【東海地方の弁護士】 LGBTの性犯罪には刑事事件に強い弁護士
性同一性障害で、生まれたときの性は男性だが女性として生活しているVさんの胸を触ったとして、兵庫県迷惑防止条例違反の罪に問われたAさんの判決が大阪高裁でありました。
高裁の裁判長は罰金30万円とした一審の神戸地裁判決を支持し、Aさんの控訴を棄却しました。
(2018年2月2日朝日新聞DIGITALのニュースを基にしたフィクションです。)
~性同一性障害の被害者と刑事裁判~
昨年7月の改正刑法によって、強制性交等罪の被害者について、男女問わず成立するとの改正があり話題となりました。
しかし、LGBTの方の性別の認定については特に立法はされず、問題は残されたままでした.
今回の事例の参考にした裁判例では、そういったLGBTの方に関したわいせつ事件の方向性を示す判決となりました。
被告人は一審で「男性の胸を触る理由も動機もない」などとして無罪を主張しました。
また、弁護側は、被害者が店内にいた知人にその場で被害を訴えていなかったことなどから、被害者の供述が不合理であるなどと述べました。
一審の判決では、被告人から「『女性ホルモンの注射をして胸も膨らんでいる』と言われ、からかうような意味を込めて胸を触ることがありえる」と指摘し、被害者が知人に被害を伝えなかったのは「GID(性同一性障害)の男性が胸を触られたことが犯罪に当たるのかどうかわからないなか、被害を訴えなかった心情は十分理解できる」と述べました。
大阪高裁は、被害者供述が信用できるとした一審判決と同じ判断をしたうえで、被害者が女性の姿で生活し、性同一性障害と診断されている点を指摘しています。
被害者の屈辱感は生来の女性と比較して遜色なく、胸をつかむ行為は下品でみだらな行為にあたると判断した結果、被告人からの控訴は棄却されることとなりました。
LGBTの被害者の方に寄り添った今回の判決には、法曹界でも支持が集まっています。
今後、LGBTの方の性犯罪の社会的認識を変える契機となるのかもしれません。
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