緊急逮捕

緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、会社の飲み会で大量にお酒を飲み、泥酔した状態で自宅の最寄り駅に着きました。そして、Aさんが駅の近くにあったVさん管理の自動販売機でペットボトル入りの水を買おうとしたところ、自動販売機が故障しており、お金を入れてボタンを押してもペットボトルが出てきませんでした。そのことに腹を立てたAさんは、右足で自動販売機の飲料の取り出し口を思いっきり蹴って取り出し口を壊し、周囲に「ガン」という大きな音を響かせました。その後、Aさんは自宅に向かって歩いていたところ警察官の職務質問を受け、通報内容と背格好、服装が似ていることなどから器物損壊罪で緊急逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)

~ 緊急逮捕とは ~

緊急逮捕とは、重大な犯罪を犯したと疑うに足りる充分な理由がある場合に逮捕状なしで逮捕し、逮捕後に裁判官の発する逮捕状を必要とする手続のことをいいます(刑事訴訟法210条)。「重大な犯罪」とは、

死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪

のことで、たとえば、

・殺人罪
・傷害罪
・強盗罪
・窃盗罪
・強制性交等罪
・強制わいせつ罪
・詐欺罪
・恐喝罪
・横領罪
・公務執行妨害罪
・住居侵入罪
・名誉毀損罪

などの罪がこれにあたります。
ちなみに、器物損壊罪は、法定刑が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」ですから、「長期3年以上」に当たり(3年以下は3年以上に含まれます)、やはり緊急逮捕の対象となります。
他方、

・暴行罪
・脅迫罪

などは「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」に当たらず緊急逮捕の対象ではありません。

~ 告訴取消し、不起訴 ~

器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない罪で、これを「親告罪」と言います。
ですから、Aさんが公訴を提起されず、裁判を受けずに済むため(不起訴を獲得するため)には、Vさんに告訴を取消してもらう必要があります。

刑法264条
 第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

Vさんに告訴を取り消してもらうためには、まずはVさんに対し真摯に謝罪し、速やかに示談交渉に移る必要があるでしょう。
しかし、当事者間での示談交渉は感情のもつれなどもあって非常に困難を伴いますから、被害者との示談交渉はに弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士であれば適切な内容で示談を成立させることが可能であり、その結果、Vさんに告訴を取消していただき、不起訴という刑事処分を獲得できる可能性も上がります。
また、この場合、Aさんに前科も付きません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら