今回は、岡崎警察署で起きた勾留中男性の死亡事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【ケース】
愛知県岡崎警察署で今月4日、留置場に勾留されていた43歳の男性が息をしていない状態で見つかり、その後、搬送先の病院で死亡しました。男性は暴れたため保護室に移され、全裸の状態で、ベルト手錠などで140時間以上、拘束されました。
死亡した男性の父親(71)
「裸で暴行を受けたら、そりゃあ無念だと思うよ」
監視カメラには署員が、横たわる男性に対し、足で蹴って体を動かそうとした様子も映っていました。また、県警関係者への取材で、和式の便器に後頭部が水につかった状態で放置されていたことが分かりました。
死亡した男性の父親
「はっきりいって、警察に殺されたと思っている」
男性は糖尿病を患っていて、医師の診断を受けさせて薬を処方する義務がありますが、一部の署員は「忘れていた」と話しています。また、拘束時間については、「拘束時間は長すぎると思ったが、上司の指示がなかったため外せなかった」という趣旨の説明がされています。
死亡した男性の父親
「警察でそんなことがありうるとは思っていなかった。素直に非を認めよと言いたい」
愛知県警は、特別公務員暴行陵虐容疑も視野に、担当した署員から事情を聞くなどして経緯を調べています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/f008f20a3661f310b7e70c5c0154fbc8754bd58d 12月16日 日テレNEWS 「勾留中の男性死亡 後頭部が便器に…放置か 全裸で140時間以上“拘束”も 父親「無念だと思う」 愛知」より引用)
【特別公務員暴行陵虐罪とは?】
ニュースでは、特別公務員暴行陵虐の疑いを視野に、担当署員から事情を聞くなどして経緯を調べるとあります。
聞きなれない罪名ですが、特別公務員暴行陵虐罪とはどのような犯罪でしょうか。
刑法第195条1項は、「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する」としています。
また、同条2項は、「法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする」としています。
「暴行」は身体に対する不法な有形力の行使、「陵辱」や「加虐」は暴行以外の方法で精神的又は肉体的に苦痛を与える行為とされています。
ケースでは、署員が横たわる男性を足で蹴って体を動かそうとしたり、和式の便器に後頭部が水につかった状態で放置する、男性に必要な服薬を失念するなど、信じがたい不祥事が記載されています。
通常の身体拘束であっても、被疑者・被告人にもたらす心身の悪影響は無視することができません。
ましてや、勾留中にケースのような待遇を受けていたのであれば、被疑者・被告人が受けるダメージは計り知れないでしょう。
ケースの事件においては、勾留されていた男性が死亡し、最悪の結果となってしまいました。
このような事態を回避するためには、随時、弁護士が接見などを通じて勾留の状況を把握し、必要に応じて捜査機関に抗議を行う必要があるでしょう。
勾留中、留置担当者の言動に関して疑問をお持ちの方は、すぐに弁護士に報告し、必要な措置をとってもらうことを強くおすすめします。
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留置場、拘置所の担当者の言動について疑問のある方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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