詐欺事件で示談

2020-03-12

詐欺罪示談について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは,競馬により多額の借金を抱えてしまい,手軽にお金を稼ぐ方法を模索していました。
そうしたところ,ニュースで組織的な特殊詐欺事件が報道されているのを目にし,いわゆる振り込め詐欺を行うことにしました。
そして,愛知県江南市に住むVさん(72歳)に電話をかけ,「あなたの息子さんに車でぶつかられた。慰謝料として200万円を払ってほしい」と嘘をつき,騙されたVさんから200万円の入金を受けました。
後日,Vさんは家族から詐欺であることを指摘され,江南警察署に相談しに行きました。
これにより,Aさんは詐欺罪の疑いで江南警察署に逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの母親は,弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【詐欺罪について】

刑法(一部抜粋)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は,他人を騙して財産を得た場合に成立する可能性のある罪です。
要件となる行為の内容をより詳しく見ると,①他人を欺く行為によって②他人を錯誤(勘違いなど)に陥らせ,③そうした状態にある他人から財産の交付を受けることが必要となります。
これらの行為に加えて,詐欺罪の故意,すなわち自身が詐欺に当たる行為に及んでいることの認識も要求されます。

上記事例において,AさんはVさんに対し,Vさんの息子が人身事故を起こしたかのように偽って慰謝料を要求しています。
そして,これによりVさんはAさんの主張どおりの事実があったと誤信し,Aさんに対して200万円の振込を行っています。
そうすると,Aさんの行為は上記①から③を満たすと考えられます。
そして,Aさんが敢えて嘘をつくなどしたことは疑いようもないため,Aさんには詐欺罪の故意もあったと言えます。
以上より,Aさんには詐欺罪が成立すると考えられます。

【刑事事件における示談】

示談とは,事件や事故の被害者に対して謝罪や被害弁償などを約束し,これによって当事者間で事件が解決したことを確認する合意のことです。
法的には,民法695条以下に規定されている和解契約の一種とされています。

刑事事件においては,処分を決めるに当たり示談の有無が重視されることがよくあります。
本来,示談は当事者間で締結される私的な契約であるため,国家が刑罰を科すべきか決める刑事事件とは無関係のように思うかもしれません。
ですが,そもそも刑事手続というのは,権利や利益の侵害が違法であるとして,国家が加害者に対して刑罰を科すためのものです。
そのため,刑罰を科すべきかどうかの判断に当たっては,権利や利益の侵害を受けた被害者の意思も考慮されます。
こうした事情から,被害者の意思を示す示談の存在が重要視されるというわけです。

注意しなければならないのは,被害者との示談が成立したからといって,それにより直ちに刑事事件が終了するわけではないということです。
先述のとおり,刑罰を下す国家と加害者との関係は,事件の当事者である加害者と被害者との関係とは別です。
そのため,示談により民事上の解決に至ったとしても,そのことが必ずしも刑事上の責任の回避につながるとは限らないのです。
とはいえ,示談の成立が不起訴や執行猶予に結びつきやすいことは,実務の傾向からしても明らかだと言えます。
ですので,事件を少しでも良い方向へ導くなら,示談の成立を目指すのは重要となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,豊富な経験を武器に示談交渉に臨みます。
ご家族などが詐欺罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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