子供が逮捕されたら

少年事件の特徴

子供が逮捕されたら捜査対象者が20歳未満の少年・少女である事件を一般に少年事件と呼びます。

少年事件は、少年法等の適用によって、成人の刑事事件と手続きや処分に大きな違いがあります。
具体的には、成人の刑事事件では一般的に裁判手続によって罪の有無及び刑罰の内容が決められるのに対して、少年事件では一般的に家庭裁判所の審判手続によって少年の保護処分が決められることになります。

なお、事件当時20歳未満であっても家庭裁判所の審判が開かれる時に20歳になっていた場合には、成人の刑事事件として裁判手続で扱われます。

また、令和4年4月1日施行の改正少年法により、18歳以上の少年は「特定少年」として扱われ、17歳以上の少年とは違う取り扱いを受けます。

あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件・少年犯罪の経験豊富な弁護士が、十分なコミュニケーションによって子供とそのご家族の心の痛みを理解することで、一日でも早い事件解決に向けて全力で取り組みます。  

少年事件の流れ

少年事件

 

少年事件の弁護方法

1 少年院に入らないための活動

警察から捜査を受けた少年事件については、犯罪の疑いがあると判断されたものはすべて家庭裁判所に送られ、家庭裁判所で審判を開くか否かの調査を受けることになります。

少年犯罪を起こして警察から逮捕や捜査を受けた子供を少年院に入れないためには、少年審判が開かれないようにするか、少年審判が開かれたとしても不処分又は少年院送致以外の保護処分を得る必要があります。

少年審判が開かれないようにする又は少年審判で不処分や少年院送致以外の保護処分を勝ち取るためには、弁護士を通じて、家庭裁判所に対して、容疑をかけられている非行事実が存在しないこと、非行事実が存在するとしても事件が軽微で子供の現在の性格や環境に照らして再び非行を行う危険性がないことなどを主張していきます。

これらの主張を行うためには、少年事件・少年犯罪に強い弁護士を通じて、事前に十分な準備と環境調整を行う必要があります。
また、被害者保護が重視される昨今では、被害者への被害弁償、示談締結も少年院に入らないための弁護活動として有効です。  

なお、事件の内容によっては、家庭裁判所の審判によって事件が検察官に送致され(このことを「逆送」といいます)、少年であっても刑事裁判を経て刑罰を科されることがあります。上記の弁護活動は、逆送を防ぎ、逆送された後の刑事処分を軽減する上でも有効といえます。

2 留置場・少年鑑別所から出るための活動

少年事件・少年犯罪で逮捕されてしまった場合、警察署の留置場から出るためには勾留の決定を阻止し又は勾留の執行を停止する必要があり、少年鑑別所から出るためには観護措置の決定を阻止し又はその決定を取り消す必要があります。

もっとも、成人の刑事事件であれば勾留されずに釈放されるような軽微な事件でも、少年事件の場合には心身鑑別や行動観察の必要性から少年鑑別所に入れられるケースが多いため、実際には子供の身柄開放はかなり困難となっています。

しかし、家族のお葬式、入学試験や定期試験といった重要な行事に出席する必要があるなどの場合は、弁護士を通じて観護措置決定の取り消しを家庭裁判所に申し入れることで、少年鑑別所からの一時帰宅を実現できる場合があります。

少年事件においては、成人の刑事事件と比べると身柄解放を実現することは困難な場合が多いですが、弁護士がケースに応じた柔軟な対応をすることでより良い結果を実現できることがあるのです。

3 特定少年の取り扱い

先述のように、令和4年4月1日施行の改正少年法により、18歳以上の少年については、「特定少年」として扱われ、17歳以下の少年とは異なる取り扱いを受けるようになります。

具体的には、以下の通りの取り扱いになります。

(1) 全件家庭裁判所送致

18歳、19歳の少年に関しても、原則的に全て家庭裁判所に事件が送られ、家庭裁判所の処分を受けます。

(2) 原則逆送対象事件の拡大

令和4年4月の改正少年法施行前は、

・16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件
が原則逆送事件となっておりましたが、この度の改正少年法の施行により、
・18歳以上の少年のとき犯した死刑,無期又は短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件
も原則逆送事件として追加されることになりました。

これにより、18歳以上の少年のときに起こした事件について、刑事処分を受ける可能性が高まりました。改正少年法施行後に新たに原則逆送事件ととされた事件の具体例としては、強制性交等罪、強盗罪、組織的詐欺罪、現住建造物等放火罪等の事件が挙げられます。

(3) 逆送後の取り扱い

逆送後、検察官が刑事処分を行うべきであると判断すると、起訴がなされ、刑事裁判において刑罰を科すべきかどうかの判断が行われることになります。

この度の改正少年法施行により、逆送されて正式起訴された場合は、少年の実名や写真を報道することが可能となりました。

また、刑事裁判においても、17歳以下の少年とは異なり、特定少年については不定期刑(懲役5年以上10年以下など。最長15年以下)は科されず、成年と同様に定期刑(懲役10年など。最長30年以下)が科されます。

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