【裁判紹介】背任事件についての裁判例を紹介

背任事件に関する裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の設計公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた元県職員の被告人の判決公判で静岡地裁は、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。  
(静岡新聞「元県職員に有罪判決 公共工事巡り背任」(2023/02/09)を引用・参照)。

【背任罪について】

(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

本事案では、被告人は公務員の立場で公文書偽造した虚偽公文書作成罪および同行使罪(刑法156条、158条1項)の罪にも問われていますが、本稿では背任罪(刑法247条)についてのみに焦点を絞り解説していきます。
まず本件被告人は、(本件行為時)県職員であり、県の公共工事に関して の事務処理を委託された者として「他人のためにその事務を処理する者」ということができます。
そして、そのような立場にある被告人が、本来減額すべき請負代金(業者に支払う代金)を増額するという「任務に背く行為」(背任行為)を行っており、これによって県に損害を生じさせています(「本人に財産上の損害を加えた」)。
さらに、背任罪は目的犯であることから、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」(一般に図利加害目的と呼ばれます)という特殊な主観的要件を要します。
これは、要するに本人の利益を図る目的がある場合には背任罪は成立しないということを裏から規定したものと読むことができます。
したがって、本事案のように本人(県)に損害を加える目的が認められる場合にはこの要件を満たすといえます。
なお、注意すべきなのが、背任罪と(業務上)横領罪については必ずしもその区別は明確でなく、どちらの罪が成立するか(あるいはどちらも成立しないのか)については刑事事件に関する専門的なトレーニングを受けた弁護士でなければその区別が容易ではないケースも少なくないということです。
したがって、背任罪を含めた刑事責任を問われている方(嫌疑をかけられている方)は弁護士のアドバイスを仰ぐことが必須といえるでしょう。

【背任事件の裁判例等について】

本事案では、被告人には「懲役2年、執行猶予3年」の判決が下されています。
しかし、背任事件で実刑判決を受けるおそれがないかと言えばそうではありません。
他の事案では、例えば組合の代表理事が過去に貸付金が回収不能になったことのある会社に対し約3000万円の融資を行い組合に損害を与えたケースにおいて、代表理事に「懲役2年(求刑懲役3年)」の実刑判決が言い渡されています。
この事案は、本件事案とは異なり、巧妙に「自己」(被告人)もしくは「他人」(被告人の妻)の利益を図ったケースと考えられ、また損害額も大きいことから実刑判決に至ったと考えられます。
もっとも、裁判所の量刑判断には他にも様々な事情が影響すると考えられることから、安易な判断は禁物であり、専門家である刑事弁護士への相談が不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、背任事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
弊所には、多数の不起訴処分や執行猶予判決を獲得した実績を有する弁護士が多数所属しています。
背任事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

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