準強制性交等罪の起訴と不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します
名古屋市港区に住むAさんは、女性Vさんにに酒を飲ませた上でVさん性交した準強制性交等罪の疑いで愛知県港警察署に逮捕されてしまいました。そして、Aさんは名古屋地方検察庁の検察官により準強制性交等罪で起訴されてしまいました。起訴後に刑事事件専門の弁護士がAさんと接見しました。
(フィクションです)
~ 起訴とは ~
起訴とは,検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判(刑事裁判)を求める意思表示を言います。この起訴の権限は,一部の場合を除いて検察官のみにしか与えられていません(起訴独占主義)。
この検察官の意思表示は「起訴状」という書類に現れています。起訴状は、起訴状謄本などとともにに裁判所に提出されます。起訴状謄本は、裁判所を通じてあなたの元へ送達されます。こうしてあなたは起訴された事実を知ることになり、その事実について裁判で争うか、争わないか、どういう主張をし、どういう証拠を提出するか決める準備をするのです。
刑事訴訟法247条(国家訴追主義)
公訴は,検察官がこれを行う。
~ 不起訴とは ~
他方、不起訴とは文字通り,起訴しないという意味です。起訴権限が検察官に認められているわけですから,起訴するかしないかの判断も検察官に委ねられています(起訴便宜主義)。不起訴となれば、刑事裁判を受ける必要はありませんし,もちろん刑罰を科されることもありません。また,前科もつきません(前歴は残ります)。
刑事訴訟法248条(起訴裁量(便宜)主義)
犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは,公訴をしないことができる。
ところで、検察官が不起訴と判断するに至った理由の「題名」のことを「裁定主文」といいます。裁定主文でよく目にするのが,「嫌疑不十分」と「起訴猶予」ではないでしょうか?
「嫌疑不十分」とは,検察官が起訴するに足りる証拠が集まっていないと判断したときに裁定するものです。
「起訴猶予」とは,検察官が,証拠から犯罪であることは明らかであるが,犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴する必要がないと判断したときに裁定するものです。
本件でいうと、AさんがVさんに対して性交したことを裏付ける証拠がない、あるいは証拠の証明力が弱いなどという場合は「嫌疑不十分」となる可能性が高いでしょう。他方、AさんがVさんに対して性交したことは明らかであるが、Vさんと示談するなどしてVさんがAさんに対して処罰を求めていないなどという場合は「起訴猶予」となる可能性が高いでしょう。
上記のとおり,起訴するか,不起訴にするかの判断は検察官に委ねられていますから,その判断の時期も検察官の判断(裁量)に委ねられます。検察官は,捜査の過程で収集した証拠に基づいて終局処分を決めますし,証拠の収集には一定程度時間を要しますから,終局処分の判断までにも一定の時間を要します。ただし,身柄事件の場合は時間的制約がありますから,在宅事件に比べて証拠収集のスピードがあがり,その分,終局処分を下す時期も早くなります。
検察官は検察官が収集した証拠に基づき起訴か不起訴か判断します。そして,検察官は,起訴するだけの証拠が集まったか否かを見極めます。本件のような性犯罪では、Vさんの供述(証拠)が直接証拠ですから、Vさんの供述の信用性が最も重要となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。