非現住建造物等放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
差し押さえられた自宅に火を付け不動産競売を妨害したとして、非現住建造物等放火と強制執行妨害目的財産損壊等の罪に問われた被告人の判決公判で、名古屋地裁岡崎支部は「2人が共謀の上放火したという事実を認定できない」として、いずれも無罪(求刑・懲役4年)を言い渡した。
(毎日新聞「自宅放火、夫婦に無罪「共謀認定できず」名古屋地裁支部」(2021/8/18)を引用・参照)。
【非現住建造物等放火罪について】
まず、本事案では自宅に火を付けた行為に対する刑事責任が問われていますので、本来であれば自己所有非現住建造物放火罪(刑法109条2項)が問題となります。
しかし、本事案では自宅は差押えがされており、以下の刑法115条が適用されます。
・「第109条第1項……に規定する物(注:非現住建造物等)が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け……たものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による」
その結果、109条の2項ではなく、他人所有とみなされ1項の他人所有非現住建造物放火罪が適用されることになります。
これにより法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」(同条2項)から「2年以上の有期懲役」と一気に重たくなることに注意が必要です。
【放火事件における裁判例と弁護活動】
本事案は、共謀に基づいて放火した事実が認められず、無罪判決を得ています。
では、非現住建造物等放火罪に関して有罪判決が下された裁判例では、どのような刑が下されているのでしょうか。
・寒かったという理由で勝手に他人の敷地内でたき火をし建物を焼損させたとして「懲役1年6月」の実刑判決
・医師が医療機関に放火した事件で「懲役2年6月執行猶予5年」の判決(医師免許取り消し)
上記のように、有罪判決が下された事案においては、やはり比較的厳しい判断がされやすい犯罪類型といえるでしょう。
他方で、量刑判断等においては被害弁償の有無なども考慮されることから、起訴前/起訴後の弁護活動が重要性を帯びてくることは言うまでもありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、非現住建造物等放火などの放火事件を含む刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
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