Archive for the ‘薬物事件・薬物犯罪’ Category

【裁判紹介】覚醒剤取締法違反事件の裁判例

2022-11-27

覚醒剤取締法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

覚醒剤を使用したとして覚醒剤取締法違反の罪に問われた男性に対し、名古屋地裁は、「採尿前に警察官が、被告に提供した飲料に覚醒剤を混入させた疑いを排除できない」として、無罪を言い渡した。
判決では、警察官が逮捕後に勾留中の被告へ現金を渡していたとも認め「捜査が不正に行われた疑いを強く推認させる」とした。
他にも判決によると、被告人は、愛知県東海市の自宅近くで逮捕された後、取り調べ中に警察官からコップに入ったお茶や水を提供され、数十杯飲んだ。
警察官は薬物捜査に従事しており、この際に覚醒剤を飲料に入れた可能性があるとした。
被告人は、公判では一貫して起訴内容を否認していた。
(日本経済新聞「「警官が覚醒剤混入疑い」名古屋地裁が無罪判決」(2021/3/19)を引用・参照)。

【覚醒剤取締法違反事件における裁判例と弁護活動】

覚醒剤事犯を中心とした薬物事件では、(その検挙の困難さも一因となって)違法捜査が行われることも少なくないといわれています。
本事案などは、捜査の違法性の程度が大きく有罪を導くための証拠に証拠能力を認めず、無罪判決を下したものと考えられます。
他方で、覚醒剤事犯においては、捜査官による違法捜査などがない場合にも、被告人が多重人格であり心神耗弱状態(刑法39条2項)であったなど責任能力の低下を認定し、執行猶予付き判決が言い渡された裁判例なども存在します。
覚醒剤事犯を含めた薬物事件では、想定される刑罰が重いこともあり、刑事弁護士が様々な工夫を凝らした弁護活動を展開している分野でもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、覚醒剤取締法違反など薬物事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
違法捜査に対する対応・薬物事件に特化した対応に長けた弁護士が、迅速な無料相談や初回接見を承ります。
覚醒剤取締法違反事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

【解決事例】覚醒剤取締法違反事件で保釈決定とと執行猶予付き判決獲得

2022-11-03

覚醒剤取締法違反事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案の概要】

ご本人様(40代男性)は、愛知県津島市にある自宅で覚醒剤を使用したとして任意同行され、その後愛知県津島警察署に逮捕されました。
奥様は、「夫は20年ほど前に覚醒剤を使用して、執行猶予付きの判決を頂きました。今度こそ私がしっかり夫を見ていきますので、なんとか刑務所に行くのを阻止してくれませんか。」と相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【弁護活動】

裁判所に対し、①前回の覚醒剤使用は20年前であり、常習としてとはいえないこと。②事件について反省しており、保釈をしても罪証隠滅の可能性はないこと。③ご本人様が経営する会社が事業拡大しており、保釈をしても逃亡する可能性はないこと。④ご本人様に必要なことは勾留ではなく、薬物更生プログラムを受け構成することである。①~④の理由により、裁判官により裁量保釈が認められるべきである旨主張しました。
また、①再犯のおそれがないこと、②更生のための環境が整っていること、そして ①②の具体的な根拠を主張しました。
その結果、ご本人様には保釈が認められ、裁判官が「懲役刑を科すが、長期間の執行猶予を付し、社会内で更生の機会を与えるのが相当」と判断したことにより、執行猶予判決となりました。

【まとめ】

薬物犯罪では限られた場合(シンナーなど)を除き、罰金刑のみで処罰されることがありません。
執行猶予付き判決をとれるかどうかが、大きな分岐点です。
ですが、薬物の使用で裁判になったとしても、初犯であれば執行猶予付き判決となることがほとんどです。
しかし、薬物犯罪は再犯率が非常に高い犯罪で、薬物犯罪事件で執行猶予判決となり、その執行猶予期間中に再度薬物犯罪事件を起こした場合には、ほぼ確実に実刑判決(執行猶予がつかない判決)となります。

今回の事例のように、執行猶予期間満了後の再犯については、執行猶予期間が満了してからどの程度の期間がたっているかによって執行猶予付き判決となるかが変わってきます。
概ね前回の判決から10年以上経過していれば、執行猶予付き判決を目指していくことも可能です。
ですが、裁判所に対し、執行猶予付き判決とすることが相当であると判断されるには、適切かつ効果的な弁護活動を行わなければなりません。

裁判所や検察庁への主張・申立ては、刑事事件、薬物事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

このコラムをご覧の方で、家族やご自身が薬物事件を再び起こしてしまったが、執行猶予付き判決を目指したい、という方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、薬物事件に関するご相談を
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。

 

【解決事例】名古屋市守山区の麻薬及び向精神薬取締法違反事件で執行猶予処分を獲得

2022-10-04

名古屋市守山区の麻薬及び向精神薬取締法違反事件で執行猶予処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは、名古屋市守山区にあるコンビニエンスストアの駐車場に自家用車を停車させ、仮眠をとっていたところ、付近をパトロールしていた警察官に職務質問を受けました。
その際、Aさんが何かを隠すような素振りを見せたことを不審に思った愛知県守山警察署の警察官が、Aさんの許可を得て車内を検査したところ、LSD(麻薬の一種)が見つかりました。
その後守山警察署で取り調べを受けたAさんは、警察官に「鑑定の結果次第では再度取り調べを行うから、その際は出頭するように。」と言われました。
相談時、Aさんは、「自分は10年以上前に大麻取締法違反で執行猶予付き判決を受けている。既に執行猶予期間は明けているが、それを理由に今回の件が実刑判決にならないか心配です。」とお話されました。
(フィクションです)

【具体的な弁護活動】

Aさんはその後の捜査・取調べの結果、麻薬及び向精神薬取締法違反の罪で起訴され、裁判となりました。
まず、弁護士が裁判において、被告人が薬物依存から脱却するため、自らの意思で通院治療や自助グループへ積極的に参加していることから、再度の執行猶予を与えることで、薬物依存脱却の機会を与えるべきだと主張しました。
また、Aさんは今回の件を理由に勤務していた会社を退職していましたが、執行猶予付き判決となれば再雇用することを当該会社が約束していることや、今後はAさんの父が監督をすること、薬物に関する人間関係を全て断絶するために当時使用していた携帯電話を解約していることなど、再犯防止・生活安定のための環境が整っていることも主張しました。
さらに、Aさんに同種前科があることについても、10年以上再犯に至ることなく生活していることから、再犯を理由に実刑に処するほどの非難に値せず、執行猶予付き判決が相当であると主張しました。
その結果、Aさんは執行猶予付き判決となりました。

【まとめ】

薬物犯罪で少しでも刑事処分を軽くしたいと考えている場合、被告人が深く反省していることだけでなく、薬物犯罪に手を染めない(再犯をしない)ための具体策実施と環境作りが十分にとられていることを裁判で適切に主張することが重要になります。
今回のケースでも、Aさんが薬物依存脱却へ向けて通院治療や自助グループへの参加をしていることや、Aさんだけでなく周りの人たちがAさんの社会復帰のための環境作りに尽力することを約束していることなどを適切に主張したことが、執行猶予付き判決の獲得に繋がったと考えられます。
また、同種前科があっても、今回のケースのように、既に執行猶予期間が経過し、その後数年間再犯がなかったような場合には、適切な弁護活動により実刑判決を回避できる可能性があります。

薬物犯罪で少しでも刑事処分を軽くしたいと考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回の事案のような麻薬及び向精神薬取締法違反事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

シンナーを正当な目的で所持すること

2022-09-28

シンナーを正当な目的で所持することについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

AさんはDIYが趣味で、自宅で塗料を希釈するために、ホームセンターでシンナーを購入し、帰途についていました。
帰宅途中、Aさんは名古屋市名東区の路上で、愛知県名東警察署の警察官から職務質問を受けました。
警察官は、Aさんが所持していたシンナーについて「吸うために持っているんだろう」と言い、Aさんが「DIYで使う」と説明しても納得してくれませんでした。
結局、Aさんは近くの交番へ行くことになり、毒物及び劇物取締法違反容疑で話を聞かれた後、Aさんには犯罪は成立しないとして開放されました。
(フィクションです)

【シンナーは持っているだけで犯罪になるのですか?】

シンナーは持っているだけで犯罪になるのか?と心配になった方もいらっしゃるかもしれません。

Aさんは塗料を希釈するためにシンナーを持っていた、というようにシンナーには溶剤としての使い道があります。
シンナーについては、あくまで「吸入目的」で所持していなければ、犯罪にはなりません。
ですので、事例のような場合は、毒物及び劇物取締法違反は成立しません。

参考に、シンナー関係の法定刑についてみていきましょう。
毒物及び劇物取締法に規定があり、広く犯罪行為が規定されていますが、代表的なものとして

①無登録販売等
3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこの併科

②(摂取・吸入・これら目的の所持を知情しての)販売、授与
2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科

③摂取・吸入・これら目的の所持
1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金又はこの併科

などがあります。

【正当な目的で所持していたのに検挙されたら】

事例の場合、Aさんはその場で犯罪は成立しないと判断されました。
しかし、正当な目的でシンナーを所持していて、毒物及び劇物取締法違反として検挙されてしまったらどうしたらよいのでしょうか。

その時は、取調べで不利な調書を作られるなどされた結果の冤罪を防ぐためにも、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談してください。

正当な理由でシンナーを所持していたことを、弁護士から捜査機関に主張していくことや、
もちろん捜査の過程(職務質問・所持品検査・取り調べなど)で、重大な違法行為があれば、その旨を主張していくことも可能です。

シンナーなど、薬物事件で検挙されたけど、その理由や捜査に納得がいかない方は、これからどうするべきかを薬物事件や刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多く扱う刑事事件専門の法律事務所です。
シンナーを正当な目的で所持していたのに検挙されてしまった、検挙されたが捜査に納得がいかないという方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

危険ドラッグを使用して死亡事故を起こす

2022-08-23

危険ドラッグを使用して死亡事故を起こすことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは普段から危険ドラッグを使用して自家用車を運転していました。
ある日Aさんが、いつものように危険ドラッグを使用しながら名古屋市東区内を運転していたところ、Aさんは意識が朦朧としてしまい、前方の青信号で横断歩道を歩いているVさんに気付かずVさんを撥ねてしまい、Vさんは死亡してしまいました。
Aさんは危険運転致死罪で愛知県東警察署の警察官に現行犯逮捕されましたが、Aさんは「二度と危険ドラッグを使わないから、何とか今回だけは会社にばれないようにできないだろうか」と考え、弁護士に連絡をとりたいと考えています。
(フィクションです)

【危険ドラッグを使用して死亡事故をおこす】

危険ドラッグを使用して死亡事故をおこした場合は、自動車運転処罰法第2条にある、危険運転致死罪に問われることになります。
条文は

次に掲げる行為を行ない、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
(1)アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
(2)~(8)省略

とあります。

危険ドラッグとは、一般的に覚醒剤や麻薬と同種の成分や類似の化学物質を混入させた植物片等を意味します。
危険ドラッグには、麻薬や覚醒剤よりも危険な成分が含まれていることがある、とても危険な薬物です。
使用すれば様々な健康被害をもたらし、最悪の場合は死に至ります。

【会社に知られたくないのですが…】

Aさんは現行犯逮捕されており、このまま勾留される可能性が高いと思われます。
もし、勾留されてしまえば、逮捕と併せて最長23日間警察署の留置場に留め置かれることになります。
更に接見禁止決定がつけば、弁護士以外の人との面会や手紙のやり取りが禁止されます。
勾留中は外部との連絡がほぼ途絶えてしまうため、長期間会社を無断で欠勤することになり、そこから会社側は何があったのかをご家族等に聞き、家族から話さざるを得なくなることがあります。

また、Aさんのように、薬物を使用して更に死亡事故をおこしたとなると、このような事件は社会的影響が大きいため、報道機関に注目される可能性が高く、報道や事件が公表されないようにすることは、かなり困難であると言わざるを得ません。

よって、早期の釈放を求め捜査機関と交渉する、事件を公表しないように捜査機関に働きかける、事件が報道された場合は報道機関に記事の訂正や削除を求める、などの弁護活動をしていくことになるでしょう。

薬物犯罪における釈放の交渉、捜査機関や報道機関への働きかけは、薬物犯罪ではない事件に比べ、難しいものとなります。
刑事事件や薬物事件に強い弁護士に、「こんなことを頼んでよいのか…」と思わず、ぜひ一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を多く扱う刑事事件専門の法律事務所です。
危険ドラッグを使用して死亡事故を起こしてしまった、会社に事件のことを知られたくないとお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。

【解決事例】豊橋市の覚醒剤取締法違反事件で保釈許可獲得

2022-08-14

覚醒剤取締法違反事件で保釈許可を獲得したことにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

ご本人様(20代女性)は夫と共に覚醒剤を使用したとして、愛知県豊橋警察署に逮捕、勾留されました。
ご両親は、「娘がいないことで孫たちが精神的に不安定になっており、私たちも限界です。娘のことは私たちがしっかり見ていきますので、どうか娘を釈放してもらえませんでしょうか。」
と相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【覚せい剤取締法違反について】

覚せい剤の譲渡・譲受・所持・使用につきましては
①営利目的がない場合は、法定刑は10年以下の懲役です。
②営利目的がある場合は、法定刑は1年以上の懲役で、情状により500万円以下の罰金が併科されます。

【弁護活動】

裁判所に対し、①保釈をしても罪証隠滅を行うことは不可能であること、②保釈をしなければ、ご本人様家族への悪影響が甚大であること、③保釈をしても逃亡の可能性はないこと、④ご本人様に必要なのは勾留ではなく、薬物更生プログラムを受けることであること、などを主張しました。
その結果、保釈が認められ、ご本人様は約20日ぶりにご自宅に戻ることができました。
また、「情状により執行猶予に付することが相当であること」と認められたため、執行猶予付き判決となりました。

【薬物事件の保釈について】

まず保釈とは、身柄拘束されている被告人(起訴された人)が、一定金額のお金(保釈金)を納付して身柄を解放してもらう制度のことです。
刑事訴訟法には、

①被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役、若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
③被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者、若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき 

以上①~⑥に該当しなければ保釈を許してもらえるとされています。
しかし、覚せい剤取締法違反事件をはじめ、薬物事件は③と④に該当すると裁判所に判断される可能性が高く、保釈の難度は高いと言われています。
これは薬物事件の、再犯率が高い、証拠隠滅が比較的簡単に行える、などの性質によるものでしょう。

保釈の請求につきましては、法律の専門家である弁護士、その中でも刑事事件や薬物事件に強い弁護士にお任せすることをお勧めいたします。

このコラムをご覧の方で、薬物事件で起訴をされた家族を保釈して欲しいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、薬物事件に関するご相談を

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

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税関職員によるあへん煙の輸入と自首

2022-07-18

税関職員によるあへん煙の輸入と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは税関の職員ですが、1か月ほど前より友人の暴力団員Bさんに頼まれて、Bさんが所属する暴力団が行っている、あへん煙のが入った密輸入した荷物を故意に見逃すなど密輸入に協力していました。
AさんはBさんから「これからも頼むよ」と協力するように言われていますが、Aさんは良心の呵責に耐えかねて自首を検討しています。
(フィクションです)

【あへん煙とはどのようなものですか】

あへん煙とは、煙を吸うためのあへんのことで、「あへん煙膏(えんこう)」ともいわれています。
ケシという植物の液汁を乾燥させて固めたものを「生あへん」といい、生あへんを加工して煙を吸うために使われるのが「あへん煙膏」です。

【どのような罪に問われますか】

あへんについては、「あへん法」や「麻薬特例法」の規制を受けることになりますが
今回のように税関職員があへん煙、あへん煙を吸引・摂食するための器具を輸入・輸入の許可をした場合には刑法第138条の規制を受けることになります。

刑法第138条について詳しく見ていきましょう。

刑法第138条(税関職員によるあへん煙輸入等)
税関職員が、あへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入し、又はこれらの輸入を許した時は、1年以上10年以下の懲役に処する。

とあります。
また、未遂は罰せられます。(刑法第141条)

刑法第138条は、前段があへん煙等の輸入罪、後段があへん煙等の輸入許可罪に分けられます。

輸入罪は、あへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入することを、税関職員という身分のある者が犯すことで刑罰が重くなる不真正身分犯です。

輸入許可罪は、輸入を取り締まる立場にいるはずの税関職員が、他人があへん煙輸入罪とあへん煙吸食器具輸入罪を犯すことに協力する犯罪です。
輸入の許可をする立場にある税関職員のみが犯すことができる真正身分犯です。

※不真正身分犯とは、構成要件において行為者が一定の身分をもつことで法定刑が加重あるいは減軽されるものをいいます。
※真正身分犯とは、構成要件において行為者が一定の身分をもたなければ犯罪を構成しないものをいいます。

【自首をしたい】

自首とは、犯罪事実や犯人が誰であるかが発覚する前に、犯人自らが捜査機関に対して、自分が罪を犯しましたと申告し処分を委ねることです。
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができると刑法第42条で定められており、裁判所の判断により刑が減軽されることがあります。
しかし、自首が成立しても、必ず刑が軽減されるわけではなく、軽減されるか否かは裁判所の判断にゆだねられます。

さらに、自ら警察署に赴いて罪を認めても、自首が成立しないことがあります。
自首が成立する要件として

①捜査機関に発覚する前の申告であること
②自発的に自己の犯罪事実を申告すること
③自己の訴追を含む処分を求めること
④捜査機関に対する申告であること

があります。

もちろん自首をすれば事件が明らかになり、最終的には刑罰を受けるおそれがありますので、本当に自首をすべきかどうかは、今警察署に行って犯罪事実を申告することが自首に該当するのかどうかも含め慎重に判断すべきです。

自分が何らかの罪を犯したことが間違いないのであれば、自首をするべきかも含め、これからどうしたら良いのかを一度薬物事件や刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多く扱う刑事事件専門の法律事務所です。
税関職員だがあへん煙の密輸入に関わってしまった、家族が税関職員によるあへん煙輸入等罪で逮捕されてお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。

処方箋の偽造と逮捕

2022-06-30

処方箋の偽造と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

愛知県稲沢市に住むAさんは不眠症を患っており、毎月睡眠薬(向精神薬)を処方されていました。
しかし睡眠薬が効きにくくなったAさんは、もっと大量に睡眠薬が欲しいと思いました。
そこでAさんは自分に処方された処方箋を大量にカラーコピーして、それを愛知県内の複数の調剤薬局の受付に提示して睡眠薬を不正に受け取っていました。
Aさんはこれを1年にわたり繰り返していましたが、ある日愛知県稲沢警察署の警察官がAさんの自宅に来て逮捕状を提示して、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)

【処方箋の偽造や行使は犯罪になります】

処方箋をパソコンで自分で作成したり、カラーコピーしたり、薬を書き加えたり等をして薬局に持ち込み、不正に処方薬を受け取ることは犯罪になります。
どのような犯罪になるのか具体的に見ていきましょう。

1 詐欺罪(刑法第246条)

・人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
・前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

2 私文書偽造罪(刑法第159条)

・行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
・他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、同様とする。
・刑法159条1項と2項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

3 偽造私文書等行使罪(刑法第161条)

・刑法159条(私文書偽造行使等)と160条(虚偽診断書等作成)の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
・前項の罪の未遂は、罰する。

4 麻薬及び向精神薬取締法違反

・麻薬及び向精神薬取締法第70条第14号の規定により、1年以下の懲役若しくは20万円以下の罰金、又はこれを併科

麻薬が処方される処方箋を偽造し、又は変造した場合にとわれます。

・麻薬及び向精神薬取締法第72条第4号の規定により、20万円以下の罰金

向精神薬が処方される処方箋を偽造し、又は変造した場合にとわれます。


1の詐欺罪は、薬局の受付員に対し、偽造した処方箋をあたかも真正な処方箋のように提出し、欺いた結果、薬を処方されたので詐欺罪が成立します。
2と3の私文書偽造罪と偽造私文書等行使罪については、それが無ければ薬の処方が受けられない処方箋を偽造し、薬局に提出(行使)していますので、両罪が成立します。
4の麻薬及び向精神薬取締法違反については、処方箋に麻薬、若しくは向精神薬が含まれていれば成立します。

今回Aさんは、詐欺罪・私文書偽造罪・偽造私文書等行使罪・麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されたものと思われます。

【逮捕された後はどうなるのですか】

・逮捕について
今回Aさんは逮捕状を提示されて逮捕されましたが、これを通常逮捕といいます。
逮捕にはその他、緊急逮捕、現行犯逮捕(準現行犯逮捕含む)があります。
逮捕されると、警察官は逮捕時から48時間以内に身柄を釈放するか検察官に送致するかを決定します。
送致された場合、24時間以内に検察官は被疑者を勾留するか否かを決定し、勾留する場合には、裁判所に対し勾留請求を行います。

・勾留について
検察官の勾留請求が裁判所に認められれば、まずは10日間の身体拘束が認められ、場合によってはさらに10日間の延長が認められます。
つまり一度逮捕されると、逮捕から勾留請求までの時間を含めて、最大で23日間の身体拘束を受ける可能性があるということになります。
勾留されると外部との連絡を制限され、さらに接見禁止決定がつくと、基本的に弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)ができなくなります。

・起訴について
検察官は起訴をするのか、それとも不起訴にするのか、被疑者に対する処分を決定します。(勾留されている場合には、勾留期間が満了する前に決定します。)
起訴されると、刑事裁判が始まります。
起訴された後は、留置されていれば警察署の留置場から拘置所に移動することがあります。
また、一定の金銭を裁判所へ預けることによって、身柄拘束から解放してもらうこともできるようになります。(保釈といいます。)

・公判について
裁判では、無罪判決か有罪判決の言渡しを受けます。
有罪判決の場合には、執行猶予を付けられるかどうかが判断されます。


以上が逮捕された後の大まかな事件の流れです。
刑事事件に強い弁護士は、事件の各段階において、適切な弁護活動を行っていきます。
ご家族が逮捕されてお困りの方は、ぜひ刑事事件に強い弁護士に事情をお話しください。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
処方箋を偽造した、家族が詐欺罪や私文書偽造罪、偽造私文書等行使罪、麻薬及び向精神薬取締法違反て逮捕されてお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせください。

ヘロインと強盗殺人未遂罪と保釈

2022-06-12

ヘロインと強盗殺人未遂罪と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは違法薬物の売人であるVさんに対し、待ち合わせ場所の愛知県春日井市の路地裏で代金を支払う意思がないのに「ヘロインを売ってくれ」と頼みました。
AさんはVさんからヘロインを受け取りましたが、Aさんは代金支払いを免れるために出刃包丁でVさんの腹部を刺し逃走しました。
Vさんは通行人に救助され一命をとりとめましたが、Aさんは強盗殺人未遂罪と麻薬及び向精神薬取締法違反で愛知県春日井警察署に逮捕・勾留され、その後起訴されていますが、Aさんの家族はAさんが刑務所に行く前に一度自宅に帰ってきてほしいと考えています。
(フィクションです)

【ヘロインとはどのようなものですか?】

ヘロインとは、けしを原料とした薬物のことで、けしからあへんを採取し、あへんから抽出したモルヒネを精製して作られており、「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬として規制されています。
モルヒネになる前のあへんとは、けしから採取した液を凝固させたもののことです。
原料であるけしの栽培やあへんの採取、あへん及びけしがらの輸出入、所持などは「あへん法」により規制されています。

ヘロインは、強い精神的・身体的依存が特徴の薬物で、ヘロインを使用すると強い陶酔感や快感を覚えます。
しかし、2~3時間ごとに摂取しないと、体の激しい痛み、悪寒、嘔吐、失神などの激しい禁断症状が起こります。
また大量に摂取すると死に至ります。
ヘロインについては、医学的な使用も一切禁止されています。

ヘロインの所持については、麻薬及び向精神薬取締法に規定があり
営利目的が無ければ、法定刑は10年以下の懲役です。
営利目的があれば、法定刑は1年以上の懲役で、情状により500万円以下の罰金を併科されます。

【強盗殺人未遂罪について】

このような事例については既に判例があり、

「違法薬物をだまし取った後に、代金支払いを免れるために殺人を行おうとしてこれが未遂に終わった場合、代金支払いを免れるという財産上不法の利益をえるためにされたものである以上、この行為は詐欺罪と2項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪が成立する。」とあります。(最高裁判所昭和61年11月18日判決)

※2項強盗とは、刑法に「強盗罪」として規定される行為のうち直接的な「財物の強取」ではなく、代金の支払い拒否などの「経済的利益を不当に奪い取る」ことを目的として行われる強盗行為のことを言います。
強盗罪が規定されている刑法第236条の「第2項」に規定されているため「2項強盗」と呼ばれています。

【Aさんは自宅に帰ることができるのか】

警察署に留置され、起訴されているAさんが自宅に帰るには「保釈」という制度を利用することになります。
保釈とは、身柄拘束されている被告人(起訴された人)が、一定金額のお金(保釈金)を納付して身柄を解放してもらう制度です。
保釈には、必要的保釈と裁量保釈、職権保釈の3種類がありますが、いずれの保釈の場合でも弁護士によって保釈請求書を作成してもらい、保釈請求を行ってもらうことが有効です。

保釈請求が行われた場合、刑事訴訟法第89条に記載されている事項を除いて、裁判所は保釈を許さなければならないとしています。

刑事訴訟法第89条には

①被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

とあり、つまりこれに該当しない時は保釈が認められるということです。

ただし、薬物事件においては上記の③と④に該当すると判断される可能性が高いため、特に薬物事件において保釈を希望されるときは弁護士にしっかり主張してもらうのがよいでしょう。

また、上記の89条の保釈が認められなくても、刑事訴訟法第90条に基づく保釈を請求することができます。
 
刑事訴訟法第90条に基づく保釈とは、裁判所が適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができるとしていることで、裁判所の裁量により行われる保釈です。
しかし、裁判所の職権で保釈の判断がされるため、これもやはり弁護士に裁判所に対ししっかりと主張してもらうことが大切です。

また、保釈請求が認められたとしても、保釈金を裁判所に預り金として支払わなくてはなりません。
保釈金は仮に後の裁判で有罪判決を受けたとしても裁判所から返還を受けることができますが、保釈金の金額については、人それぞれですので、一概に金額を見積もることは困難です。
また、薬物事件の場合は再犯率や逃走の恐れの観点から、保釈金は高額になる傾向があります。

最後に職権保釈についてですが、職権保釈とは刑事訴訟法第91条に基づいた、勾留による拘禁が不当に長くなった場合には、保釈を許さなければならないというものです。

保釈を希望される方は、刑事事件、薬物事件に強い弁護士に、ぜひ一度ご相談ください。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
麻薬及び向精神薬取締法違反事件や強盗殺人未遂罪で逮捕された方のご家族等は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせください。

MDMAの所持と一部接見禁止解除

2022-05-07

MDMAの所持と一部接見禁止解除について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは名古屋市昭和区の路上でMDMAを所持していたとして愛知県昭和警察署に逮捕されました。
その後検察庁に送致され、愛知県昭和警察署において勾留されることになり、その際Aさんには「接見禁止」がつきました。
Aさんは、友達に会えなくなるのはしょうがないが、家族には会って伝えたいことがあるので、弁護士を呼んで相談しようと考えています。
(フィクションです)

【MDMAとはどのようなものですか】

MDMAは「メチレンジオキシメタンフェタミン」という薬品名の略称で、いわゆる合成麻薬です。
ケシなどの植物からつくられる薬物のことは麻薬と呼ばれます。
これに対し合成麻薬とは、化学的に合成された麻薬の一種で覚醒剤と似たような化学構造の薬物で、一般的に流通している薬物から加工されて作られることが多いのです。

MDMAはエクスタシーと呼ばれることもあり、服用すると幸福感や興奮を高める作用があります。
しかし、服用を続けると精神錯乱や記憶障害を引き起こしたり、最悪の場合は死に至ります。

MDMAの所持・使用・製造・輸出入・譲渡・譲受等の行為は、「麻薬及び向精神薬取締法」によって処罰されます。

●輸入・輸出・製造
営利目的 :1年以上の有期懲役又は情状により500万円以下の罰金の併科
それ以外 :1年以上10年以下の懲役

●所持・譲渡・譲受・使用
営利目的 :1年以上10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金の併科
それ以外 :7年以下の懲役

【接見禁止とはどのようなことですか】

接見禁止とは、弁護士以外の人と面会ができなくなるということです。
薬物事件は証拠隠滅の恐れが高いとみなされることが多く、接見禁止がつきやすいのです。

【では家族との面会も諦めるしかないのでしょうか…】

弁護士を通して、接見禁止の解除を裁判所に申し立てることができます。
接見禁止の解除とは、接見禁止を解除し、弁護士以外の者との面会を可能にすることをいいます。

また、接見禁止の一部解除の申立てを行うこともできます。
接見禁止の一部解除とは、裁判所が認めた範囲の人のみに面会を認めることです。

つまり事件関係者の可能性がある者との面会は認めないが、事件に全く関係のない家族や親戚などなら面会を認める、という場合は接見禁止の一部解除となるのです。

全く事件とは関係のないご家族と面会を希望する際は、弁護士に接見禁止の全部又は一部解除の申し立てを依頼するとよいでしょう。
家族が勾留されて面会に行きたいが、接見禁止により面会ができずに困っている方は、刑事事件に強い弁護士にぜひご相談ください。


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ご自分やご家族がMDMAを所持して逮捕された、家族と面会ができずお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。

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