ライブ配信と公然わいせつ罪

ライブ配信と公然わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県設楽町に住む女性Aさん(50歳)、男性Bさん(42歳)、男性Cさん(48歳)は共謀し、ライブ動画配信サイトを利用し、今年の2月と6月の2度にわたり、名古屋市のマンションの一室で、女性が下半身を露出するなどの行為をしている映像をライブ配信し、インターネットを通じてわいせつ行為のライブ映像を不特定多数の視聴者らに閲覧させた公然わいせつの疑いで逮捕されました。Aさんの家族から接見の依頼を受けた弁護士がAさんと接見しました。
(事実を基にしたフィクションです。)

~公然わいせつ罪とはどんな罪?~

公然わいせつ罪といえば、公園や駅などの公共の場で、全裸姿、あるいは、一部の性的部位を露出するなどしてわいせつ行為に及ぶという態様が典型的ですが、最近ではインターネットなどの普及によって、インターネット上でわいせつな行為をし、公然わいせつ罪で逮捕されるという事例が散見されます。

では、この公然わいせつ罪とはどんな罪なのでしょうか?
公然わいせつ罪は刑法174条に規定されていますから規定の内容から確認しましょう。
 
刑法174条
 公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

まず、「公然と」とは、不特定又は多数人が認識することができる状態をいいます。「認識することができる状態」であれば公然となるわけですから、必ずしも認識されている必要はありません。インターネットの世界では、世界中の誰もがいつでも、そこでも、好きなときに情報を得ることがでいる世界であることは既に周知の事実であるといっても過言ではありません。そこで、全裸でわいせつな行為をする動画を生配信している際、たまたま誰からも閲覧されていなかったとしても「公然」に当たりますし、閲覧されいたとすればなおさら「公然」に当たるでしょう。
次に、「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の物の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの、とされています。全裸となる行為はもちろん、自らの下半身を露出する行為や、性交渉を見せつける行為などもこれに当たります。

ところで、事例の中でも出てきた「共謀」とはどういう意味なのでしょうか?

この「共謀」とは共謀共同正犯のことを意味します。
共謀共同正犯とは、共犯者間(本件では、Aさん、Bさん、Cさんの間)で特定の犯罪(本件では公然わいせつ罪)を犯す意思があり、自己の犯罪を実現する意思で他者の行為を利用した(または他者から利用された)という関係が認められる場合に、特定の犯罪の行為(本件では、公然わいせつ罪の「わいせつな行為」)を行っていない者(本件では、Bさん、Cさん)も正犯とする、というものです。

つまり、事例からすれば、公然わいせつ罪の実行行為を行ったのはAさん(正犯者)です。
しかし、Bさん、Cさんが、例えば、動画を配信するための機材や部屋にかかる費用を負担するなどしていれば、たとえわいせつな行為を行っていなくても、わいせつな行為をしたのと同様(Aさんと同様)の責任を負う、ということになります。

~公然わいせつ罪で逮捕されたら?~

逮捕されたら、早めに弁護士と接見することをお勧めいたします。
なぜなら、刑事事件において、いったん不利な話をしてしまうとその話を覆すことに多大な労力と時間を要するため早めに手を打つ必要があること、早めに弁護活動に移ることができ、身柄拘束により被る不利益を最小限に押さえることが期待できるからです。刑事弁護人には、大きく、「私選弁護人」「国選弁護人」「当番弁護人」の3種類がありますが、逮捕直後に接見に来てくれるのは「私選弁護人」と「当番弁護士」です(「国選弁護人」は逮捕→勾留決定が出た(勾留状が発布された後)後に選任されるものです)。ここで、「私選弁護人」と「当番弁護士」のどちらにすべきか悩まれるかもしれません。

まず、①知り合いの弁護士がいるという方は、その弁護士を「私選弁護人」として選任した方がいいでしょう。知り合いの弁護士がいないという方は、ご家族等に弁護士を探してもらえない限り「当番弁護士」と接見するというのも一つのです。「当番弁護士」と接見して、その弁護士が気に入ったのなら、「私選弁護人」として選任することもできます。ただし、「当番弁護士」は、「1回の接見」しか行わない弁護士です。契約を結ばない限りは、具体的な弁護活動を行ってくれるわけではありません。また、当番弁護士の中には、呼んでもなかなか来ない、刑事事件に慣れていないという弁護士もいるようです。もし、何らかの犯罪を犯し、逮捕されそうか不安だ、などという方は、万が一逮捕された場合に備え、今のうちから無料法律相談を利用するなどして自分に合いそうな私選候補の弁護士を探しておいてもいいかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、公然わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

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