主要な脱税行為の法定刑は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(脱税額が1000万円を超える場合は情状により脱税相当額以下の罰金)または懲役と罰金の併科です(所得税法第238条、法人税法第159条、消費税法第64条など)。
法人の代表者、代理人、使用人その他の従業員が、法人の業務または財産に関して脱税行為をした場合は、法人に対しても罰金刑が科されます(所得税法第243条、法人税法第163条、消費税法第67条など)。
脱税事件の概説
違法な手段によって納税を免れる行為を脱税といいます。
主な脱税行為として、納税義務者又は徴収納付義務者が、偽りその他不正の行為によって、所得税、法人税、消費税などの税金を免れまたはその還付を受けることが挙げられます。
脱税は、国および地方公共団体の徴税を妨げる犯罪です。
そのため、脱税事件においては、重加算税や延滞税といった行政処分に加えて、懲役や罰金といった刑事罰に問われることになります。
脱税事件においては、脱税額、申告率、脱税の手口、証拠隠滅工作の有無と程度、修正申告・納税状況、前科前歴の有無などが、告発や起訴および裁判における量刑の重要な考慮要素になります。
脱税事件のうち、脱税額が1億円以上で、申告率が著しく低く、脱税の手口が巧妙・悪質である場合には、告発や起訴をされる可能性が高く、裁判における実刑判決の可能性も出てきます。
なお、脱税犯罪の成立には脱税の故意(脱税行為や脱税結果などについての認識)が必要とされおり、脱税の故意がない場合は脱税犯(犯罪)ではなく「申告漏れ」といいます。
脱税事件の最適弁護プラン
1 不起訴処分又は無罪判決を目指す
身に覚えのない脱税の容疑を掛けられてしまった場合、弁護士を通じて、国税局や検察(特別捜査部いわゆる「特捜」)などの捜査機関または裁判所に対して、故意ではなく過失(申告ミス、記録漏れなど)であることを客観的証拠に基づいて指摘したり、脱税行為を立証する十分な証拠がないことを指摘したりすることで不起訴処分又は無罪判決を目指します。
特に、脱税事件では、脱税の故意があるかどうかが重要なポイントになります。
計算の間違いや税法に対する知識不足・解釈間違いなど、脱税行為や脱税結果の認識がない場合は単純な申告漏れとして脱税犯は成立しません。
そのような事情がある場合には、捜査機関や裁判所に対し、客観的な証拠に基づいて脱税の故意がなかったことを具体的に主張する必要があります。
2 修正申告及び修正申告に基づく納税を行うことが急務
実際に脱税行為を行ってしまった場合、脱税対象期間分の修正申告及び修正申告に基づく納税を行うことが急務になります。
脱税事件では、修正申告及び納税をすることで、国税局による告発および検察による逮捕のリスクを下げて、職場復帰や社会復帰の可能性を高めることができます。
3 減刑及び執行猶予付きの判決を目指す
また、脱税行為をして刑事裁判になってしまった場合でも、修正申告及び納税を行うことで執行猶予付き判決の可能性を高めることが出来ます。
加えて、脱税行為に至る経緯や動機、脱税金額、脱税の手口、前科前歴の有無などを慎重に検討して酌むべき事情があれば、それを裁判で主張・立証することで減刑及び執行猶予付きの判決を目指すことができます。
4 身柄拘束を解くための弁護活動
脱税事件で逮捕・勾留されてしまった場合には、事案に応じて、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張し、釈放や保釈による身柄拘束を解くための弁護活動を行います。