名古屋市熱田区で運転過失建造物損壊罪なら
~ケース~
名古屋市熱田区在住のAさん(60代)は、コンビニエンスストアの駐車場でアクセルとブレーキを踏み間違え店舗に突っ込んでしまった。
幸い,怪我人はいなかったが,店舗の駐車場に面するガラスが割れてしまった。
Aさんは、その場で愛知県警察熱田警察署の警察官に事情を聴かれただけだ逮捕等されることはなかったが,ゆくゆくは刑務所に行かなければならないのかと不安になり弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用することにした。
(フィクションです)
~刑事手続きの流れ~
刑事事件を起こしてしまった場合,一般的には逮捕されて刑務所に入れられるというイメージがあると思います。
しかし,実際には道交法違反を含む刑法犯の場合,起訴されるのは全体の33%程度となっています。
不起訴の多くは起訴猶予であり,初犯で軽微な犯罪であれば起訴猶予となる事が多くなっています。
刑事手続きでいう「逮捕」とは身柄拘束の一種であり,逃亡や罪証隠滅のおそれなどがある場合に認められます。
被疑者を逮捕した場合には48時間以内に検察官に事件を送致(送検といいます)する必要があり,送致を受けた検察官は被疑者を勾留するかどうかを決定します。
勾留は原則10日間,場合によってはさらに10日間の勾留延長がなされます。
ただし,勾留は逮捕に比べて身柄拘束期間が長くなりますので,逮捕に比べ要件の審査は厳格になっています。
勾留された場合,勾留満期の時点で検察かは起訴するかどうかを決定します。
したがって,勾留される事件は基本的に起訴される可能性が高いと考えられます。
~Aさんの場合~
今回のケースで、Aさんにはどういった罪が成立するのでしょうか。
Aさんは店舗のガラスを割ってしまっていますので器物損壊罪(刑法261条)が考えられます。
しかし,器物損壊罪は故意でなければ罰せられません。
Aさんは故意に店舗に突っ込んだわけではないので器物損壊罪とはならないでしょう。
また,店舗のガラスを割っているので建造物損壊罪(刑法260条)も考えられますが,こちらも故意でなければ罰せられません。
しかし,道路交通法第116条は「車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り,又は重大な過失により他人の建造物を損壊したときは,六月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。」と規定しています(運転過失建造物損壊罪)。
運転過失建造物損壊罪の場合,条文からも明らかなとおり,過失であっても罰せられます(故意の場合は通常の建造物損壊罪となります)。
ここでいう「業務上」とは社会生活において反復・継続して行う活動をいいます。
今回のケースでAさんは、アクセルとブレーキを踏み間違えるという業務上必要な注意を怠っていますので、道運転過失建造物損壊罪に問われる可能性が高いです。
上述のように、刑事事件を起こしてしまい逮捕されるのは逃亡や罪証隠滅のおそれなどがある場合になります。
今回のケースで、Aさんはその場で逮捕されることはなかったのですから,後から逃亡や罪証隠滅のおそれがあるとして逮捕するという事は考えにくいでしょう。
ただし,警察からの取調べの出頭要請などを無視し続けたというような場合には逮捕されてしまう可能性は高くなります。
~刑務所に行かなければならないのか~
今回のケースで、Aさんが刑務所に行くことはあるのでしょうか。
刑務所は起訴され刑事裁判によって懲役または禁錮を言い渡された場合に行くことになります。
したがって,不起訴となった場合や罰金刑や執行猶予付きの判決の場合には刑務所に行くことは原則としてありません。
検察官が起訴するかどうかは犯罪の重大性,前科の有無,犯罪後の情状などによって総合的に判断されます。
今回のケースでは、怪我人が出ていないので成立する犯罪は運転過失建造物損壊罪のみであると考えられます。
運転過失建造物損壊罪の場合,被害店舗に建物の修繕費や休業補償などの被害弁償をすることによって、国家があえて刑罰を科す必要がないと考えられ不起訴となる可能性が高くなります。
一方で,修繕費などを一切支払わない場合には犯罪後の情状が芳しくないと判断され,起訴されてしまう可能性も高くなるでしょう。
起訴された場合,前科がなければ罰金刑となると思われますが,罰金が払えない場合には労役場留置といい,刑務作業をしなければなりません。
厳密には異なりますが,罰金刑であっても罰金を支払えない場合には刑務所に行くのとほぼ同様になります。
また,罰金刑となった場合でも店舗の修繕費の支払い義務など民事上の責任は負うことになります。
したがって,不起訴処分とするためにも早い段階で被害弁償をすることが重要です。
まずは刑事事件に強い弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強い法律事務所です。
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