警察官の作成した書類を破る 公用文書毀棄罪で逮捕

警察官の作成した書類を破ったとして、公用文書毀棄罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

参考事件

自営業のAさんは、無免許の知人に車を貸したとして、愛知県熱田警察署に呼び出されて取り調べを受けていました。
その際にAさんは、警察官が作成していた供述調書を破って、公用文書毀棄罪で現行犯逮捕されたのです。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

公用文書毀棄罪

公用文書毀棄罪とは、刑法第258条に規定されている法律です。

(公用文書等毀棄)
第二百五十八条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

公用文書とは

公用文書毀棄罪でいうところの「公用文書」とは、その条文のとおり、公務所の用に供する文書又は電磁的記録です。
公務所とは、公務員が職務執行しているところを意味しますので、警察署は公務所に該当します。
警察署のほかに、市役所等の役所、公立学校、検察庁、裁判所などが公務所に当たります。
「用に供する」とは、公務所での事務手続きや事務処理等に使用したり、保管するという意味があります。

参考事件でAさんが破った供述調書は、公用文書に該当します。

ちなみに、公用文書は、何も公務員が作成する文書だけに限定されるわけではなく、公務所が使用したり、保管する文書であれば、私人(公務員以外の人)が作成した文書であれば、公用文書に該当するので注意が必要です。

毀棄とは

Aさんように供述調書を破るなど、文書を物理的に毀棄することは当然のこと、その公用文書の本来の効用を害することも、公用文書毀棄罪でいうところの「毀棄」に該当します。
極端な例ですと、公用文書を使用できないように隠したり、文書の一部を改ざん(偽造)したりすることも公用文書毀棄罪でいうところの「毀棄」にあたる可能性があるので注意が必要です。

実際に逮捕された事件

先日、とある県で信号無視で現行犯逮捕された犯人が、警察署に連行された後の取り調べ中に、警察官が作成していた弁解録取書を丸めたとして、公用文書毀棄罪で現行犯逮捕されています。

誤認逮捕も発生している

公用文書毀棄罪をめぐっては誤認逮捕される事件も発生しています。
誤認逮捕された男性は、交通違反をおかしてしまい、警察官から反則切符の交付を受けた際に、警察官から手渡された反則金の仮納付書を破ったとして公用文書毀棄罪で現行犯逮捕されました。
しかし、男性が破った反則金の仮納付書は公用文書に該当しないことが発覚し、その後、誤認逮捕された男性は釈放されました。

まずは弁護士に相談を

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