清須市の礼拝所不敬罪なら

清須市の礼拝所不敬罪なら

~ケース~

清須市在住の塗装会社に勤めるAさんは,ある日仕事でミスをしてしまい上司に叱責された。
深夜の帰宅途中,Aさんは仕事のミスを責められたことに怒りが込み上げてきた。
Aさんは八つ当たりとして,道の脇に祀られていた地蔵に,持っていた仕事道具の塗料で落書きをした。
後日,通行車のドライブレコーダーに落書きしているAさんの姿が写っていたため、Aさんは愛知県警察西枇杷島警察署において、礼拝所不敬罪の容疑で取り調べを受けることになった。
(フィクションです)

~Aさんに成立する罪~で

◇器物損壊罪◇

Aさんは地蔵に落書きをしていますので少なくとも器物損壊罪(刑法261条)が成立しそうです。
器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料となっています。
なお器物損壊罪は親告罪となっていますので所有者による告訴が必要となります。

◇礼拝所不敬罪◇

また,Aさんは地蔵に落書きをしているため、礼拝所不敬罪(刑法188条)に問われる可能性もあります。
礼拝所不敬罪の条文は以下のとおりです

第188条
1項 神祠,仏堂,墓所その他の礼拝所に対し,公然と不敬な行為をした者は、6月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。
2項 説教,礼拝又は葬式を妨害した者は,1年以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

神祠とは,神道において神を祀った施設のことです。
仏堂とは,仏教における寺院などの礼拝の施設のことです。
墓所とは,人の遺体・遺骨を埋葬・安置して,死者を祭祀・記念する場所とされており墓地などが代表的です。
その他の礼拝所とは,神道や仏教以外の宗教の礼拝所であり,キリスト教の教会やイスラム教のモスクなどが代表的です。
また,保護法益は宗教的敬虔感情とされていますので,宗教とは関係のない施設であっても,宗教的感情から崇拝の対象となっている場所は礼拝所に該当するという見解もあります。
この見解によると,例えば,沖縄のひめゆりの塔や広島の原爆死没者慰霊碑などは国民の宗教的感情から崇拝されていますので礼拝所に該当します。
なお,礼拝所に対する不敬行為を罰する趣旨から,礼拝の対象となっていない,社務所や寺院の宿舎などは対象となっていません。

さて,今回Aさんは地蔵に対して落書きをしていますが礼拝所不敬罪となるのでしょうか。
地蔵は正確には地蔵菩薩という仏教の信仰対象の菩薩の一尊です。
また,日本では仏教的観点のみならず民間信仰で道祖神として広く親しまれています。
また地蔵と共に祠なども一緒に建てられていることも多く,礼拝所であるとみなされる可能性が高いでしょう。

不敬な行為とは例えば,お寺の本堂で本尊である仏像や教会でキリスト像,マリア像等に対して中指を立てるといった行為などをいいます。
また,礼拝所を破壊する行為も当然,礼拝所に対する不敬な行為といえるでしょう。
Aさんは深夜に落書きをしており,人目もなかったので「公然と」不敬な行為をしていないと思われるかもしれません。
しかし,地蔵に対する落書きは朝になっても残りますのでそれを見た人たちの宗教的感情が害されることになります。
したがって,Aさんの落書き行為は礼拝所不敬罪に当たるといえるでしょう。

~礼拝所不敬罪における弁護活動~

礼拝所不敬罪は6月以下の懲役または10万円以下の罰金と比較的刑罰が軽く,前科等がなければ起訴された場合でも罰金刑となることが多いでしょう。
ただし,今回のAさんのように破壊を伴う礼拝所不敬罪の場合には器物損壊罪も成立してしまいます。
器物損壊罪は被害弁償など示談を成立させることによって告訴の取下げや告訴をしないことを約束してもらえる場合も多くあります。
今回のようなケースでも,地蔵の設置者(所有者)と思われる町内会や市区町村などと示談ができれば器物損壊罪については問われない可能性もあります。
しかし,礼拝所などの器物損壊の場合,宗教的感情から示談に応じてもらえない場合や被害弁償などは受け取るが刑事告訴は取り下げないという場合もあります。
その場合でも,示談が成立していれば示談書などを検察官や裁判所に提出することで量刑などに有利な情状となります。
その為、まずは弁護士にご相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
さまざまな刑事事件での示談経験の豊富な弁護士が多数所属しております。
礼拝所不敬罪やそれに伴う器物損壊罪などに問われお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談のご予約を24時間受付けています。
愛知県警察西枇杷島警察署の初回接見費用 35,700円)

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