名古屋市の背任事件で逮捕 身柄解放活動の弁護士
名古屋市熱田区在住30代男性会社員Aさんは、愛知県警熱田警察署により背任の容疑で逮捕されました。
同署によると、Aさんが勤めていた会社名義で架空工事を発注し、その代金でパソコンを購入し、売りさばく手口を繰り返し、会社に総額約1億3千万円分の損害を与えたそうです。
Aさんは、パソコンを市内の質屋に売り、代金を着服したそうです。
今回の事件は、平成26年9月17日の静岡新聞で掲載された記事を基に作成しています。
ただし、地名、警察署名は変えてあります。
~背任罪とは~
背任罪は、相手方のために事務を処理する者が、自分たちの利益を図ったり相手方に損害を加える目的で、任務に背く行為をして財産上の損害を与える犯罪です。
法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金です(刑法第247条)。
背任罪は、未遂も罰せられます(刑法第250条)。
~判例の紹介~
今回の判例は、平成16年11月16日、千葉地方裁判所で開かれた背任被告事件です。
【事実の概要】
被告人は、千葉市内に住所を有する者で、同市が賦課した平成3年度市県民税普通徴収第4期分3034万4000円(以下「本件徴収金」という。)を滞納していた者である。
同人は、同市の徴税吏員に本件徴収金の徴収事務を殊更懈怠させ、本件徴収金の徴収を不正に免れようと企てた。
そして、同市財政局税務部納税管理課長A及び同課特別滞納整理室長で上記A同様の任務を有していたBと共謀して犯行に及んだものである。
もっとも、同人は自己の利益を図り、かつ、同市及び千葉県に損害を加える目的で共謀していたが、実際に背任行為をしたのは上記A及びBである。
A・Bは、上記納税管理課において、同市の税務オンラインシステム上、本件徴収金に関して滞納処分の執行を停止した旨の処理をした。
よって、本件徴収金に関する同市の徴収権の消滅時効を完成させ、本件徴収金を徴収不能の危険に陥らせたものである。
もっとも真実は、被告人につき滞納処分の執行を停止する要件がなく、かつ、専決者である同市財政局税務部長の承認を受けていなかった。
A・Bは任務に背き、本件徴収金の徴収事務を殊更懈怠し、オンラインシステム上不正な処理をしたのであった。
被告人は、以上の行為をもって、同市及び同県に対して同額の財産上の損害を加えたものである。
【判決】
懲役1年6月(求刑 懲役2年)
【量刑の理由】
被告人に有利な事情
・犯行による同市及び千葉県の財産的損害は、延滞金も併せ、既に回復されていること
・被告人は、これまで長年月にわたって同県議会議員を務めるなどし、公私にわたって多大な社会的貢献をしてきたこと
・被告人は、本件によって2か月間身柄拘束を受けるなどして反省の機会を得たとも考えられ、公判廷において一応の反省悔悟の言葉を供述していること
・被告人の養子が公判廷において今後は家族が被告人を監督していく旨の供述をしていること
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なお、愛知県警熱田警察署に逮捕されている場合、初回接見費用は3万5900円です。