強要罪で逮捕

2020-09-30

強要罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県津島市の会社に勤めるAさんは、会社に勤務して間もないVさんの会社での勤務態度に腹を立て、Vさんの胸ぐらをつかみながら「お前はいつになったら仕事に慣れるんだ!ここ何日間、会社に迷惑をかけたので、みんなの前で土下座しろ!」と言って土下座させました。しかし、会社の同僚がAさんとVさんの仲裁に入りましたので事態は収まりました。ところが、後日、Vさんが愛知県津島警察署に被害届を提出したことから、Aさんは津島警察署で強要罪の被疑者として事情を聴かれることになりました。
(フィクションです)

~強要罪~

強要罪は刑法223条に規定されています。

刑法223条
1 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害し た者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同 様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。 

強要罪は、「脅迫」(生命、身体等に対して害を加える旨の告知)又は「暴行」を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した場合に成立する犯罪です。法定刑は「3年以下の懲役」と選択刑として罰金刑がありません。起訴され、刑事裁判で有罪の判決を受ければ懲役刑に処せられます。

~脅迫罪~

脅迫罪は刑法222条に規定されています。

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

害悪の告知は、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものでなければならないとされています。
人を畏怖させるに足りるものであったか否かは、告知に至るまでの経緯、告知した人(年齢、性別など)、告知内容、告知された相手(年齢、性別など)などの状況から判断されます。したがって、同じ内容でも人、相手などによっては「害悪の告知」と認められることもあれば、認められないこともあります。
過去の判例(昭和35年3月18日)では、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」が害悪の告知と認定されましたが、これは暴力団組員から同じ暴力組員への脅迫行為に関する事例判断です。

~脅迫罪と強要罪の違い~

脅迫罪と強要罪は大きく、以下の違いがあります。

=犯罪の性質、要件の違い=

以上からもお分かりいただけますように、脅迫罪は「害悪の告知」をしただけで成立する罪、強要罪は「害悪の告知」+「人に義務のないことを行わせること」あるいは「権利の行使を妨害したこと」が必要です。また、脅迫罪の「害悪の告知」は、それによって相手方が畏怖したかどうかは問わないとされているのに対し、強要罪の「害悪の告知」は、結果として相手方に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害するに足りる程度のものである必要があります。

=法定刑の違い=

脅迫罪は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金で、強要罪は3年以下の懲役です。両者を比べてみるとよく分かりますが、強要罪には罰金刑がありません。つまり、強要罪で起訴されると必ず正式裁判を受ける必要が出てきます。裁判所は、土日は開廷してくれませんから、会社員の方であれば休暇を取る必要があります。また、慣れない法廷という場は極度に緊張するものです。判決が出るまでは「刑務所に行かなければならないだろうか」などと不安が続きます。対して、脅迫罪は選択刑として罰金刑がありますから、そのような不安や緊張に悩まされなくて済む場合もあります。

~示談交渉は弁護士に依頼~

ところで、強要罪で懲役刑を受けることや、前科が付くことを回避したいならば、起訴前に被害者と示談を成立させることが賢明です。
しかし、本件のような強要事案の場合、当事者間で示談交渉しようとすると、被害者の処罰感情は強く、示談交渉のテーブルにすらついていただけない場合もございます。したがって、当事者間で示談交渉するのはお勧めできません。
そこで、弁護士が当事者の間に入って示談交渉する必要が出てきます。
示談交渉では、示談金額のみならず、加害者の謝罪や反省の気持ち、今後の再犯防止に向けた対策等を被害者にお伝えすることも可能です。
本件では、Aさんが他部署に異動するということも、場合によっては必要となってくるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、強要罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。強要罪については特に、検察官が起訴する前に被害者と示談を成立させ、不起訴処分を獲得することが重要です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881で、無料相談、初回接見サービスをお申し付けください。