侵入盗で問われる罪

侵入盗事件で何罪に問われるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

名古屋市港区Aさんは、同じ名古屋市内にあるVさんが経営する釣り具店に、店の出入口のドアガラスを周辺に積まれていたブロックを投げ入れて割って立ち入りました。そして、Aさんは店内に残っていた売上金や釣り竿10本を店外へ持ち出し自宅へ持ち帰りました。
後日、Aさんは建造物侵入。窃盗罪の疑いで、愛知県港警察署に通常逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~侵入盗で問われる罪~

侵入盗とは窃盗の手口の1つです。
今回のAさんのように他人の家や店などに正当な理由なく侵入した上で、他人の財物を盗む態様のことをいいます。
他方で、万引きやスリ、置引きといった窃盗の手口は侵入等に対して非侵入盗と呼ばれます。

侵入盗で問われる罪としては主に
●建造物侵入罪又は住居侵入罪
●窃盗罪
●器物損壊罪
があります。

まず、建造物侵入罪についてです。
建造物侵入罪は刑法130条前段に規定されています。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

Aさんの行為から、AさんはVさんの釣り具店に盗み目的で立ち入ったことが認められます。
そのため、Aさんの立ち入りは「正当な理由がない」、つまり、違法といえます。
また、建造物侵入罪の「侵入」とは、建造物の管理者の意思に反する立ち入りであると解されています。
この点、Aさんは盗み目的でVさんの釣り具店に立ち入っていますから、Aさんの立ち入りは「侵入」に当たるでしょう。

次に、窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

Aさんは、Vさんの許可なく、無断で売上金や釣竿を店外に持ち出していますから、こうした行為が「他人の財物を窃取した」に当たることは明らかです。

最後に器物損壊罪です。
器物損壊罪は刑法261条に規定されています。

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

Aさんの釣り具店の出入口ドアガラスを割った行為は「他人の物を損壊し」たことに当たります。

このように、侵入盗では、一連の行為が複数の罪に当たる場合があるのです。

なお、仮に、AさんがVさんや店員と鉢合わせとなっていた場合、Aさんはどういう行為に出ていたでしょうか?
顔を見られなくないとVさんや店員に対して暴行を振るっていたかもしれません。
そうした場合は、強盗罪(刑法236条)、事後強盗罪(刑法238条)、あるいはVさんや店員に怪我をさせたり、死亡させた場合は強盗致傷罪(刑法240条前段)、強盗致死罪・強盗殺人罪(刑法240条後段)などの罪に問われる可能性もあります。

侵入盗事件では、Aさんのように逮捕・勾留されて捜査されることも珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、逮捕された方向けの初回接見サービスもご用意しています。
0120ー881ー631では、初回接見サービスについてのお問い合わせやお申し込みをいつでも受け付けていますので、お気軽にお電話ください。

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