名古屋市中区の覚せい剤取締法違反事件
~ケース~
名古屋市中区内にあるAさん宅に、ある日突然愛知県警察中警察署の警察官が捜索差押許可状(捜索場所はAさん宅、差し押さえるべき物は覚せい剤と記載されている)を持ってやってきた。
警察官が捜索差押え許可状をAさんに呈示して室内に入ったところ、偶然その場にいたBさんがテーブル上にあった物をつかみ、ポケットに入れたのを発見した。
その為、警察官はBさんを押さえ付けポケットの中を調べたところ、覚せい剤の入った袋を発見したため、その場でBさんを覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕した。
(事実を基にしたフィクションです)
~捜索差押許可状に記載のない人への捜索は認められるのか~
上記のケースにおいて、捜索差押許可状に記載されている捜索場所はAさん宅であり、Bさんは元々捜索対象とされていません。
このような場合、Bさんのポケット内を警察官が探った行為は、適法な捜査といえるのかどうか、つまり「場所」に対する捜索差押許可状により人の「身体」を捜索することがきるのかが問題となります。
もし、違法な捜査だと判断された場合、当該捜索差押えによって収集された覚せい剤は、裁判では証拠として採用することが出来ず、Bさんは覚せい剤取締法違反の罪に問われない可能性があります。
この点ですが、人格を有する「身体」の方が「場所」よりも捜索により侵害される利益は重大なため、より慎重に捜索が行われるべきだと考えられています。
その為、原則「場所」に対する捜索差押許可状により、「身体」を捜索することはできません。
一方で、偶然その場に居合わせた者が差押目的物を身体に隠匿した場合でも一切捜索が出来ないということになってしまうと、捜索の必要性や真実発見が害されるおそれがあります。
その為、被疑者の人権保障と捜査により実体的真実発見の要請との調和を図るため、
①差押目的物を身体に隠匿したと疑うに足りる相当な理由があり
②捜索の必要性・緊急性が認められる場合
には、例外的に「身体」を捜索することが許されると考えられています。
上記のケースの場合、警察官が入るや否や、Bさんはポケットに物を隠匿しているので、差押目的物を身体に隠匿したと疑うに足りる相当な理由があると言えます①。
さらに、覚せい剤は容易に水に流すこともでき、証拠隠滅が容易なので、その場ですぐにBさんのポケットを捜索する必要性、緊急性も認められます②。
したがって、例え捜索差押え許可状に捜索場所として記載がなかったとしても、警察官がBさんのポケット内を探る行為は適法とされる可能性が高いと言えます。
ただし、捜索差押許可状を得ているからといって、捜査機関側がどんな捜査をしても許されるという訳ではありません。
例えば、捜索差押えの際には捜査機関は立ち入りを禁止することができます。(刑事訴訟法112条1項)
その為、捜索が行われる場所は密室的な空間となるため、捜査機関側による強引な捜索が行われる危険性があります。
その為、上記の①、②が無く、捜索の限度を超えた違法な行為があった場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
刑事事件に強い弁護士を通して、捜査機関や裁判所に対して、法律の手続きに乗っ取った正当な主張をしてくことが、被疑者、被告人の利益を守るためには大切です。
覚せい罪取締法違反の容疑で起訴され裁判になった場合、前科がある場合には執行猶予が付かない実刑判決を受ける可能性は高くなります。
また、覚せい剤取締法違反の前科が無い場合であったとしても、営利目的で所持していた場合など、犯行の態様によっては執行猶予が付かない実刑判決を受ける可能性もあります。
名古屋市中区の覚せい剤取締法違反をはじめとする刑事事件で逮捕や捜索差押をされた場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
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(愛知県警察中警察署までの初回接見費用 35,600円)