税関職員によるあへん煙の輸入と自首

税関職員によるあへん煙の輸入と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは税関の職員ですが、1か月ほど前より友人の暴力団員Bさんに頼まれて、Bさんが所属する暴力団が行っている、あへん煙のが入った密輸入した荷物を故意に見逃すなど密輸入に協力していました。
AさんはBさんから「これからも頼むよ」と協力するように言われていますが、Aさんは良心の呵責に耐えかねて自首を検討しています。
(フィクションです)

【あへん煙とはどのようなものですか】

あへん煙とは、煙を吸うためのあへんのことで、「あへん煙膏(えんこう)」ともいわれています。
ケシという植物の液汁を乾燥させて固めたものを「生あへん」といい、生あへんを加工して煙を吸うために使われるのが「あへん煙膏」です。

【どのような罪に問われますか】

あへんについては、「あへん法」や「麻薬特例法」の規制を受けることになりますが
今回のように税関職員があへん煙、あへん煙を吸引・摂食するための器具を輸入・輸入の許可をした場合には刑法第138条の規制を受けることになります。

刑法第138条について詳しく見ていきましょう。

刑法第138条(税関職員によるあへん煙輸入等)
税関職員が、あへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入し、又はこれらの輸入を許した時は、1年以上10年以下の懲役に処する。

とあります。
また、未遂は罰せられます。(刑法第141条)

刑法第138条は、前段があへん煙等の輸入罪、後段があへん煙等の輸入許可罪に分けられます。

輸入罪は、あへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入することを、税関職員という身分のある者が犯すことで刑罰が重くなる不真正身分犯です。

輸入許可罪は、輸入を取り締まる立場にいるはずの税関職員が、他人があへん煙輸入罪とあへん煙吸食器具輸入罪を犯すことに協力する犯罪です。
輸入の許可をする立場にある税関職員のみが犯すことができる真正身分犯です。

※不真正身分犯とは、構成要件において行為者が一定の身分をもつことで法定刑が加重あるいは減軽されるものをいいます。
※真正身分犯とは、構成要件において行為者が一定の身分をもたなければ犯罪を構成しないものをいいます。

【自首をしたい】

自首とは、犯罪事実や犯人が誰であるかが発覚する前に、犯人自らが捜査機関に対して、自分が罪を犯しましたと申告し処分を委ねることです。
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができると刑法第42条で定められており、裁判所の判断により刑が減軽されることがあります。
しかし、自首が成立しても、必ず刑が軽減されるわけではなく、軽減されるか否かは裁判所の判断にゆだねられます。

さらに、自ら警察署に赴いて罪を認めても、自首が成立しないことがあります。
自首が成立する要件として

①捜査機関に発覚する前の申告であること
②自発的に自己の犯罪事実を申告すること
③自己の訴追を含む処分を求めること
④捜査機関に対する申告であること

があります。

もちろん自首をすれば事件が明らかになり、最終的には刑罰を受けるおそれがありますので、本当に自首をすべきかどうかは、今警察署に行って犯罪事実を申告することが自首に該当するのかどうかも含め慎重に判断すべきです。

自分が何らかの罪を犯したことが間違いないのであれば、自首をするべきかも含め、これからどうしたら良いのかを一度薬物事件や刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多く扱う刑事事件専門の法律事務所です。
税関職員だがあへん煙の密輸入に関わってしまった、家族が税関職員によるあへん煙輸入等罪で逮捕されてお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。

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