名古屋市西区の出資法違反事件 投資で出資してもらうお金を元本保証すると
名古屋市西区在住のAさんは、複数の知人から元本保証と配当支払いを約束して計3000万円を預かったとして、愛知県警察西警察署に出資法違反の容疑で捜査されています。
Aさんは今までの運用期間で一度も元本割れしたことはなく、約束した配当もしっかり支払ってきました。
Aさんは心配になり、刑事事件専門の弁護士を選任することにしました。
(フィクションです)
今回Aさんが投資のためのお金を集めるにあたって「元本保証したこと」が問題となっています。
「元本」とは、金融商品の購入・投資に充てた資金の額、いわゆる元手のことです。
その元本を保証する「元本保証」とは、例えば、銀行預金や郵便貯金のように、運用期間すべてにわたり元本割れしない(元本の額が減らない)ことを金融商品に保証することです。
Aさんに違反の容疑がかけられている出資法(正式名称:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)では、正規に認可を受けた金融機関以外が、不特定多数の出資者に対し、出資金の保証(元本保証)をして、お金を集める行為を禁止しています。
つまり、出資を受けるときに、不特定多数の出資者に対して元本保証を約束することは違法なのです。
基本的に、元本を保証してお金を集めることができるのは、正規に認可を受けた金融機関(銀行、郵便局、信用金庫、信用組合)などに限られています。
出資金の保証(元本保証)は、明記してあっても、暗に説明されていても禁止されています。
出資法1条
「何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。 」
出資法1条に違反した場合の罰則は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその両方となっています。
しかし、Aさんは、今までの運用期間で一度も元本割れしたことがなく、配当もしっかり支払ってきました。
出資(投資)する側にとっては、元本が保証されることは利益になりそうですが、なぜ出資法では元本保証や利回りを約束して出資を集めることが禁止されているのでしょうか?
出資法が、元本保証を禁止する趣旨は、
・虚偽の説明で出資者の判断を誤らせることを防止する
・一般大衆が不測の財産的損害を被ることを早期に防止する
ことだとされています。
そのため、『誇大広告禁止の規定』と呼ばれることもあります。
もし、元本保証を謳って出資者(投資家)を募集することを自由に許すと、できもしない元本保証や利回りを謳って出資を集める人たちがたくさん出てくるからです。
元本保証を謳っていることで騙されたり、財産的損害を被る人が出ることを防止するためと言えます。
なお、元本保証や高利益をうたい不特定多数の者に出資させた場合、取調べが行われ、集めたお金の流れや本人の認識次第では、詐欺罪で立件されるケースもあります。
詐欺罪で起訴されれば、10年以下の懲役が科される可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、出資法違反事件をはじめとする刑事事件を専門とする法律事務所です。
それぞれの事案に応じた最適な弁護活動を行います。
出資法違反事件で捜査されてお困りの方はお気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
(愛知県警察西警察署までの初回接見費用:36,100円)