未成年と性交し淫行(犯罪)に?
未成年と性交し淫行(犯罪)になるケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【事件】
愛知県名古屋市に住むAさんはアルバイト先の同僚である女性Vさん(16歳)と恋愛関係にありました。
AさんとVさんは何度もデートをし,性行為も行っています。
ある日,AさんはVさんと並んで歩いているところを職務質問され,Vさんとの関係を正直に話したところ北警察署で詳しく事情を聞かれることになりました。
Aさんが心配になり弁護士に相談したところ,淫行として愛知県青少年保護育成条例違反に当たる可能性があるとの指摘を受けました。
(フィクションです)
【未成年者との淫行と犯罪】
未成年者と性交に及んだ場合,淫行として犯罪になる可能性があります。
適用される可能性のある法令としては,自治体に関係なく適用される児童福祉法と,各自治体のみで適用される青少年保護育成条例(青少年健全育成条例とも)が挙げられます。
児童福祉法では,第34条第1項第6号で児童(満18歳に満たない者)に淫行をさせる行為を禁止しています。
この淫行の罪は,後述する条例違反の罪とは異なり,児童に影響力を行使して淫行に及んだ場合に適用されうるものです。
たとえば,日ごろから児童の面倒を見ている親が児童と性交した場合が典型です。
罰則は,10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金,またはその両方が科せられます。
青少年保護育成条例については,愛知県の場合ですと愛知県青少年保護育成条例14条1項に規定されています。
愛知県青少年保護育成条例
第14条 何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない
ここでいう青少年とは,18歳未満であって,他の法令によって成年者と同一の能力を有する者(例えば婚姻関係にある者)以外の者を意味します。
また,「いん行」(淫行)について,判例(最大判昭和60・10・23刑集39巻6号413頁)によれば「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」を意味するものとされています。
更に,同判例によれば「例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等」は「社会通念上およそ処罰の対象として考え難い」ものであり,淫行にはあたらないとしています。
したがって,青少年保護育成条例で処罰される淫行とは,必ずしも18歳未満の者との性交全てを指すわけではないと言えます。
この他にも,相手が13歳未満であった場合は,強制わいせつ罪(刑法第176条)や強制性交等罪(刑法第177条)などに当たる可能性があります。
これらの罪は,相手方が13歳未満の場合に暴行・脅迫が要求されないため注意が必要です。
強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役,強制性交等罪の法定刑は5年以上20年以下の懲役とかなり重くなっています。
また,18歳未満の女性と性行為やわいせつ行為を行い報酬を支払った場合は,児童買春禁止法違反(児童買春罪)となり,5年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。
Aさんは18歳未満であるVさんと性行為を行っており,青少年健全育成条例違反に問われる可能性があります。
【弁護活動】
未成年者との援助交際や淫行によるトラブルに対して,弁護士は個別具体的な事案に応じて,児童福祉法違反・青少年健全育成条例違反・児童買春罪あるいは強制わいせつ罪や強制性交等罪に当たる可能性があるのかご説明し,今後なされうる刑事手続きや弁護活動について依頼者と話し合います。
もしこれらの犯罪に当たる可能性がある場合,弁護士としては,被害者と示談交渉を行うことで不起訴や執行猶予の獲得を目指します。
未成年者を相手とする性犯罪の場合ですと,交渉相手となることの多い未成年者の保護者は被疑者との直接やりとりすることを拒絶する場合が少なくありません。
刑事事件に強い弁護士に依頼していただくことで,難航することの多い示談を円滑に進めることが期待できます。
未成年者との淫行に伴うトラブルで捜査の対象となってしまった方,児童買春事件の被疑者となってしまった方,北警察署から呼び出しを受けた方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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