傷害事件で正当防衛

傷害事件と正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

Aさんは、愛知県名古屋市中村区において傷害事件を起こしたとして、中村警察署の捜査を受けていました。
Aさんが傷害事件を起こした背景には、以下のような事情がありました。
ある夜、Aさんが区内を歩いていたところ、前から酒に酔った様子のVさんが歩いてきました。
AさんがVさんとすれ違った際、VさんはAさんに「てめえ今睨んだだろ」などと因縁をつけ、突然Aさんの胸倉を掴んできました。
Aさんはそれを振りほどいて逃走を図りましたが、Vさんが道端に落ちていた傘を持って追いかけてきたことから、身の危険を感じて持っていた鞄を振り回しました。
そうしたところ、たまたま鞄の角がVさんの顔に当たり、Vさんに全治2週間程度の怪我を負わせたというのが事の経緯です。
このことを聞いた弁護士は、正当防衛の主張ができないか検討することにしました。
(フィクションです)

【傷害罪について】

刑法(一部抜粋)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、その名のとおり人に対して「傷害」を負わせた場合に成立する可能性のある罪です。
傷害罪における「傷害」とは、人の生理的機能の侵害という結果を指すと考えられています。
このことから、たとえば出血や骨折といった怪我を負わせる行為以外でも、傷害罪が成立する余地があります。
たとえば、人体に有害な化学物質を食べ物に混ぜ、それを食べた者に腹痛を生じさせる場合などが考えられます。

傷害罪の成立を認めるためには、飽くまでも傷害を負わせた行為が故意に行われたものである必要があります。
仮に傷害が過失(簡単に言えば不注意)に基づくものであれば、過失傷害罪として軽く罰せられるに過ぎません。
上記事例において、身の危険を守るためとはいえ、Aさんが故意に鞄を振り回していることは否定できません。
そうすると、Aさんの行為が過失傷害罪に過ぎないという主張は難しいと言えるでしょう。

【正当防衛となる余地はないか】

たとえ行為そのものが傷害罪に当たるとしても、正当防衛の成立により適法な行為として扱われる余地はあります。
正当防衛の成立を肯定するには、①急迫不正の侵害、②自己または他人の権利を防衛する目的、③行為がやむを得なかったこと、を満たす必要があります。
簡単に言うと、①他人による違法な行為が突然降りかかったときに、②自己または他人の身体や財産などを守るため、③必要最低限の行為をした際に正当防衛が成立する可能性があります。
正当防衛は、言ってしまえば本来違法な行為を特別な条件の下で正当化するものです。
そのため、正当防衛が成立するかどうかの判断は、裁判官による厳しいものとなることが予想されます。

弁護士に事件を依頼するメリットとして、正当防衛のような専門的な事柄について的確な主張を展開できる点が挙げられます。
どのような主張をすべきかあらかじめ弁護士に聞いておけば、取調べや裁判において不用意な供述をしてしまうリスクを抑えることができるでしょう。
取調べも裁判も、一度した供述を撤回して別の供述を記録してもらうというのは簡単なことではありません。
ですので、もし正当防衛の主張をお考えであれば、やはり早い段階から弁護士に依頼されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、正当防衛の主張が認められるよう尽力します。
傷害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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