模造品を海外から輸入 税関から呼び出された

ハイブランドの模造品を海外から輸入しようとしたことが名古屋税関で発覚し、税関から呼び出しを受けた場合の、その後の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

参考事件

名古屋市内で衣料品店を営んでいるAさんは、中国からハイブランドの模造品を輸入し、転倒で販売していました。
Aさんは、中国に住んでいる知人に依頼して中国国内で模造品の買い付けを行ってもらい、その商品を日本に送ってもらっていたのですが、ある日、既に発送されたはずの商品が届かず、どうしたものかと心配していたところ、名古屋税関から呼び出しがあったのです。
名古屋税関で取調べを受けたAさんは、模造品を輸入しようとした事実を認めましたが、その後の手続きがどうなるのか不安です。
(フィクションです。)

模造品の輸入は何罪になるの?

関税法違反(禁制品輸入)となることは間違いないでしょう。
関税法は、輸出入品に係る税金(関税)や、輸出入品について制限するなどした法律です。
この関税法の中で、輸入してはならない物品(貨物)を定めています。(同法第69条の11参照)
主に、医薬品類や、違法薬物、拳銃等の武器、そして偽造通貨や児童ポルノなどですが、その中で商標権、著作権を侵害する、いわゆる模造品が含まれているのです。
そして税関で、こういった輸入禁止物を発見した場合の手続きについても明記されており、その内容は、簡潔にいうと、税関で捜査できるものとなっているのです。
今回の参考事件では名古屋税関で、模造品が発見されたために、それらを輸入しようとしたAさんのもとに、税関の調査が入ったのでしょう。

税関には捜査権、逮捕権はあるの?

税関職員は、司法警察員の身分はありませんので、刑事訴訟法上のいわゆる捜査や、犯人の逮捕などを行うことはできません。
しかし関税法によって、犯則事件の調査は許されており、それに伴う、捜索差押えなども可能とされています。
刑事手続きでいうところの犯罪捜査ではありませんが、関税法に違反する犯則行為に対しては調査や差し押さえができるという事ですので、関税法に関して実質的に警察と同じことができるという事です。
ただ犯人を逮捕することはできませんので、その場合は、事件を検察官に告発し、実際は検察や警察によって本来の刑事手続きを進める事になります。

関税法違反の罰則は?

今回のように、関税法で輸入が禁止されている物を日本に輸入した場合の罰則規定は10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金ですが、懲役刑と罰金刑の両方が科せられることもあります。
今回の参考事件では、輸入される前に税関で阻止されたので未遂罪になるかと思いますが、その場合も刑事罰の対象ですので、上記の罰則から減軽されるでしょうが、刑事罰の対象となります。
窃盗罪の法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」でることを考えると非常に厳しい罰則規定であることが分かります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件に特化した法律事務所です。
何か刑事事件でお困りのことがございましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の弁護士が対応する、無料法律相談初回接見サービスをご利用ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら