拳銃と実弾を不法所持 故意否認で刑事罰を回避できるのか①

先日、自宅において拳銃1丁と実弾5発を所持していた男性が銃刀法違反(加重所持)で警察に逮捕されました。
本日のコラムではこの事件を参考に銃刀法違反等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

事件概要令和8年8月21日配信の記事を参考

男性は、自宅において、拳銃1丁と実弾5発を所持した銃刀法違反(加重所持罪)で警察に逮捕されました。
逮捕されるきっかけとなったのは、この男性が自宅で暴れているという通報です。
この通報で駆け付けた警察官が、偶然、筒の中に入った銃弾を見つけたということです。
しかし逮捕された男性は、警察の取調べに対して「拳銃と銃弾を持っていることを忘れていました」と容疑を一部否認しています。警察は拳銃の入手先などを調べています。

銃刀法違反

ニュース等で「銃刀法」という法律をよく耳にしますが、正確には「銃砲刀剣類所持等取締法」という法律名です。
この法律では、主に銃砲等と刀剣類の所持を規制しています。

銃砲とは

この法律の第2条で、所持等が規制されている「銃砲」について規定しています。
その内容は以下のとおりです。

一 装薬銃砲(拳銃、小銃、機関銃、猟銃その他火薬を使用して金属性弾丸を発射する機能を有する銃又は砲のうち、内閣府令で定めるところにより測定した金属性弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。第三条の四及び第三十一条の三第二項第一号において同じ。)

二 空気銃(圧縮した気体を使用して金属性弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した金属性弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)

三 電磁石銃(電磁石の磁力により金属性弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した金属性弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。第三十一条の三第二項第二号において同じ。)

今回のニュースで対象とされたのは、上記一に該当する「拳銃」のようです。

刀剣類とは

同じ2条では「刀剣類」についても規定されています。
その内容は以下のとおりです。

この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつて峰の先端部が丸みを帯び、かつ、峰の上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。

クロスボウ

銃刀法では、銃砲や刀剣類の所持以外にも、クロスボウの所持も禁止されています。
クロスボウというよりは、ボウガンといった呼び名の方が馴染み深いかもしれません。
簡単にいうと引き金を引いて矢を発射することのできるいわゆる弓です。

手続きすれば所持することも可能

狩猟など正当な目的があって猟銃や空気銃、クロスボウを所持することは可能ですが、決められた手続きをふみ、許可を得なければなりません。
猟銃・空気銃・クロスボウ所持許可の流れについては こちらをクリック 

~次回に続く~

次回は、拳銃の所持(加重所持)と故意について解説します。

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