窃盗事件について接見禁止の一部解除を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案の概要】
愛知県瀬戸市在住のAさんは、あるとき、知人のBさんから、「以前自分が勤めていたV社に盗みに入って一緒にひと稼ぎしないか」と誘われました。
最初は断ったものの、借金の返済に追われ、お金に困っていたAさんは、Bさんと一緒にV社に侵入し、工具などを盗み、これを売却するなどしました。
2人は同様の行為を複数回行っていましたが、工具が頻繁に紛失することを不審に思ったV社が愛知県警察瀬戸警察署に相談、被害届を提出しました。
捜査の結果、Aさんは窃盗の容疑で瀬戸警察署の警察官に逮捕され、接見禁止が付きました。
ご相談時、Aさんの奥様は、「私も息子たちも夫の体調が心配です。なんとか面会できないでしょうか。」とご相談時お話しされました。
(守秘義務の関係上、一部事実と異なる表記をしています。)
【接見禁止とは】
前提として、刑事訴訟法は、被疑者の家族や友人などが、勾留された被疑者に接見(面会)することを認めています。
刑事訴訟法第80条
勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
(*「第39条第1項に規定する者以外の者」とは、弁護人又は弁護人になろうとする者のことをいいます。また、「被告人」とありますが、刑事訴訟法第207条第1項により、被疑者にも準用されます。)
しかし、逃亡や、証拠隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判所は、検察官の請求もしくは職権で、弁護士以外による接見を禁止することができ、これを「接見禁止」といいます。
刑事訴訟法第81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
(「被告人」とありますが、刑事訴訟法第80条と同じく、刑事訴訟法第207条第1項により、被疑者にも準用されます。)
接見禁止がつくと、ご家族の方による面会のみならず、手紙などの差し入れをすることも出来なくなってしまいます。
接見禁止が認められやすいのは、共犯者がいる事件や組織的な詐欺事件、薬物事件など、特に逃亡や証拠隠滅のおそれが高いとされる事件です。
今回の事案は、共犯事件であり、盗品の売買も行っていたことから、証拠隠滅の可能性が極めて高いと判断され、接見禁止がついたと考えられます。
【具体的な弁護活動】
裁判所に対し、①共犯者であるBさんも既に逮捕されていることに加え、AさんはBさんに今後一切接触しない旨誓約しており、証拠隠滅のおそれがないこと、②Aさんには幼い子どもがいるため、長期にわたって父親に会えないという状況は養育上好ましくないこと、③Aさんの体調の確認の必要があることなどを主張し、奥様とAさんの長男との接見禁止を解除するように主張しました。
その結果、奥様とAさんの長男に対して接見禁止等一部解除決定がされました。
また、捜査の結果、Aさんは起訴されました。
被害額が多額であり、被害者の方との示談締結も断られてしまいましたが、裁判において、Aさんは主導的立場ではなかったこと、Aさんには前科前歴がなく両親や勤務先の社長が今後の支援を約束していることなどを主張した結果、Aさんは執行猶予付き判決となりました。
【まとめ】
接見禁止となった場合、弁護士が接見禁止の解除の申立て又は接見禁止の一部解除の申立てをすることができます。
今回のような事案でも、事件とは全く関係のない奥様や息子さんとの面会を認めても、証拠隠滅のおそれがないとして、接見禁止の一部解除の申立てを行うことが一般的です。
ご家族の方が逮捕・勾留されたが、接見禁止がついているため面会できずお困りの方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族だけでも接見禁止を解除したいという場合は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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