児童買春・児童ポルノ処罰法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
~事例~
犬山市に住むAさんは、ある朝、愛知県犬山警察署の家宅捜索を受けました。
警察は、Aさんと同居している両親に、「Aさんを警察署に連れて行く。」と伝えました。
Aさんの両親は、いったい何の件かもわからなかったので警察に尋ねたところ、「児童買春・児童ポルノ処罰法違反で逮捕します。」と言われました。
息子の逮捕にショックを隠せない両親でしたが、何とか対応することはできないものかと、藁にもすがる想いで、ネットで検索し、刑事事件専門弁護士を探し出しました。
すぐに連絡し、警察署での接見をお願いしました。
(フィクションです)
児童買春・児童ポルノ処罰法
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春・児童ポルノ処罰法」といいます。)は、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、これらの行為等に対する罰則を定めています。
1.児童買春
児童買春・児童ポルノ処罰法において規制される「児童買春」とは、児童、児童に対する性交等を周旋した者、または児童の保護者もしくは児童をその支配下に置いている者に対して、対償を供与し、またはその供与を約束して、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。(児童買春・児童ポルノ処罰法第2条2項)
ここでいう「対償」というのは、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益のことを意味しており、それはお金に限りません。
例えば、児童に食事をご馳走したり、プレゼントを渡したりすることや、児童やその保護者を雇用することを約束して、児童を性交等をした場合には、それが性交等をすることに対する反対給付であるといえるか、そして、食事やプレゼントが経済的にどのような価値を有するのか、雇用の約束が経済的利益にあたるのか、といった点を考慮して対償について判断されます。
また、「性交等」には、「性交もしくは性交類似行為をし、または自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門または乳首をいう。)を触り、もしくは児童に自己の性器を触らせること」が含まれています。
「性交類似行為」は、実質的に、性交と同視しうる態様での性的な行為のことで、口腔性交・肛門性交などがそれにあたります。
児童買春に関する罰則は、
①児童買春…5年以下の懲役または300万円以下の罰金。
②児童買春周旋…5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方。
業とした場合は、7年以下の懲役および1000万円以下の罰金に加重。
③児童買春勧誘…5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方。
業とした場合は、7年以下の懲役および1000万円以下の罰金に加重。
2.児童ポルノ
児童売春・児童ポルノ処罰法における「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、①児童を相手方とするまたは児童による性交または性交類似行為に係る児童の姿、②他人が児童の性器等を触る行為または児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿で、性欲を興奮させまたは刺激するもの、③衣服の全部または一部を付けない児童の姿であって、殊更に児童の性的な部位が露出されまたは強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの、を視覚により認識することができる方法で描写したもの、をいいます。
児童ポルノに関する罰則は、
①児童ポルノ所持…「事故の性的好奇心を満たす目的」で児童ポルノを所持した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
②児童ポルノ提供…3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
③児童ポルノ提供目的製造・所持・運搬・輸入・輸出・保管…3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
④児童ポルノ製造…児童ポルノに該当する姿を児童にとらせ写真撮影等して製造した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
⑤盗撮による児童ポルノ製造…3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
⑥不特定多数への児童ポルノ提供…5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方。
⑦不特定多数への提供目的製造・所持・運搬・輸入・輸出・保管…5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方。
⑧不特定多数への提供目的での外国への輸入・外国からの輸出…5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方。
以上のように、児童買春・児童ポルノ処罰法違反に対しては厳しい罰則が設けられており、事案によっては逮捕・勾留といった身体拘束となったり、起訴されて有罪となる可能性も少なくありません。
児童買春・児童ポルノ処罰法違反の嫌疑がかかり捜査の対象となった場合には、身体拘束の回避、逮捕された場合には勾留の回避、被害児童(実際にはその保護者)との示談を成立させるなど被疑者・被告人に有利な事情を示し、できるだけ寛大な処分で事件が終了することができるよう、早い段階から弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、児童買春・児童ポルノ処罰法違反事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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