愛知県で落書き事件 逮捕後の取調べに強い弁護士
小牧市内では,駅を中心として広範囲にわたり,スプレーで落書きされる被害が,住宅の壁やマンションのゴミ集積所,車のボンネットなどで相次いでいた。
Aは,公園内のトイレの外壁にスプレーで落書きをしたとして,建造物損壊等の容疑で愛知県警小牧警察署に逮捕された。
愛知県警小牧警察署は,Aが上記の小牧市内のスプレーによる落書き被害についても関係があるとみていた。
取調べを受けたAは,取調べ後接見に来た弁護士に対して,自分が落書きしたのは公園のトイレだけで,他は知らないと主張している。
(産経ニュース2015年5月31日配信記事を参考にしました。但し地名・警察署名等は変更してあります。)
Aのように,スプレーによって公園のトイレの外壁や住宅の壁,マンションのごみ集積所,車のボンネットに落書きをした場合には,
・建造物損壊罪(刑法260条)
・器物損壊罪(刑法261条)
・軽犯罪法違反
等が成立することが考えられます。
では,トイレの外壁等にスプレーで落書きすることは,建造物損壊罪等でいう「損壊」に当たるのでしょうか。
一般的に「損壊」とは広く物本来の効用を失わせしめる行為を指すとしています。
そして,「損壊」という言葉の具体的なイメージをつかむにあたっては,平成18年1月17日の最高裁決定が参考になります。
最高裁は,公園内の公衆便所の外壁にラッカースプレーでペンキを吹き付けて「反戦」等と大書した落書き行為は,「損壊」にあたると判断しています。
その建物の外観ないし美観を著しく汚損し,原状回復に相当の困難を生じさせ,その効用を減損させているからです。
この最高裁決定によれば,Aのトイレの外壁にスプレーで落書きする行為も,住宅やマンション等の効用を減損させるに足りる程度であるか否かが,「損壊」の認定を左右するものと思われます。
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