小牧市の覚醒剤使用事件で任意性を指摘して不起訴を獲得した事例を参考に、不起訴処分について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事例
薬物事件に強い弁護士は、覚醒剤の使用事件で愛知県小牧警察署に逮捕されたAさん(覚醒剤使用の前科1犯)の刑事弁護人に選任されました。
接見で、Aさんが採尿された時の経過に疑問を感じた弁護士は、事件を担当する検察官に任意性を指摘しました。
その結果Aさんは不起訴処分となり、釈放されました。(フィクションです。)
覚醒剤の使用
覚醒剤の使用を裏付ける証拠は尿の鑑定結果です。
その尿は、任意採尿又は強制採尿によって警察に押収されます。
しかし任意採尿の経過に不備がある場合は、尿そのものが違法収集証拠となる場合があり、そのときは鑑定書の証拠能力が否定され、無罪となる可能性があります。
任意採尿に至るまでの経過が指摘され、無罪判決が言い渡された刑事裁判は何件もあるので、起訴までに、任意性を指摘することができれば、無罪を避けるために検察官は不起訴処分を決定するでしょう。
不起訴処分
主な不起訴処分の種類は
①罪とならず(そもそも犯罪行為がなかった場合)
②嫌疑なし(犯罪を認定できなかったり、または犯人ではなかった場合)
③嫌疑不十分(犯人のようではあるが、決定的な証拠がない場合)
④起訴猶予(犯罪が存在し、犯人である事には間違いないが、様々な理由であえて起訴しない場合)
の4種類です。
今回のような覚醒剤使用事件の場合は、尿から覚醒剤反応が出ているので、犯罪の事実は存在するのですが、Aさんが犯人である事を認定する決定的な証拠がないので、嫌疑不十分による不起訴決定となる可能性が大です。
起訴猶予で不起訴処分となった場合には、後に何らかの事情が変わって起訴される可能性がありますが、嫌疑不十分で不起訴が決定した場合、その決定が覆る可能性は非常に低いでしょう。
覚醒剤使用の罰則規定は「10年以下の懲役」ですが、どういった刑事罰が科せられるかは刑事裁判で裁判官が決定します。
Aさんの様に不起訴が決定した場合は、刑事裁判すら行われないので、罰則規定が適用されることはなく、前科にもなりません。
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