背景には、性に対する誤った認識があることが多いので、保護者だけではなく、第三者である弁護士からも、少年に対し、指導、教育を行っていくこともあります。
また、少年に好ましくない(非行的な)交友関係がある場合は、交友関係の見直しを含めた、生活環境を改善することも必要になるでしょう。
これらの状況が整えば、その旨を家庭裁判所に主張し、その少年に適切な処分を目指していくことになります。

子供が性犯罪、児童ポルノ事件を起こしてしまった、被害者様に謝りたい、どのような処分になるのか心配だ、という方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、これからの謝罪や、少年審判の見通しについてご説明致します。

 

現住建造物等放火罪と逆送 

2022-07-15

現住建造物等放火罪と逆送について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

17歳のAさんは以前から火が大きく燃え上がるのを見てみたいと思っており、どこかに火をつけようとしていました。
ある夜Aさんは愛知県知多市のVさん宅の軒下にあるVさんの自転車のサドル部分にライターで火をつけ、炎が上がったのを確認して近くからそれを見ていました。
炎はVさん宅の軒下部分に燃え移り、軒下の一部が燃え始めましたが、AさんはVさん宅に燃え移っても別にいいと思っていました。
結局Vさん宅は全焼し、この家に住むVさんは亡くなりました。
Aさんは現住建造物等放火罪などで愛知県知多警察署に逮捕されましたが、Aさんの両親が少年事件について調べた結果、未成年でも刑事処分になることがあると知り、少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
(フィクションです)

【放火の罪について】

放火の罪には様々な種類があります。
条文を見ていきましょう。

・現住建造物等放火(刑法第108条)
放火して、現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船または鉱坑を焼損した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する。

・非現住建造物等放火(刑法第109条)
1放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船または鉱坑を焼損した者は、2年以上の懲役に処する。
2前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

・建造物等以外放火(刑法第110条)
1放火して、前2条(108条、109条のこと)に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。
(対象物は、自転車、バイク、航空機、門、塀、橋、畳、机、椅子、ゴミ箱などです。)

いわゆる「放火の罪」の条文はこのようになっていますが、
放火はしたものの「公共の危険」が発生しなかった時は器物損壊罪となります。
※「公共の危険」とは、不特定または多数人の生命、身体、財産に危険を生じさせる状態のことをいいます。
判断基準は、火力の程度、他人の住居などの隣接状況、当時の風向き、風速、気温などの気象状況、昼間か夜間化などの事情によります。

【放火の罪のそれぞれの違い】

①現住建造物等放火罪と非現住建造物等放火罪を分けるものは、「現に人が使用している(人とは犯人以外の一切の人のこと)」または「人が現在している(現在とは放火の当時犯人以外の者が中にいること)」かそうではないかです。
②建造物等以外放火罪と現住建造物等放火罪を分けるものは、現住建造物等の一部でも焼損したか否かとその故意を有していたかです。

【逆送とは】

Aさんの両親が調べた、「未成年でも刑事処分になることがある」とは「逆送」のことです。
逆送とは、家庭裁判所が送致された少年を調査した結果、保護処分ではなく刑事処分を科すことが相当であるとして検察に送致することです。
このことを検察官送致決定といい、「逆送」といわれています。

家庭裁判所から刑事処分相当として検察官に送致された場合、検察官は、公訴提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思慮するときは起訴しなければならないとされています。
逆送される理由は2つあり
①年齢超過を理由とする(年齢超過逆送)
②刑事処分相当を理由とする(刑事処分相当逆送)
があります。

①の年齢超過を理由とするについては、審判時に少年が20歳以上に達している場合、少年法の適用対象ではなくなるため、家庭裁判所は逆送しなければなりません。(犯行時、逮捕時の年齢ではありません。)

②の刑事処分相当を理由とするについては、家庭裁判所は、死刑、懲役または禁固にあたる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分相当と認めるときは、事件を検察官に送致を決定しなければならないとされています。
また、犯行時に16歳以上の少年で、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪にあたる事件の場合には、原則として検察官に送致しなければならないとされています。
なお14歳未満の者は刑事責任能力がないとされているため、逆送されることはありません。

上記の理由により、Aさんに対しても逆送される可能性は高いと思われます。
しかし、少年事件に強い弁護士は逆送をされないために様々な弁護活動を行っていきます。
具体的には、家庭裁判所の裁判官に対し、少年に対する処遇として刑事処分が相当ではないことを主張していきます。

まず「刑事処分が相当である」とは、保護処分によっては少年の矯正改善の見込みがない場合(「保護不能」といいます。)があります。
それに加え、事案の性質、社会感情、被害者感情等から、保護処分に付すことが社会的に許容されない場合(「保護不適」といいます。)があるといわれています。

つまり、少年は保護処分により更生できることを主張を家庭裁判所の裁判官に主張し、更に事案の性質、社会感情、被害感情等から、保護処分に付すことが社会的にも許容されるということを、具体的な事情を踏まえて主張していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、放火の罪、現住建造物等放火罪への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が放火の罪、現住建造物等放火罪で話を聞かれることになった、または逮捕されてしまった、逆送を防ぎたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

器物損壊罪と環境を整えること

2022-06-27

器物損壊罪と環境を整えることについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

Aさん(18歳)は愛知県一宮市にあるV株式会社に勤務していましたが、暴走族や不良仲間との付き合いがあることや素行不良等を理由に、最近解雇されました。
Aさんがこれを不良仲間に話すと、「会社に何か仕返しをしてやれよ。」と言われたので、AさんはV株式会社の看板を壊してV株式会社に嫌がらせをしてやろうと思いました。
そこでAさんはある日の夜中にV株式会社の看板を外して持ち去り、約500メートル先の広場でその看板をハンマーでたたき割って逃げました。
翌日、広場で愛知県一宮警察署の警察官が割られたV株式会社の看板を発見し、器物損壊罪の疑いで捜査を始めました。
(フィクションです)

【看板を持ち去っていても器物損壊罪?】

Aさんは看板を「持ち去って」いるので、泥棒=窃盗罪になるのではと考えるかもしれません。
しかし、窃盗罪が成立するには「不法領得の意思」が必要です。
「不法領得の意思」とは「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用しまたは処分する意思」のことです。
つまり、持ち去ったものを経済的に用法に従って利用、処分する意思があれば窃盗罪が成立するということです。
Aさんは持ち去った看板を利用する意思が全くなく、不法領得の意思は無いと思われるので、窃盗罪ではなく器物損壊罪(叩き割っている)が成立すると思われます。

器物損壊罪(刑法第261条)
前3条に規定するもの(公用文書や私有文書、建造物)のほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

・他人の物を持ち去る→経済的に利用、処分するつもりがある→窃盗罪
・他人の物を持ち去る→経済的に利用、処分するつもりがない→器物損壊罪

【環境を整えること】

少年事件の場合は家庭環境、生活環境を整えることも大切になります。
Aさんの場合は、犯行のきっかけの一つに、不良仲間に「仕返しをしてやれよ。」と言われたことがあります。
このように、暴走族や地元の不良仲間との交遊関係が非行の背景にある場合は、交遊関係の見直しを含めた生活環境の改善が重要となります。
生活環境を改善するためには、ご家族や保護者の協力が不可欠となることから、ご家族や保護者には日常生活の中で本人を監視監督してもらうことになるでしょう。
生活環境が改善したかどうかは、少年が起こした事件への適切な処分が出されるかどうかに大きく関わってきます。

お子様が事件を起こしてしまったなど、少年事件でお困りの方は逮捕されている場合はもちろん、逮捕されていない場合でも、ぜひ少年事件、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
少年事件の流れ、刑事処分の見通し、対応・解決方法、不安や心配事、疑問点など「こんなことも聞いていいのだろうか…」と思うことなく、何でもお話しください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が器物損壊罪で話を聞かれることになった、子供が事件を起こしたけれど家庭環境、生活環境を整えたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

恐喝罪で示談(謝罪や弁償)をしたい 

2022-06-09

恐喝罪で示談(謝罪や弁償)をすることを希望する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

17歳のAさんが愛知県瀬戸市の駅前広場を徘徊していたところ、酔っぱらった会社員のVさんが「このガキ、さっさと家に帰れ。」と絡んできました。
これに腹を立てたAさんがVさんに対し「この野郎、ぶち殺すぞ。」と脅迫したところ、身の危険を感じたVさんが自分の懐から財布を取り出し「これで見逃してくれ。」と言いました。
AさんはVさんから財布を受け取り、逃走しました。
後日Aさんは愛知県瀬戸警察署で恐喝罪の疑いで話を聞かれることになり、Aさんの両親はVさんに謝罪や弁償をしたいと考えていますが、Vさんの連絡先も分らず困っています。
(フィクションです)

【恐喝罪、強盗罪と窃盗罪の関係について】

恐喝罪は刑法第249条に
1 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
と規定されています。

Aさんには今回恐喝罪が成立すると思われますが、Vさんを脅迫しているので強盗罪になるのでは?と思われるかもしれませんし
Vさんが差し出した財布を受け取ったので窃盗罪になるのでは?と思われるかもしれません。
それぞれの違いについて見ていきましょう。

①恐喝罪と強盗罪の区別
・恐喝罪が成立する場合
 暴行・脅迫の程度が、相手の反抗を抑圧するまでに至らない程度であった場合には恐喝罪となります。
・強盗罪が成立する場合
 暴行・脅迫の程度が、相手の反抗を抑圧する程度であった場合には、強盗罪となります。

②窃盗罪と恐喝罪または強盗罪の区別
・窃盗罪が成立する場合
 恐喝(強盗)目的以外で暴行・脅迫を加え、その後に暴行・脅迫を加えることなく財物を窃取した場合は、窃盗罪となります。
・恐喝罪・強盗罪が成立する場合
 財物を得るために暴行・脅迫を行った場合はもとより、相手の畏怖(恐れおののくこと)を利用して財物を交付させた場合にも成立します。

今回の場合は、脅迫の程度が相手の反抗を抑圧するまでには至らなかったものの、相手の畏怖を利用して財物を交付させているため恐喝罪が成立するのです。

【謝罪や弁償をしたいのに被害者の連絡先がわからない…】

少年による恐喝事件においても、被害者の方と示談したり謝罪をしたりすることは大切なことの一つです。
示談とは、犯罪の被害者に対して示談金を支払うこと等によって、当事者間で事件を解決することです。
例えば、加害者が被害者に対し謝罪の意思を示すとともに、損害や慰謝料を賠償することによって、被害者が寛大な心で犯罪を許すことなどをいいます。

被害者の方と示談交渉をするためには、まず捜査機関(警察や検察)から被害者の連絡先を聞く必要があります。
しかし、捜査機関から被害者の連絡先を聞けるのは、基本的には弁護士のみです。
加害者やそのご家族の方が、直接捜査機関に被害者の連絡先を教えて欲しいと伝えても、それはとても難しいことでしょう。
ですので、弁護士をつけなければそもそも示談交渉を始めることすら難しいのです。

もちろん弁護士であっても、被害者の連絡先を伝えても良いかどうかは被害者自身が判断しますので、加害者には連絡先を教えたくないと言われることもあるでしょう。
しかし、加害者やその家族ではなく、加害者についている弁護士にならば連絡先を教えても良いと被害者が判断されることも多いのです。

その後の謝罪を含めた示談交渉も、少年事件・刑事事件に強い弁護士にぜひお任せください。

被害者と示談が成立すれば

①事件を早期に解決することが可能となる(事件化する前の場合)
②家庭裁判所での審判の際の判断において有利な事情となる可能性がある
③釈放の可能性が上がる(身柄を拘束された場合)
④損害賠償請求など民事裁判になる可能性を引き下げ、事件の完全解決につながる

など様々なメリットがあります。

被害者との示談をご希望されている方は、少年事件・刑事事件に強い弁護士に早急にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が恐喝罪で話を聞かれることになった、被害者と示談をしたいが連絡先がわからないなどお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

自殺関与罪と逆送

2022-05-22

自殺関与罪と逆送について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

17歳のAさんは、SNSを見ていたところ、「死にたいです」という女性Vさんの書き込みを見つけました。
Aさんはこの女性と仲良くなりたいと思い、Vさんにメッセージを送り、後日名古屋市港区にあるVさんの自宅で会うことになりました。
Vさんの自宅でVさんが「つらくて死にたいけど勇気が出ない」と言ったため、Aさんは「死んだほうがVさんが幸せならしょうがないね、このロープはとても丈夫だから首を吊るにはいいと思う」と言い、Vさんに準備しておいた丈夫なロープを渡したところ、「ありがとう」とVさんに言われました。
その後Aさんは帰宅しましたが、その日の夜にVさんはAさんに渡されたロープで首を吊って亡くなりました。
後日、Aさんは愛知県港警察署に自殺関与罪の疑いで逮捕されることになります。
(フィクションです)

【自殺することを助けると罪になりますか】

人が自殺することをそそのかしたり、助けたりすると「自殺関与罪及び同意殺人罪」に問われる可能性が有ります。

刑法第202条に

人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

とあります。

【自殺関与罪とは】

自殺関与罪等のうち、自殺教唆・幇助罪は、人を教唆あるいは幇助して自殺させた場合に成立する罪です。

【自殺教唆とは】

自殺の意思のない者に対し、自殺の決意を与えて自殺を遂行させることをいいます。
教唆の手段には制限はなく、黙示的な方法でも良いとされています。
ただし、欺罔や脅迫などの程度が著しい時には、殺人罪の間接正犯となります。

【自殺幇助とは】

既に自殺の決意のある者に対して、その自殺行為に援助を与えて自殺の実現を容易にすることです。


Aさんは既に自殺を決意しているVさんに対し、自殺行為を行ないやすくするためにロープを渡しており
それを使用してVさんは自殺をしているので、Aさんには自殺関与罪(自殺幇助)が成立する可能性が有ります。

【少年事件の流れ】

検察官は犯罪の嫌疑のある少年の被疑事件について、捜査後に家庭裁判所に送致しなければならないと少年法で定められています。
ですが、家庭裁判所に送致後、家庭裁判所が少年事件を家庭裁判所から検察官に送致することがあります。
家庭裁判所から検察官に送致することが、通常の検察官から家庭裁判所への送致と比べて逆向きの送致であるため、このことを通称「逆送致(逆送)」というのです。
逆送致(逆送)された場合は、成人と同じく一般の刑事手続を行うことになります。

どういう場合に逆送となるのかにつきましては

①調査または審判の結果、調査や審判時の本人の年齢が20歳以上であることが判明した時
②刑事処分相当と判断された時
(ただし、行為時16歳以上の少年が故意の犯罪行為によって、被害者を死亡させた事件については、原則として逆送することとされています。)

があります。
ただし、②の場合であっても、家庭裁判所の調査の結果、犯行の動機および態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状および環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認める時は、逆送しなくてもよい、と例外も少年法で定められています。
また、令和4年4月1日施行の少年法改正により、「特定少年(18歳と19歳)の時に犯した死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件」が原則、検察官送致がされる事件となります。

少年は成人に比べて、自分の気持ちや記憶を正直に、適切に表現することが難しいことも多いため、捜査初期から弁護士のサポートを受け、家庭裁判所送致後は付添人活動の経験豊富な弁護士のサポートを受け、それぞれの少年にとって最も良い処遇へ導いていくことがとても大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が自殺関与罪や自殺幇助で話を聞かれることになった、付添人経験が豊富な弁護士を探している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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