殺人事件の弁護活動

2020-01-15

殺人事件の弁護活動

殺人事件と弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事件】

Aさんは愛知県名古屋市でVさんを殺害した後,Bさんと共に市内を流れる川に遺体を遺棄しました。
後日,遺体が発見され,Aさんらは殺人事件の被疑者として名東警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

【殺人罪】

殺人罪については,刑法第199条に「人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と規定されています。
殺人罪が成立するためには,①殺人の実行行為,②死亡結果の発生,③行為と結果の因果関係の存在,④殺害の故意の4つが必要とされています。

まず,殺人の実行行為ついては,問題となる行為が人を死亡させる一定程度の危険性を備えたものでなければなりません。
したがって,仮にそうした危険性を備えていない行為により他人を死亡させた場合,理論的には殺人罪ではなく傷害致死罪や過失致死罪が成立するに過ぎないと考えられます。
ただ,実際に死亡の結果が生じていながら行為自体には「人を殺す」危険性がなかったというケースがどれほどあるかという問題はあります。

仮に殺人の実行行為に着手したものの,人を死亡させるに至らなかった場合には,いわゆる殺人未遂罪(刑法第203条)が成立します。
更に,殺人の危険性に鑑みて,殺人の準備行為時に成立する殺人予備罪(刑法第201条)というものも存在しています。
たとえば,他人を殺害するために包丁を用意すれば殺人予備罪,その他人に対して包丁を振り下ろしたものの殺害に至らなければ殺人未遂罪,予定どおり殺害を遂げれば殺人罪というかたちになります。

【死体遺棄罪】

死体遺棄罪は刑法第190条に規定されています。

刑法第190条
死体,遺骨,遺髪又は棺に納めてある物を損壊し,遺棄し,又は領得した者は,3年以下の懲役に処する。

この罪は損壊や領得をも合わせて死体損壊等罪と呼ばれることもあります。
Aさんらのように死体を河川や山中に投棄することなどが「遺棄」に当たります。
このほか,バラバラにしたり焼却する等が損壊に当たり,死体損壊等罪として処罰対象となります。

死体損壊等はしばしば何らかの形で殺人に関わっている人によって行われるため,捜査機関は死体損壊等罪の被疑事実で被疑者に対して捜査を行い,殺人の事実が確定的となった場合に再逮捕するといった手法をとることが多いです。
殺人罪と死体損壊等罪は併合罪(刑法第45条)として扱われ,両方を犯せば両方とも処罰されることになります。
「殺人事件で死体を遺棄するのは普通なので,殺人罪が成立すれば死体遺棄罪が別個に罰せられることはない」というわけではないので注意が必要です。

今回のケースでは,Aさんは殺人罪と死体遺棄罪に,Bさんは死体遺棄罪のみに問われる可能性が高いです。
ただし,BさんがAさんの実行した殺人について共に計画していたり準備を手伝っていた場合などには,共犯として殺人罪の責任をも問われる余地が出てきます。

【弁護活動】

殺人事件の被疑者から依頼を受けた弁護士はどのような活動をするのでしょうか。

まず,被疑者が逮捕・勾留されている場合,早期の身体拘束状態からの解放を目指した活動を行うことが考えられます。
具体的には,逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを主張することがこれに当たります。
ただ,事件の重大性から言って,そうした主張が簡単に認められるわけではない点は留意しておくべきです。

次に,裁判で言い渡される刑が過度に重くならないよう主張することが考えられます。
殺人罪の量刑判断の基礎となるのは,殺害に至った経緯や原因,実行行為の危険性の程度,被害者の数,そして被疑者(被告人)が反省しているかといったものです。
これらの要因について被疑者に有利になる証拠を集めることが弁護活動の中心となります。

最も重い刑で死刑が予定されている殺人罪ですが,場合によっては執行猶予付きの判決が得られる場合もあるので,その可能性を高めるためにも早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼し適切な対応を図りましょう。

殺人事件の被疑者となってしまった方,名東警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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