風俗店の禁止地域営業で略式起訴

いわゆる禁止地域において風俗店を経営し,略式起訴されたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは,愛知県小牧市にあるマンションの一室において,性的なサービスを提供する風俗店Xを経営していました。
Xから10メートル程度の距離には中学校があり,Xの存在を知った近隣住民は「子どもたちに悪影響が出る」と不満を抱いていました。
こうした近隣住民の声をきかっけに捜査を開始した小牧警察署は,Aさんを風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は,Aさんの行為が禁止地域営業に当たると考え,略式起訴されて罰金刑を下される可能性が高いとAさんに伝えました。
(フィクションです。)

【風俗店の禁止地域営業】

日本においては,社会に悪影響を及ぼすおそれのある特定の営業を「風俗営業」とし,「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下,「風営法」)などにより種々の規制を設けています。
上記事例のXのように,店舗などの個室で性的なサービスを行う営業形態は,「風俗営業」のうちの「店舗型性風俗特殊営業」に該当することが殆どです。

先述のとおり,風俗営業は社会に悪影響を及ぼすおそれがあり,特に「店舗型性風俗特殊営業」についてはそれが顕著だと言えます。
こうした事情から,一定の地域においては,店舗型性風俗特殊営業を行うことが禁止されています。
こうした規制がいわゆる禁止地域営業と呼ばれるものです。

店舗型性風俗特殊営業の禁止地域は,風営法28条1項に列挙された建造物等から200メートル以内の地域と,都道府県の条例により指定された特定の地域です。
風営法28条1項が掲げる建造物等の具体例をいくつか挙げると,官公庁の建物,学校,図書館などがそれに該当します。
また,愛知県の場合,条例により定められるものとして病院や公園があります。

【禁止地域営業をした場合の罰則】

風営法49条は,風営法28条に違反した者,すなわち禁止地域営業を行った者に対して,①2年以下の懲役,②200万円以下の罰金,③①②の両方のいずれかを科す旨規定しています。
そのため,禁止地域営業をしてしまった場合,この範囲で刑罰を受ける可能性があることは弁えておく必要があります。
とはいえ,実際のところ,たとえば初犯でいきなり2年の懲役が下されるということはありえないと言って差し支えありません。
具体的な量刑は個々の事案毎に様々な事情を考慮して決められるものですが,おそらく初犯であれば略式起訴による罰金刑で済むことが多いかと思います。

略式起訴略式手続とも)とは,100万円以下の罰金を科すのが相当な事案において,本来よりも簡易な手続で迅速に罰金刑を科すためのものです。
略式起訴のメリットと言える点として,法廷ではなく書面で事件の審理が行われるため,法廷での審理に伴う様々な負担がなくなることが挙げられます。
罰金刑という刑罰を科される以上,前科がつくことは避けられませんが,それでも通常の手続に比べれば肉体的・精神的負担は全く異なるでしょう。
その一方で,略式起訴による場合は,通常の裁判であれば争う余地のあったような事柄が満足に争えなくなる可能性があります。
こうした事情から,被疑者・被告人には略式起訴に応じるか否かの選択権が与えられています。
事案によっては,略式起訴を甘受せず敢えて通常の裁判を望むことも有力な選択肢となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,略式起訴などで最適な判断できるようサポートいたします。
風俗店の禁止地域営業を疑われたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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