ストーカー規制法の警告と禁止命令等について、弁護人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県瀬戸市に住むAさんは、元交際相手のVさん宅付近でVさんを待ち伏せしたり、うろついたり、ときには住居に押し掛けたりしていました。そうしたところ、Aさんは瀬戸警察署から、これ以上、Vさん宅付近でVさんを待ち伏せたり、うろついたり、住居に押し掛けるなどのつきまとい等をしてはならない旨の警告を文書で受けました。それにもかかわらず、Aさんは、執拗に上記ストーカー行為を繰り返したため、今度は、愛知県公安委員会から更につきまとい等をしてはならないこと、更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項の禁止命令等を文書で受けました。Aさんは、今後のことが不安になって、ストーカー事案に詳しい弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです)
~ ストーカー規制法と警告 ~
ストーカー規制法4条では、
1 被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
2 上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められ
3 警察が、被害者等(被害者の配偶者、親族等を含む)から当該つきまとい等に係る警告の申し出を受けた
場合に、警察本部長等は、当該つきまとい等をした者に対し「警告」することができると定めています。
警告に反したこと自体に罰則規定はありません。しかし、つきまとい等を繰り返すと「ストーカー行為」とみなされ、さらに「ストーカー行為」をした者に対しては罰則規定が設けられています(ストーカー規制法18条)。
被害者等の申し出は、被害者等が「警告申出書」に記入する方法によるとされています(口頭の申し出の場合は、警察職員が同申出書に代筆)。警告の方法は、原則、警告書を交付して行われますが、警告書を交付するいとまがないと認められるときは口頭で行われる場合もあります。
なお、さきほどから出てきている「つきまとい等」とは、以下の要件を満たす行為をいいます。
(目的)
・特定の者(Vさん)に対する恋愛感情その他の好意の感情を充足する目的
・上記が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的
(相手)
・特定の人(Vさん)
・その人の配偶者(Vさんの夫)、直系若しくは同居の親族(Vさんの親など)
・その人と社会生活において密接な関係を有する者(Vさんの交際相手、友人など)
(行為)
・ストーカー規制法2条1項1号から8号に掲げられた行為(例:つきまとい、待ち伏せ、住居等に押し掛けなどは1号に該当)
~ ストーカー規制法と禁止命令等 ~
ストーカー規制法5条1項では、
・被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
・上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められ
・都道府県公安委員会が、被害者等からの申出、又は職権
により、都道府県公安委員会が、当該つきまとい行為をした者に対し、
・更に反復して当該行為をしてはならないこと
・更に反復して当該行為が行われることを防止するための必要な事項
を命じる(禁止命令等)ことができると定めています。
禁止命令等は、上記の警告を経なくても発することができます。
また、警告と異なり、被害者等の申し出によらず、職権(公安委員会の判断)で発することも可能とされています。
禁止命令等の効力は、禁止命令等をした日から起算して1年ですが、期間を延長されることがあります。
禁止命令等は行政処分の一種ですから、禁止命令等が発せられるにあたって聴聞の機会が与えられますが、緊急の場合には聴聞又は弁明の機会を与えなくてもよいとされています。
なお、警告の場合と異なり、
・禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
・禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした場合は、上記同様
・禁止命令等に違反した場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
に処せられるおそれがあることから注意が必要です。
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