強制わいせつと示談

2020-11-02

強制わいせつと示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県東海市に住むAさんは、妻の不倫に始まるトラブルによって離婚調停中です。どうしても妻を許すことができないAさんは、妻に対して復讐したいと考えるようになりました。
Aさんは婚姻関係の継続を望む妻を「話しがしたい」と市内のホテルの一室に呼び出しました。Aさんは部屋に入ってきた妻を押し倒し無理矢理衣服を脱がせて、上半身が露出した状態の姿を撮影しました。後日、妻が警察に相談したことをきっかけにAさんは強制わいせつの容疑で東海警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

~強制わいせつ罪~

強制わいせつ罪については、刑法第176条に規定があります。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪におけるわいせつな行為とは、被害者の意思に反して身体的内密領域を侵害し、そのことによって被害者の性的羞恥心を害し、かつ一般人でも性的羞恥心を害されるであろうとされる行為のことをいいます。

具体的には、陰部・乳房・尻・太もも等に触れたりもてあそんだりする行為、裸にして写真を撮る行為、無理矢理キスしようとする行為などが挙げられます。
加えて、被害者に行為者自身の性器等に触れさせる行為もわいせつな行為に含まれます。

着衣の上から尻や乳房等を撫でまわしたりする行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反として取り締まられていますが、その程度や執拗さ等によってはより重い強制わいせつ罪の適用も考えられます。

これらの行為の被害者は、女性のみならず男性もなり得ます。
また、加害者にも限定はありません。

被害者が13歳以上であった場合、わいせつな行為をする手段として暴行・脅迫がなければ強制わいせつ罪は成立しません。

強制わいせつ罪の成立に必要な暴行・脅迫は、被害者の反抗を著しく困難にする程度に強いものでなければなりません。

従来、強制わいせつ罪について判例は「犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図」(最判昭和45・1・29刑集24巻1号1頁)がなければ成立しないものとしていました。

この見解によると、今回のAさんのように専ら報復や侮辱の目的で女性を裸にして写真撮影する行為については強制わいせつ罪は成立しないことになります。

しかし、2017年に判例変更がなされ、これによれば必ずしも性的意図が必要ではなく、その行為が客観的に見て明らかに性的な意味の強いものであれば、行為者自身に性的意図がなくても強制わいせつ罪の成立に影響がないこととされました(最大判平成29・11・29刑集71巻9号467頁)。

したがって、現在では撮影行為であってもその内容が客観的に見て明らかに性的な意味の強いものであれば復讐や侮辱目的であっても強制わいせつ罪に問われる可能性があることになります。

~強制わいせつと示談~

強制わいせつ事件など被害者がいる刑事事件では、早期の示談成立が早期の事件解決につながります。
強制わいせつ罪は「6月以上10年以下の懲役」と罰金刑の規定もない比較的重い罪となっていますが、示談を締結することができれば、今回の事例のように事件化を防ぐことができるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所で示談交渉に慣れた弁護士が所属しています。
被害者との示談成立をご希望の方は、ぜひ弊所に一度ご相談ください。

示談締結によるメリットは以下のとおりです。
一つ目に、刑事事件化を防止できたり、不起訴処分につながることです。
被害者が警察に届け出る前に示談を成立させることができれば、事件が刑事事件化することを防止することができます。
また、仮に、本件のように被害届を提出された後でも、検察官による刑事処分前に示談を成立させることができれば不起訴処分を獲得できる可能性は高くなります。
二つ目に、減刑や執行猶予につながることです。
示談締結は、起訴された後の刑事裁判の段階でも被告人に有利な事情として働きます。
示談が成立している場合、懲役刑の刑期が短くなったり、執行猶予がついたりします。
三つ目に、釈放・保釈につながることです。
示談が成立している場合、多くの場合、当事者間では事件を終わらせたいという合意が成立していることを意味します。
そのため、その時点で身柄拘束の要件である被疑者・被告人が逃亡や証拠隠滅を図るおそれはないと判断されやすいのです。
四つ目に、民事裁判の防止なども実現できることです。
将来、被害者の損害賠償請求権の行使を禁止する条項を示談条項に加えることもできます、

今回みてきたように、示談にはさまざまなメリットがあります。
しかし、被害を受けた方と示談を締結することは簡単ではありませんので、示談交渉については専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。また、示談交渉は知識、経験が重要になってきますので、示談交渉の経験も豊富な刑事事件専門の弁護士に依頼することが後悔のない事件解決への最善策であるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。