自転車事故で重過失傷害罪に
~ケース~
名古屋市名東区在住のAさんは自転車をスマートフォンを操作しながら運転していた。
Aさんはスマートフォンの画面に意識を向けていたところ前方を歩いていたVさんに気が付かずVさんに追突する自転車事故を起こしてしまった。
Vさんはその場で転倒し,足首を捻挫するなど全治2週間程度の怪我を負ってしまった。
Aさんは逮捕こそされなかったものの,重過失致傷罪の疑いで愛知県警察名東警察署て捜査を受けることになりました。
(フィクションです)
~ながらスマホ~
近年,通勤や通学に自転車を利用する人が増加し,自転車事故のニュースを耳にすることが多くなりました。
特に,ピストと呼ばれるブレーキを付けずに走行する競技用の自転車による自転車事故は大きな話題になりました。
また,携帯電話,特にスマートフォンの発達により自転車だけでなく自動車などの運転中にスマートフォンを操作する「ながらスマホ」による交通事故も増加しています。
自転車を運転する際にスマートフォンを操作することは道路交通法で安全運転義務として禁止されており3年の間に2回以上違反すると安全講習の受講が義務付けられます。
なお,安全講習受講義務の通知から3ヵ月間応じなかった場合には5万円以下の罰金が課せられます。
ながらスマホ運転の結果,自転車事故を起こして相手に怪我をさせてしまい,刑事事件となった場合,自転車には自動車でいう過失運転致傷罪に該当する条文はありません。
そのため,道路交通法違反や刑法の過失致傷罪もしくは重過失致傷罪が適用されることになります。
自転車の運転中にすこしよそ見をしていたといった場合には過失致傷罪となる可能性がありますが,スマートフォンを操作していた場合には重過失致傷罪とされる可能性が高いでしょう。
重過失致傷罪の法定刑は5年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
また,過失傷害罪は親告罪となっていますが重過失傷害罪は親告罪となっていません。
~実刑とならないために~
ながらスマホによる自転車事故の場合,問題視されているという社会的な背景も踏まえると実刑判決が出てしまう可能性もあります。
また,自転車事故による被害者の方の怪我の軽重や、事故後の情状などが終局処分に大きく影響します。
今回のケースでは、Vさんの怪我は足首の捻挫などの全治2週間程度ですので、示談交渉次第では不起訴処分になる可能性もあります。
逆に,治療費すら払っていないといった状況では実刑判決が下される可能性が非常に高くなります。
示談交渉では治療費の支払いはもちろんのこと,治療中に仕事ができなかったことによる休業補償や怪我をさせてしまったことに対する慰謝料の支払いなどが必要となります。
治療費に関しては実費として計算可能ですが休業補償や慰謝料などは専門家でないといくらが妥当なのか把握するのは難しいでしょう。
また,自転車事故の被害者はそもそも加害者本人との示談に応じてくれないケースも多いです。
そういった場合でも法律の専門家である弁護士に依頼すれば,被害者は示談交渉に応じてくれる可能性もあります。
また,弁護士であれば,示談交渉の際に加害者の厳罰を望まないなどの宥恕条項を盛り込んだ示談書の作成なども可能です。
そういった示談書を検察官に提出することで,検察官が起訴猶予,すなわち不起訴処分とする場合もあります。
もし,起訴されてしまったとしてもそのような示談書は裁判で有利に働きますので、罰金刑や執行猶予付きの判決となる可能性が高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は交通事件を含む刑事事件に強い法律事務所です。
自転車事故を起こしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(愛知県警察名東警察署の初回接見費用 37,100円)