名古屋市守山区の刑事事件 金融商品取引法違反 有価証券(株式)売買と不正取引

2018-05-17

名古屋市守山区の刑事事件 金融商品取引法違反 有価証券(株式)売買と不正取引

名古屋市守山区に住むAさんは、B株式会社の株主でした。
しかし、B株式会社の業績は低迷し、株式価格はほとんど0円に近い状況になっていました。
そこでAさんは、B社の株式が市場で活発に取引されている状況を作り出せば、他の投資家がB社の株式に注目し、株式価格が上昇すると考え、本来は自己の所有するB社株を売却する意思がないにもかかわらず、Cさんとの間で売買が成立したかのように見せかけ、B社株2000株の取引が市場で行われたような状況を作出しました。
Aさんの行為はどのような罪に当たるのでしょうか。
(フィクションです。)

~不正取引の罪~

金融商品取引法157条1号は、「何人であっても、有価証券の売買について、不正の手段、計画又は技巧をすること」を禁じています。
この法律の指す、「不正の手段」という文言の意味は非常に広くなっており、「社会通念上不正と認められる一切の手段」を意味するとされています。
今回の上記事例のAさんの行為は、株式売買が行われていないのに、それがあるかのように見せかけ、株価を上昇させようとしていますから、「不正の手段」を用いたと言え、金融商品取引法157条に違反している可能性が考えられます。

ところで、金融商品取引法では、他にインサイダー取引(金融商品取引法166・167条)なども規制されています。
このインサイダー取引も「不正の手段」に当たると考えられますが、インサイダー取引の罰則が「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(又はこれらの併科)」とされているのに対し、この「不正の手段」を用いた金融商品取引法157条違反は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(又はこれらの併科)」とされ、より重く処罰されています。

そのため、実務上はほとんどインサイダー取引等、個々の罰則で対応され、この不正取引の罪が適用されることはほとんどありません。
しかし、処罰の重さに着目して、インサイダー取引等の中でもより悪質性の高い事案については、積極的に不正取引の罪を適用すべきであるという議論もあり、空文化している条文ではないようです。
なお、「不正の手段」を用い、実際に相場を変動させ、有価証券の取引を行った場合には、罰金が3000万円に引き上げられます。