事件別:性犯罪:わいせつ画像・児童ポルノ

わいせつ物頒布等の法定刑は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の若しくは科料、又は懲役及び罰金の併科です(刑法175条1項)。

児童ポルノ所持等の法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、児童ポルノ単純提供等の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第7条)。

児童ポルノ提供等を不特定若しくは多数の者に行った場合の法定刑は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金です(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第7条)。

令和5年には、刑法改正による16歳未満の者に対するわいせつ画像要求罪の新設と、撮影罪を規定する「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下、「性的姿態撮影等処罰法」とする)」が新設されました。

16歳未満の者に対するわいせつ画像要求罪の法定刑は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です(刑法182条第3項)。

盗撮等の性的影像記録提供等の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は 300万円以下の罰金(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下、「性的姿態撮影等処罰法」とする)第3条第1項関係)。

盗撮等の性的影像記録提供等を不特定若しくは多数の者に行った場合の法定刑は、 5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科です(性的姿態撮影等処罰法第3条第2項関係)。

盗撮等の性的影像記録保管の法定刑は、2年以下の拘禁刑又 は200万円以下の罰金です(性的姿態撮影等処罰法第4条関係)。

わいせつ画像・児童ポルノ提供等の概説

インターネット上で性行又は性行類似行為、無修正の局部等のわいせつな画像又はわいせつ動画を掲載やアップロードすると、刑法上のわいせつ物頒布等の罪に問われることになります。

また、販売目的でわいせつ画像やわいせつ動画等を所持したり、保存したりした場合も同様の罪に問われます。

わいせつ画像やわいせつ動画の対象が18歳未満の未成年であった場合には、わいせつ物頒布等の罪よりも法定刑の重い児童買春、児童ポルノ禁止法違反の罪に問われます。

平成26年の児童買春、児童ポルノ禁止法の改正によって、児童ポルノについては単なる自己使用目的での所持も処罰対象となりました。

児童買春・児童ポルノ禁止法では、児童ポルノの画像や動画を第3者に提供する場合だけでなく、18歳未満の未成年者に、淫らな姿態をとらせて写真や画像を作成する製造行為も処罰対象となります。

令和5年の刑法改正による16歳未満の者に対するわいせつ画像要求罪の新設により、16歳未満の者に対し、わいせつ映像の送信を要求した者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が 生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も処罰対象になりました。

さらに、令和5年の性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律の成立により、性的盗撮や性的姿態を撮影する行為だけでなく、性的影像記録提供等、性的影像記録保管 、性的姿態等影像送信、性的姿態等影像記録などの行為も処罰対象となりました。

わいせつ画像、児童ポルノ提供等の最適な弁護プラン

1 前科をつけないために

わいせつ物頒布等又は児童ポルノ提供等の容疑をかけられて警察に逮捕又は捜査されてしまった場合、前科をつけないためには不起訴処分・無罪判決を獲得する必要があります。

不起訴処分・無罪判決を獲得するには、弁護士を通じて、犯罪を立証する証拠が不十分であるあることを指摘する方法が考えられます。

具体的には、わいせつ画像又は児童ポルノ画像を流出・提供していないとの主張だけでなく、画像の対象が18歳未満の未成年者だとわからなかった、わいせつ画像・児童ポルノ画像の所持目的が個人的かつ私的な範囲内にすぎなかった、わいせつ画像・児童ポルノ画像を流出流通させる意図がなかったことなどを客観的な事情から主張して、不起訴処分を求めていくことになります。

2 示談等の弁護活動

実際にわいせつ画像、児童ポルノ画像の提供等を行ってしまった場合、直ちに示談に動くことで、事件化(警察介入)しなくなったり不起訴処分により前科がつかなくなる可能性を高めることができます。
示談を締結し、被害者の処罰感情が緩やかになれば、不起訴処分により前科がつかなくなる可能性が出てきます。

起訴後も、示談をすることによって執行猶予の可能性を高めることが出来ます。

示談をすることで釈放の可能性も高まりますので、示談によって早期の職場復帰・社会復帰を図ることもできます。

起訴前でも起訴後でも、被害弁償と示談の有無及び被害者の処罰感情が処分に大きく影響することになるので、弁護士を介して納得のいく示談をすることが重要です。

また、被害児童が特定されていない場合では、カウンセリングや贖罪寄付などを利用することで、情状面で少しでも本人に有利になるよう弁護活動を行っていきます。

3 早期釈放を目指す

未成年との児童買春・援助交際事件で逮捕されてしまった場合は、検察官に対して勾留請求せずに釈放するよう働きかけを行い、裁判官に対しては勾留せずに釈放・保釈するよう法的手続きをとることで早期釈放を目指します。

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