【お客様の声】名古屋市で高齢者による傷害・銃刀法違反事件 保釈及び執行猶予付き判決を獲得
■事件概要
依頼者のお父様(70代男性,無職,前科なし)が,口論を切っ掛けに,模造刀によって,隣に住む親戚に対して傷害を負わせた傷害・銃刀法違反事件。本件事件は凶器を用いた悪質な犯行で,被害も軽視できない程度であるから,厳しい判決内容になることが想定されました。
■事件経過と弁護活動
依頼者である息子様から当事務所に相談があった際,既に被疑者であるお父様は勾留中で,息子様は高齢であるお父様の身を大変心配されておりました。刑事弁護活動の依頼を受けた当事務所の弁護士は,直ちに警察署に赴きお父様本人と接見を行いました。接見では,今回の事件の背景にお父様の精神障害があること,お父様が事件そのものについて反省しており被害者に対し謝罪の意向があることが確認されました。そこで,依頼を受けた弁護士は,お父様に対し謝罪文の作成を指導し,また被害者に対して謝罪と賠償による示談交渉を行うことを提案させていただきました。
本件傷害・銃刀法違反事件は,お父様の抱える精神障害による被害妄想に端を発し,被害者に落ち度がないにもかかわらず切創等の怪我を負わせるなど,被害感情が強いことが想定されて示談交渉も難航することが予想されました。実際,当事務所の弁護士が被害者宅に何度も伺うことになりましたが,お父様に謝罪文を作成していただくことで謝罪と反省の意志を被害者にお伝えするとともに,被害者に対して治療費の支払いや被疑者の奥様による今後の監督等を約束することで,当事務所の弁護士は被害者との示談をまとめることに成功し,被害者からお許しの言葉をいただくことができました。
高齢で精神の障害を抱えているお父様の身を案じた当事務所の弁護士は,直ちに身体拘束の解放に向けた行動に移りました。具体的には,被害者との間で示談が成立しお許しの言葉をいただいていること,引っ越しを行い被害者宅から離れた住居を用意していること,高齢や精神の障害から長期の身柄拘束による健康状態への悪影響が懸念されることなど不利益が著しく大きいことを訴え,保釈に向けた弁護活動を行いました。その結果,裁判所から保釈の許可を受けることができ,お父様は裁判中は新しい自宅で生活をすることが許されました。なお,保釈許可の決定に対して,検察官は不服申立て(準抗告)を行いましたが,弁護側の主張が認められ,検察官の不服申立て(準抗告)は棄却されることとなりました。
刑事裁判の公判では,裁判官に対して,被告人は前科前歴がなく自分の罪を認めて反省していること,奥様や息子様による今後の監督の誓約のほか,定期的な訪問看護サービスを受ける予定で第三者による監督や投薬のサポートが準備されていることを訴えたことで,執行猶予付き判決を得ることができました。執行猶予付き判決によって,依頼者のお父様は収監されることなく,奥様と息子様及び第三者による看護等の監督により生活環境を整えることができました。