愛知県迷惑行為防止条例⑦(客引き)
~迷惑行為防止条例~
迷惑行為防止条例とは各都道府県が定めている条例です。
都道府県によっては「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という場合もありますが,近年,迷惑行為防止条例に名称が変更されている都道府県も多いです。
愛知県は改正条例が平成31年1月1日に施行され,名称も愛知県迷惑行為防止条例となりました。
愛知県迷惑行為防止条例は全21条から構成され,その内,第2条から第9条までが規制される行為を定めています。
(以上は前回と同様)
今回は第7条を解説していきます。
~不当な客引きの禁止~
愛知県迷惑行為防止条例第7条は不当な客引き行為を禁止しています。
客引き行為は風適法22条でも禁止されています。
風営法第22条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない
(1)当該営業に関し客引きをすること。
(2)当該営業に関し客引きするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
(以下略)
罰則は6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金となります。
この規定の主体は「風俗営業を営む者」となっておりますので,店舗から独立し,委託された外部の人間である場合は規制の対象となりません。
しかし愛知県を含む各都道府県の迷惑行為防止条例は主体を限定せずに「何人も」客引き行為等をしてはならないと規定しています。
「客引き」とはどのような行為を指すのか風適法および迷惑行為防止条例に定義はありませんが,行政解釈として「相手方を特定して営業所の客となるように勧誘すること」とされています。
条文は長くなりますので全ては記載しませんが中心となるのは
1項1号 人の性的好奇心をそそる見せ物若しくは物品若しくは人の性的好奇心に応じて人に接触する役務又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供について,客引きをし,又は人に呼び掛けて,若しくはビラ,パンフレットその他の物品(以下「ビラ等」という。)を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。
1項2号 歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食をさせる役務(人の通常衣服で覆われている身体又は下着に接触し,又は接触させる卑わいな行為(以下「卑わい行為」という。)を伴うものを含む。以下同じ。)若しくはこれを仮装したものの提供について、客引きをし、又は当該役務(卑わい行為を伴うものに限る。)若しくはこれを仮装したものの提供について,人に呼び掛けて,若しくはビラ等を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。
2項1号 歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食をさせる役務(卑わい行為を伴うものを除く。)又はこれを仮装したものの提供について,人に呼び掛けて,又はビラ等を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。
基本的には風俗店における風俗を営む者以外による客引き行為等が禁止されています。
1項2号は歓楽的雰囲気での飲食店において卑わいな行為の有無にかかわらず客引き行為を禁止しており,卑猥な行為を伴う場合のビラ配布などを禁止しています。
2項1号は歓楽的雰囲気での飲食店において卑わいな行為が伴わない場合のビラ配布などを禁止しており,1項とは規制方法が異なっています。
1項違反については100万円以下の罰金,常習違反の場合は6か月以下の懲役又は100万円以下の懲役という罰則が定められてます。
2項違反については,再発防止命令が出され(10条),違反した場合に30万円以下の罰金または拘留もしくは科料となっています。
また,7条3項では指定された特定の地域において客引き等を行う目的で,公衆の目に触れるような方法により客引き等の相手方となるべき者を待つてはならないと規定しています。
特定の地域とは以下の地域です。
・名古屋市中村区の区域のうち椿町の区域
・名古屋市中区の区域のうち錦三丁目、栄三丁目一番から十五番まで及び栄四丁目の区域
・豊橋市の区域のうち松葉町一丁目及び二丁目並びに広小路一丁目の区域
こちらも再発防止命令が出され,違反した場合には20万円以下の罰金または拘留もしくは科料となっています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強い法律事務所です。
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