愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(愛知県蟹江市内在住の大学生・22歳)は、交際中の女性(Vさん・愛知県蟹江市内在住の大学生・21歳)に無料通信アプリLINEで、「死ねよ」「お願いだから死んでくれ」「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」などと合計7回のメッセージを送り、Vさんの自殺を唆(そそのか)し、自殺させました。
Aさんは愛知県蟹江警察署により自殺教唆罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの両親は、Aさんが長期間身体拘束されないようにしたいと考えています。
(2014年2月21日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【自殺教唆罪とは】
刑法202条は、自殺教唆罪について以下のように規定しています。
刑法202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
この条文の「人を教唆し」「自殺させ」るという部分が自殺教唆罪となります。
【自殺は犯罪?】
ところで、刑法は自殺についてどのように評価しているのでしょうか。
自殺教唆罪を考えるにあたり、まず自殺の刑法的評価を考えなければなりません。
刑法199条は「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」として、殺人罪を規定しています。
しかし、殺人罪の「人」(刑法199条)には行為者自身(自分)は含まれません。
自殺をする者にも自己の生死を決定する自由があるからです。
そのため、刑法では自殺は犯罪ではないと評価されています。
【自殺教唆罪の処罰根拠】
先ほど触れたように、自殺することは犯罪ではないにも関わらず、刑法202条は自殺教唆を犯罪として規定しています。
自殺教唆罪が犯罪とされる理由はどこにあるのでしょうか。
諸説ありますが、上述したように自殺をする者には自己の生死を決定する自由があるものの、他人の自殺を教唆することは他人の生命への過度な干渉になると考えるべきだとされています。
こうした考えなどにより、自殺教唆罪は、生命を保護するために定められた独立の犯罪として刑法に規定されているのです。
【自殺教唆罪の成立】
刑事事件例では、Aさんは、Vさんに「死ねよ」「お願いだから死んでくれ」「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」などと合計7回のメッセージを送っています。
教唆とは、その(犯罪)行為をする意思のなかった人にその(犯罪)行為をする意思を起こさせることを指します。
このAさんの行為は、Vさんに自殺をする意思を起こさせ自殺させていることから、「人を教唆し」「自殺させ」た自殺教唆行為に該当する可能性があります。
よって、Aさんには自殺教唆罪が成立する可能性があるのです。
【自殺教唆罪と身体拘束】
刑事事件例のように自殺教唆罪の容疑で逮捕されてしまったケースにおいて、被疑者が長期間身体拘束されないようにするためには、刑事弁護士が検察官や裁判官に勾留をしないよう働きかけることができます。
また、一度勾留決定がなされた後には、勾留決定に対する不服申立て(準抗告)ができます。
例えば、自殺教唆をしたLINEのやり取りが保存されているスマホを押収されているのであれば、罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれはないと主張できます。
被害者の方が亡くなっていることも罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがないことの主張に結び付くでしょう。
また、自殺教唆罪の容疑を認めているのであれば、罪証隠滅(証拠隠滅)や逃亡の動機もないという事情になり得ます。
こうした事件ごとの事情の数々を積み重ねて逮捕・勾留と言った身体拘束から解放してもらうための材料として主張していくためには、早期に弁護士に相談し、迅速に準備に取りかかる必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。