職務質問から逃れようとして人身事故を起こした大学生が過失運転致傷罪で逮捕された事件を参考に、職務質問について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事件(8月8日配信のメーテレ記事より引用)
警察官の職務質問から車を運転して逃れようとして、人身事故を起こした大学生が、過失運転致傷罪で警察に逮捕されました。
警察の発表によりますと、警察は、事故の直前に逮捕された大学生に職務質問しようとしており、大学生は、この職務質問から逃れる際に、信号のない交差点で、50代の大生の運転する軽四自動車と衝突する人身事故を起こしたようです。
本日のコラムでは、この事件を参考に職務質問について解説します。
職務質問
逮捕や家宅捜索(捜索差押)等の強制捜査とは異なり、道を歩いている際に、唐突に警察官から質問をされる職務質問は、警察官が街の治安維持などのために行う任意捜査の一つです。
職務質問はあくまで任意捜査であるので、職務質問に応じる義務はなく、応じるか応じないかはあなた次第です。
しかしながら、職務質問は警察官職務執行法という法律に基づいて行われるものであり、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者…を停止させて質問することができる」と規定されています。
つまり、警察官は、誰にでも手当たり次第に職務質問できるわけではなく、警察官自身が「この人何かおかしいぞ」、「何か隠しているんじゃないか」と思った場合は、質問することができるとされています。
そのため、警察官からの職務質問に対して、何もやましいことがないのに「任意なんですよね?なら答えません」と拒否することは、逆に警察官に不信感を与え、余計に職務質問を長引かせたり、果ては警察官の応援を呼ばれて、実質的に長時間拘束されることになりかねないので、あまりお勧めする事はできません。
また拒否したからといって、警察官からすれば、簡単に職務質問を諦めていては本当に危険な事案を見逃す可能性がありますから、職務質問に応じるよう執拗に説得を行ってくる場合があり、その押し問答の過程で、警察官に暴行を加えたと判断されると、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されることもあり得ますので、事情があって職務質問を拒否する場合も、細心の注意を払わなければいけません。
違法な職務質問を受けた場合は
職務質問はあくまでも任意の範囲内で許されており、警察官が職務質問を継続するために有形力を行使することは基本的に違法とされています。
しかし現実は、職務質問の際に、移動できないように複数の警察官に取り囲まれて行動を制限されたり、同意していないにも関わらず所持品検査されたりと、とても任意とは言えない、強制とも言える職務質問や所持品検査によって犯罪が発覚し逮捕されるケースがあるようです。
その後の裁判で違法性が認められると、無罪判決がくだる場合もありますが、全てのケースで無罪判決が下されるわけではないので、違法な職務質問によって犯罪が発覚してしまった場合は、職務質問の適法性について弁護士に相談することをお勧めします。
まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
職務質問に限らず、刑事事件についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)にてご相談の予約を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。