援交の公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市天白区に住むAさん(40代男性)は、インターネット上で知り合った複数の18歳未満の少女と実際に出会い、わいせつな行為や性交を繰り返していました。そうしたところ、Aさんは、令和元年7月18日、天白警察署の警察官から突然、自宅の捜索(ガサ)を受け、Aさんの携帯電話やパソコン等を押収されてしまいました。そして、後日、Aさんは、平成28年9月18日、名古屋市内のホテルで18歳未満の少女に淫行(性交)をした青少年健全育成条例違反の疑いで、天白警察署から呼び出しを受けました。Aさんは、取調べで余罪についても追及を受けましたが、警察官に「今回疑いをかけられている件が最後だ。」「それ以降は少女と会ってもいないし、わいせつ行為、淫行などしていない。」と言いました。こうして、Aさんは、1回目の取調べでは余罪や常習性について否認したものの、今後この態度を貫けるのかどうか不安になりました。そこで、Aさんは刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。対応した弁護士によると、Aさんの話だけみれば、確かに、Aさんは少女にわいせつな行為や淫行をしているものの、全て公訴時効にかかっていたとのことです。
(フィクションです)
~ はじめに ~
援助交際に伴うわいせつ行為、淫行・性交を行った際、すぐに警察に発覚することは稀です。むしろ、警察に発覚することなく数か月や数年の長い時間が経ってから、少女の保護者が警察に性被害を相談したり、少女が警察に補導される、などの経緯で警察に発覚するケースがほとんどです。
そこで、過去の援助交際のことを忘れて普段通りに過ごしていると、事例のAさんのように、ある日、突然に警察官の捜索を受けて携帯電話やパソコンなどを押収され、被疑者として捜査機関の捜査を受けるという事態も十分想定し得ます。
~ 公訴時効にかかっている事件は別 ~
このように、携帯電話やパソコンを押収され、そこに少女との援助交際をうかがわせるような記録がの残っていた場合は過去の事件であっても立件されることは十分あり得ます(事例のAさんもそうでした)。この場合、まず少女やその保護者からの被害届の提出が先行し、被害届の内容に概ね合う内容が携帯電話やパソコン等に記録されていた場合にあなたが被疑者だと疑われてしまうのです。
しかし、いくら被害届が提出されていたとしても公訴時効にかかっている事件については話は別です。
公訴時効は,一般的には単に「時効」と呼ばれています。時効が完成すれば,検察官はその事件につき公訴を提起する(起訴する,裁判にかける)ことができなくなります。時効の期間は各罪の法定刑によって定まり(刑事訴訟法250条)、時効の起算点は罪の犯罪行為(実行行為)が終了した時点とされています。
では,児童買春罪の時効は何年でしょうか?
児童買春罪の法定刑は
5年以下の懲役又は300万円以下の罰金
で、時効の期間について定めた刑事訴訟法250条2項4号によれば
長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については 5年
ですから、
児童買春罪の時効は5年
ということになります。児童買春の罪における時効の起算点は性交等が終了した時点です。よって、たとえば、Aさんが平成26年8月18日に、Vさんと児童買春の約束をし、同月25日に性交をすれば、児童買春罪の時効の起算点は平成26年8月25日であり、時効満了日は令和元年8月24日(8月25日午前0時をもって時効完成)ということになります。
同様の考え方で、青少年健全育成条例違反の「いん行及びわいせつな行為」にかかる罪の公訴時効は
3年
となります。事例のAさんは、平成28年9月18日に少女といん行したということですから、警察のガサの時点ではまだ時効は完成していなかったことなどから立件されたものと思われます。
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