児童ポルノ製造罪で在宅捜査を受けた事件を参考に、略式命令による罰金刑について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事件
会社員のAさん(40代、前科なし)は、SNSで知り合った当時13歳の少女とSNSでやり取りする中で、少女に裸の写真を撮影するように支持し、その画像を受け取ったとして、愛知県半田警察署の在宅捜査を受け、検察庁に書類送検(送致)されました。
事実を認めていたAさんは、その後、検察庁に呼び出されて検察官の取調べを受けた際に、検察官から略式命令による罰金刑の承諾書に署名するように求められました。
(フィクションです。)
児童ポルノ製造罪
児童ポルノ製造罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の中で、児童ポルノに関連する罪の1つです。
この法律でいうところの「児童ポルノ」とは、18歳未満の児童を相手方とする性交や性的類似行為に係る児童の姿態等などや、児童の下着や裸を描写した写真や映像などをいいます。(同法第2条3項参照)
児童ポルノ製造罪は、児童ポルノを製造することによって成立する犯罪で、ここでいう「製造」とは、児童ポルノを撮影する行為だけでなく、児童に児童ポルノを撮影させる行為も含まれる場合があります。
児童ポルノ製造罪で有罪が確定すれば「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科せられます。
略式命令による罰金刑
児童ポルノ製造罪のように、罰金の罰則規定がある犯罪で検察庁に送致され、その犯罪事実を認めている場合、略式命令による罰金刑となる可能性があります。
略式命令による罰金刑は、刑事訴訟法第461条から第465条に明記されており、これをまとめると
②検察官が略式命令を請求する際は、あらかじめ被疑者に対して略式命令の手続きについて説明し、異議がない旨を確認し、その旨を書面で明らかにしなければならない。
③検察官は略式命令の請求を起訴と同時にしなければならない。
④略式命令の手続きは書面によって行わなければならない。
⑤被疑者は、略式命令を拒否して、刑事裁判で審理するよう求めることができる。
ということを規定しています。
実際に、検察官がどういった事件を、略式命令にするかは、被疑者の前科前歴や、犯行の悪質性など様々なことが考慮され決定するので断言する事はできませんが、逆に、犯行を否認していたり、被疑者本人が略式命令に同意しない場合は、略式命令の手続きが取られることはありません。
略式命令のメリット、デメリット
メリット
①公開の刑事裁判がないの負担を軽減できる。
②罰金を納付すれば手続きが終了するので、手続きが長引かない。
デメリット
①前科となる。
②刑事裁判はなく書面審理だけなので自分の思いを裁判官に伝えられない。
まずは弁護士に相談を
「略式命令の手続きを承諾すべきなのか…」「略式命令の手続きの拒否して刑事裁判で争った方がいいのではないか…」など、ご自身の起こした事件で、略式命令の手続きに同意するか悩んでおられる方は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
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