【名古屋】器物損壊事件の裁判を紹介【放火】

器物損壊事件として起訴された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

今年3月、愛知県で起きた連続放火事件の裁判で、資材置き場などに火をつけて燃やした罪に問われていた54歳の男に、名古屋地裁は懲役1年・執行猶予3年の執行猶予付きの判決を言い渡しました。
(東海テレビ「「苛立ち解消のため火をつけ悪質」資材置き場等にライターで火 54歳作業員の男に執行猶予付きの有罪判決」(2022年7月14日)より引用)。

【放火事件で器物損壊罪?】

本件で被告人は、器物損壊罪(刑法261条)によって起訴されています。
連続放火事件であるにも関わらず、なぜ放火罪ではなく器物損壊罪が適用されているのでしょうか。
本件は資材置場などに放火していることから、仮に放火罪が適用されるとすれば、放火罪の類型の中でも他人所有建造物等以外放火罪(110条1項)の成否が問題となります。
もっとも、同罪が成立するためには、「公共の危険」が生じたといえる必要があります。
「公共の危険」とは、刑法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険のみに限られるものではなく、不特定又は多数の人の生命、身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれる(最判平成15年4月14日)と解されています。
つまり、「建造物等以外」に放火したとしても、不特定又は多数人の生命、身体、財産が危険に晒されなければ「公共の危険」が発生したとはいえないのです。
したがって本件では、このような「公共の危険」の発生は認められないとして、器物損壊罪が成立するにとどまると判断したものと考えられます。

【放火事件における弁護活動】

上記他人所有非建造物等以外放火罪(110条1項)の法定刑は、「1年以上10年以下の懲役」であり、器物損壊罪(261条)の「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」とは歴然とした差が存在します。
本事案では執行猶予判決が下されており、実刑判決を回避することができています。
どのような罪名で起訴されるかは、起訴前の弁護活動によって左右される部分も少なくなく、早期の刑事弁護士による弁護活動の重要性は決して低くありません。
さらに、起訴前・起訴後におけるいわゆる情状弁護が量刑に与える影響も軽視できません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊等の放火事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
器物損壊事件で逮捕や起訴された方およびご家族は、24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにご連絡ください。

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