自白強要と冤罪事件

今日は、冤罪事件発生の大きな原因とされている、捜査機関の違法・不当な取調べによる自白強要の危険についてです。

以前から日本では、自白が重要な証拠であり、逮捕・勾留時における取り調べでも自白獲得を至上命題とする「自白偏重」の風潮がありました。1966年に発生した袴田事件では、容疑者とされた袴田巌さんは、捜査機関から1日平均12時間、長い日には16時間を超えるような厳しい取調べを受けて、犯行を自白させられました。現在でも、自白偏重の風潮は完全になくなったとは言えず、警察や検察などの捜査機関の取り調べでは、自白を得るために高圧的で強引な取り調べが行われ易くなっています。なかには、自白を得るために違法・不当な取り調べが行われるケースも存在します。逮捕された人(被疑者)は、取調室という密室で、外部との接触を制限されて、毎日のように捜査機関から取り調べを受けることになります。さらに、取り調べを担当する警察官や検察官は捜査・取調べのプロであり、強力な捜査権限と組織力を持った捜査機関の人間です。捜査・取調べのプロである警察官や検察官による過酷な取調べで、逮捕された被疑者が精神的に追い詰められて、虚偽の自白をさせられてしまう危険があるのです。

虚偽の自白をさせられてしまった場合、争わない限り、自白はたとえ内容が嘘であろうと裁判で被告人の有罪・量刑(刑の重さ)を決める重要な証拠として採用されてしまいます。その結果、冤罪が生じることになるのです。嘘の自白が一番生じやすいのが、逮捕後間もない弁護士がついてない時期です。この時期は特に、容疑者の精神状態が脆くなるために、違法・不当な取り調べが行われ易くなります。捜査官から「早く留置場から出たければ自白しなさい」「自白したら家に帰してあげる」なんて言われて、自白したというケースもよく見かけます。しかし、虚偽の自白は冤罪の大きな原因になります。冤罪事件の発生を防ぐためには、虚偽の自白をさせられないように、逮捕されたらすぐに刑事事件や取調べに強い弁護士に相談してください。

 

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