執行猶予にしてほしい

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

執行猶予とは

執行猶予にしてほしい執行猶予とは、裁判所が言い渡す有罪判決に付される猶予期間のことです。

執行猶予判決になると、実刑判決とは異なり、一定期間刑の執行は猶予されるので、直ちに刑務所に入らなくてもよいことになります。
すなわち、執行猶予付きの判決を受けた者は、自宅に戻って通常通りの生活を送ることができます。

執行猶予期間を無事経過した場合は、裁判所の刑の言い渡しは効力を失い、刑務所に行く必要はなくなります。

但し、執行猶予期間内に他の罪を犯した場合には、執行猶予が取り消されることがあります。
新たに罪を犯して執行猶予が取り消された場合には、猶予されていた前刑と新たに犯した犯罪の刑を合わせて刑務所で服役しなければならなくなります。

執行猶予のメリット

  • 刑務所に入らなくてすむ
  • 会社や学校に行くことができ、自宅で日常生活がおくれる

執行猶予を獲得するための弁護活動

執行猶予を獲得するためには、裁判において、以下のような被告人の有利な事情を主張・立証することが大切です。

1 犯罪に関すること

  • 犯行態様が悪質ではない
  • 計画性がなく突発的な事件である
  • 被害が軽微
  • 共犯事件での立場が従属的(共犯者に逆らえない、ついて行っただけなど)
  • 組織性がない

2 情状に関すること

  • 示談が成立している、被害者が許すという宥恕の意思を表している
  • 被害者に謝罪し反省している
  • 更生の意志と具体的な再発防止策がある
  • 実刑判決になったら家族等周囲の者に重大な悪影響がある
  • 前科・前歴がない
  • 常習性や再犯可能性がない

執行猶予が取り消される場合

1 執行猶予の必要的取消し(必ず取り消される)

  1. 執行猶予期間内に拘禁刑以上の実刑の言渡しがあったとき
  2. 執行猶予言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の実刑の言渡しがあったとき
  3. 執行猶予言渡し前に他の罪につき拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき

2 執行猶予の裁量的取消し(取り消される場合がある)

  1. 執行猶予期間内に罰金刑の言渡しがあったとき
  2. 保護観察付の執行猶予を言い渡された者に遵守事項違反があり、その情状が重いとき
  3. 猶予の言渡し前に他の罪につき拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき

3 競合した執行猶予の同時取消し

拘禁刑以上の刑の執行猶予が取り消されたとき、他の拘禁刑以上の刑の執行猶予も取り消される

再度の執行猶予

執行猶予期間中に罪を犯した場合には、実刑判決になると一般的に言われています。

しかし、法律には、再度の執行猶予を定めた条文が存在します。

  1. 2年以下の拘禁刑の言渡しを受け、
  2. 情状に特に酌量すべきものがあるときで、
  3. 再度の執行猶予期間中における犯罪ではないこと(保護観察の仮解除中を除く)

という非常に厳しい条件を満たしたごく例外的な場合に限って、執行猶予期間中に犯した罪についても再び執行猶予が付く可能性があるのです。

執行猶予期間中に犯罪を犯してしまった場合、実刑判決で刑務所に行くしかないんだと諦める前に、執行猶予に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談して下さい。

執行猶予制度の改正

改正刑法に基づき、2025年6月1日から、新しい執行猶予制度が施行されています。2025年6月1日以降の事件に適用される新しい執行猶予制度の主な改正点は以下になります。

1 再度の執行猶予の条件緩和

これまでは、1年以下の懲役または禁錮を言い渡す場合のみ、再度の執行猶予が可能でした。

改正後は、2年以下の拘禁刑(懲役と禁錮の一本化)を言い渡す場合にも、再度の執行猶予が可能になります。

拘禁刑の上限が1年から2年に引き上げられたため、再度の執行猶予の対象となる刑の幅が広がります。

2 保護観察付執行猶予中の場合の再度の執行猶予

改正前は、保護観察付執行猶予中に再犯した場合、再度の執行猶予は不可能でした。

改正後は、保護観察付執行猶予中に再犯した場合でも、再度の執行猶予が可能となります。

ただし、再度の執行猶予期間中に再犯した場合は、保護観察の仮解除中を除き、さらに再度の執行猶予を付すことはできません。

3 執行猶予期間満了後の再犯の場合の効力継続

執行猶予期間中の再犯について公訴が提起された場合、執行猶予期間満了後も一定の期間は、刑の言渡しの効力及びその刑に対する執行猶予の言渡しが継続しているものとみなされます。

これにより、いわゆる「弁当切り」(前刑を執行させるために公判の引き延ばしをする行為)はできなくなったと考えられます。

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