傷害事件で釈放・不起訴処分を獲得したことにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
愛知県豊橋市在住のAさんは、仕事に向かう道中で、前方を歩いている女性を盗撮しようと試みました。
しかし、Aさんが怪しい動きをしているところを目撃したVさんにその場で取り押さえられ、近くの交番まで連行されました。
愛知県豊橋警察署の警察官が不在であったため、警察官が戻るまで待機しようと考えたVさんが、再度Aさんの首元をつかんで取り押さえました。
特に抵抗しようと考えていなかったのにも関わらず首元をつかまれたことに立腹したAさんは、その場にあったパイプ椅子でVさんを殴打し、怪我を負わせてしまいました。
その後、駆けつけた警察官にAさんは現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんのお父様は、「息子は数日後に結婚式を控えているので、なるべく早く釈放してもらうことはできないでしょうか。」と相談時にお話されました。
(守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【具体的な弁護活動】
Aさんは逮捕後勾留されたため、弁護士が勾留に対する準抗告を申立てました。
弁護士が準抗告申立書にて、①証拠隠滅の可能性がないこと、②突発的な事件であり、Aさんの供述も犯行を認める旨の供述で一貫していることから、在宅での捜査で支障がないこと、③結婚式がキャンセルとなればAさんのみならず、その親族に多大な社会的・精神的不利益が生じることなどを理由に挙げ、Aさんの釈放を求めました。
その結果、準抗告が認められ、Aさんは釈放されました。
さらに、弁護士がVさんとの示談交渉を行い、①AさんがVさんへの接触を今後一切しないこと、②示談金の支払いなどを約束し、Vさんとの間で宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結しました。
そして、弁護士が検察官に対し、上記宥恕条項付きの示談が成立している旨を主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。
【まとめ】
今回の事案のように、被疑者が逮捕後勾留されてしまった場合には、勾留裁判に対する不服申し立て(準抗告)を行い、身柄解放(釈放)を目指します。
釈放が認められれば、逮捕されたことが周りの人に知られずにすんだり、会社や学校を辞めずにすむ可能性があるだけでなく、在宅での捜査になるので、事件解決や裁判に向けた十分な準備ができるといったメリットがあります。
また、不起訴処分を獲得するためには、弁護士による被害者の方との示談交渉が重要になります。
その際、今回の事案のように、被害者の方と宥恕条項付きの示談を締結することができれば、より不起訴処分獲得の可能性が高まります。
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