冤罪事件はなぜ生まれるのか

2014年3月27日、静岡地方裁判所は、袴田巌さんの第2次再審請求事件において、袴田事件の再審開始決定及び袴田さんに対する死刑と拘置の執行停止の決定をしました。再審開始決定の中で静岡地方裁判所が捜査機関による証拠ねつ造の可能性を指摘したことで、袴田事件の再審においては、袴田さんに無罪判決が出る可能性が高まっています。もし、再審で無罪判決が確定すればば、袴田事件は、日本の再審で確定死刑判決が覆った5例目の冤罪事件となります。そこで、これから数回にわたって、冤罪事件について書いていこうと思います。

冤罪とは、無実の罪や無実であるのに犯罪者として扱われてしまうことをいいます(刑事事件用語集参照)。

無実の罪で犯罪者として扱われ、場合によっては有罪判決によって刑罰を受けるなどという悲惨な冤罪事件がどうして起きるのでしょうか。冤罪事件が発生する大きな原因の1つとして、捜査機関の違法・不当な取調べに基づく自白の強要が挙げられています。現在までに再審無罪判決が確定している冤罪事件の多くで、捜査機関の違法・不当な取調べに基づく自白の強要が指摘されてきました。袴田事件でも、袴田さんは、捜査機関から1日平均12時間、長い日には16時間を超えるような厳しい取調べを受けて、犯行を自白させられました(袴田事件の裁判では、捜査機関によってとられた袴田さんの自白調書45通のうち44通については、取り調べそのものが違法だったとして証拠として採用されませんでした)。

再審で無罪判決が確定した冤罪事件はいずれも事件から長い年月が経っていますが、冤罪事件発生の原因となる警察や検察などの捜査機関による自白強要については、残念ながら現在でもその傾向がなくなったとは言い切れません。自白強要の危険は常に存在しています。次回は、冤罪事件発生の大きな原因とされている、捜査機関の違法・不当な取調べによる自白強要の危険について書いてみたいと思います。

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