万引きと現行犯逮捕につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県岡崎市内に住むAさんはスーパーで万引きした後、店外に出たところ、保安員に声をかけられ現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは勾留決定前に釈放されましたが、今後のことが気になって弁護士に無料相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 万引きは窃盗罪 ~
まずもって確認しなければならないのは、どんな態様・方法であるかを問わず、万引きは
窃盗罪
という立派な犯罪であるということです。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
そして、万引きも犯罪である以上、逮捕される可能性は十分にあります。
そして、万引きといえば、保安員等に万引きの瞬間を目撃され、店外に出たところで逮捕される
現行犯人逮捕
のイメージが多いかと思いますが、逮捕には「現行犯逮捕」のほかに「通常逮捕」、「緊急逮捕」の3種類があり、通常逮捕や緊急逮捕によっても逮捕されることがあります。
現行犯逮捕と通常逮捕、緊急逮捕との違いは、前者は逮捕状を不要とする、後者は逮捕状を必要とする(緊急逮捕の場合は事後的に必要とする)点です。つまり、万引きといっても現行犯逮捕によりその場で逮捕されることはもちろん、逮捕状により後日逮捕されることも十分あり得るのです。
現行犯人は、逮捕者にとって犯罪と犯人が明白であることから、誤認逮捕のおそれがなく、犯人を確保し、犯罪を制圧するなど速やかに犯人を逮捕する必要も高いことから、私人でも逮捕できるとされています。私人の現行犯逮捕については刑事訴訟法213条に規定があります。
刑事訴訟法213条
現行犯人は、何人でも逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
~ 現行犯逮捕後の手続、流れ ~
現行犯逮捕の場合、犯罪及び犯人が明白であることから、逮捕するにあたって逮捕の理由となる被疑事実の要旨(どんな罪を犯しのか大まかな概要)を告げる必要はないと解されています(この点、通常逮捕、緊急逮捕の場合は必要です)。
逮捕後の流れを次の2パターンにわけてご紹介いたします。
私人が現行犯逮捕した場合は、直ちに犯人を検察官、司法警察職員に引き渡さなければなりません。近くに警察官がいた場合は、警察官に引き渡せば済みますし、いない場合は連絡を取り(110番通報などし)、警察官が現場に来るまで犯人の身柄を確保しておく必要があるでしょう。私人が自分の判断で犯人を釈放することはできません(ただし、犯人が自力で逃走した場合など、やむを得ず釈放してしまった場合は責任を問われることはないでしょう)。
司法警察職員が逮捕した場合の流れは、司法巡査が現行犯人を受け取った場合、速やかに司法警察員に引致しなければならないとされている他は、通常の逮捕の場合と同様です。
~ 逮捕後の流れ ~
司法警察員による弁解を聴く手続、すなわち「弁解録取」の手続が取られます。その上で、司法警察員は、身柄を拘束する必要があるか否かを判断し、拘束する必要がないと判断したときは釈放し、必要がある判断したときは逮捕から48時間以内に、犯人及び事件を検察官の元に送致する手続を取ります。送致を受けた検察官も「弁解録取」という手続をとります。身柄拘束の必要がない場合は釈放し、必要がある場合は、犯人を受け取ってから24時間以内に、裁判官に対し勾留請求の手続を取ります。勾留の請求を受けた裁判官は、「勾留質問」という手続を取った上で、勾留するか釈放するかの判断をします。勾留の決定が出た場合は10日間拘束されます(ただし、不服申し立ての制度あり)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。