Archive for the ‘刑事事件’ Category

振り込め詐欺の「受け子」をしてしまったら

2019-12-05

振り込め詐欺の「受け子」をしてしまったら

振り込め詐欺の受け子をしてしまった場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します

~「受け子」になってしまったケース~

愛知県名古屋市瑞穂区在住の大学4年生のAさんは友人から荷物運びのアルバイトを紹介された。
アルバイトの内容は地下鉄の駅のコインロッカーで荷物を受け取り,その荷物を事務所まで運ぶというものであった。
簡単な作業な割に給料のいい仕事だったのでAさんは3ヵ月にわたり7回アルバイトを行った。
ある日,Aさんが地下鉄新瑞橋駅のコインロッカーから荷物を取り出そうとしたところ,張り込んでいた愛知県瑞穂警察署の警察官によってAさんは詐欺罪の疑いで現行犯逮捕されてしまった。
実は,荷物の中身は特殊詐欺の被害者からの現金などであった。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の初回接見サービスを依頼した。
(フィクションです)

~特殊詐欺の受け子~

オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」といった近年増加傾向にある詐欺の手口はまとめて「特殊詐欺」と呼ばれています。
特殊詐欺はその名の通り詐欺罪(刑法246条)に該当します。

刑法246条

人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

人を騙すことを一般に詐欺と呼びますが,刑法上の詐欺罪の成立には以下のような要件が要求されています。

1.社会通念上,相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益を処分させるような行為をすること(欺罔行為)
2.相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
3.錯誤に陥った相手方が,自己の意思で財物などを処分すること(処分行為)
4.財物などの占有が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転)
5.上記1~4の間に因果関係が認められ,行為者に故意および不法領得の意思が認められること

すなわち,相手を騙し,騙された相手が自分の意思で現金の振り込みなどをした場合に詐欺罪が成立します。
振り込め詐欺などの特殊詐欺場合,組織的に息子などを装って電話をかける「かけ子」,騙された相手から現金などを受け取る「受け子」などにわかれています。
「受け子」は単純に現金などを受け取るだけですので,何も知らない大学生などが簡単なアルバイトだと思い詐欺の一員として利用されてしまうケースも多いようです。

~特殊詐欺における接見禁止~

振り込め詐欺などの特殊詐欺事件では,逮捕された後,多くの場合で勾留されてしまいます。
振り込め詐欺などの特殊詐欺事件では,共犯者がいることも多く,口裏合わせなどを防ぐために接見禁止が付されることも多いです。
勾留の際に接見禁止がつけられてしまうと弁護士以外の者との接見が不可能となりますので,たとえ家族であっても接見に行くことはできません。
勾留の際に接見禁止が付されてしまった場合,依頼を受けた弁護士はまずはご家族の方が接見できるように接見禁止の一部解除を目指して活動していくことになるでしょう。

「受け子」の場合の弁護活動~

刑事事件における共犯関係には共同正犯と幇助犯に大別されます。
共同正犯と幇助犯の区別は,一般に,特定の犯罪を自己の犯罪として実現する意思があったか,それとも他人の犯罪を手助けする意思に過ぎなかったのかによって判断されます。
特殊詐欺「受け子」の場合,自分の行為が特殊詐欺の一環であると認識があったかどうかがポイントとなります。
特殊詐欺「受け子」は実際に現金などを受け取るという重要な役割ですが,「受け子」による持ち逃げを防ぐために実際の内容を知らせていない場合も多いようです。
そのような場合にはそもそも詐欺であるという認識がなく,詐欺罪の故意がないと主張することが考えられます。
刑法は故意処罰が原則となっていますので(刑法38条),故意が欠ける場合には過失の場合にも処罰するという特別な規定がない場合には罰せられません。
詐欺罪には過失処罰が規定されていませんので故意が無かったと認められれば詐欺罪は成立しないことになります。

しかし,実際には,何となく「詐欺じゃないかな」程度の認識を持っていたということも多く,そのような場合には詐欺罪の故意があったと認定されてしまう可能性が高いでしょう。
そういった場合には,詐欺罪の共同正犯ではなく幇助に過ぎないと主張することが考えられます。
共同正犯であるか幇助犯にとどまるかは,受け子」となった動機,利益の大きさ,主犯格や他の実行犯との関係性などによって判断されるようです。
特殊詐欺「受け子」の場合,事情を正しく主張できるかどうかによって幇助犯にとどまるか,共同正犯と判断されてしまうか,故意がなかったとして詐欺罪が成立しないか,といったように結果が大きく変わってしまう可能性があります。
幇助犯にとどまるのであれば刑の減軽が規定されていますので(刑法63条)執行猶予判決付きの判決や,もしも実刑となってしまったとしても短い刑期となることが考えられます。

特殊詐欺「受け子」をしてしまった場合,弁護活動の内容次第では大きく結果が変わってしまう可能性もあります。
ご家族が特殊詐欺「受け子」をしてしまったという場合には刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にお気軽にご相談ください。
フリーダイヤル0120-631-881にて事務所での無料法律相談や警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間365日承っております。

強要罪で示談するなら

2019-12-04

強要罪で示談するなら

強要罪示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは、愛知県名古屋市中川区に住むVさんに200万円を貸し付けていましたが、期日になってもその返済が行われませんでした。
AさんはVさんに再三催促したものの、Vさんは「近々お金の工面ができるからそのとき返す」というばかりでした。
しびれを切らしたAさんは、知人2名と共にVさん宅を訪ね、「私は、令和元年8月2日にAから200万円を借りました。」という内容の借用書を書かせました。
借用書を書かせる際、AさんはVさんの胸倉を掴んで怒鳴ったり、抵抗するVさんを羽交い絞めにしたりしました。
それから数週間が経って、中川警察署から「Vさんの借用書の件で話を聞きたい」との連絡がありました。
以上の経緯をAさんから聞いた弁護士は、強要罪が成立する可能性があることを指摘し、弁護活動として示談を挙げました。
(フィクションです。)

【強要罪について】

第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

強要罪は、暴行または脅迫を用いて、他人に何らかの行為をさせ、あるいはさせなかった場合に成立する可能性のある罪です。
脅迫を手段とする強要罪の場合、脅迫の内容が①被害者自身に害を加える旨の告知(223条1項)でも②被害者の親族に害を加える告知(223条2項)でも構いません。

上記事例では、Aさんが知人と共にVさんを脅迫し、Vさんに借用書を作成させています。
VさんはもともとAさんにお金を借りていたことから、無理やりとはいえ内容の正しい借用書を書かせる行為が犯罪に当たるのは理解しがたいかもしれません。
たしかに、借金の取り立てなどにつき、正当な権利行使の範囲内として適法とされることはあります。
ですが、そうした評価ができるかどうかの判断に当たっては、社会一般の常識に照らして手段が相当なものであったかが厳しく見られることになります。
そうした観点から見たとき、Aさんの手法は社会的に相当とは言えないと考えられます。
そのため、やはりAさんに強要罪が成立する可能性はあるでしょう。

【示談に期待できる効果】

強要罪は個人の意思決定の自由を侵害する罪であることから、被害者となるのは特定の個人です。
その場合、その個人との示談が重要な意味を持つと考えられます。
そもそも示談とは、被害者との間で交わす合意であって、謝罪をしたことや被害弁償の約束などを内容とするものです。
具体的な内容は事件によって異なるものであり、被害者が加害者に対する処罰を望まない旨や、今後被害者が加害者に接触してはならない旨などが合意されることもあります。

ある事件が警察などの介入で刑事事件として扱われた場合、示談の効力の発揮が期待できる場面は主に以下の2つが挙げられます。

1つ目の場面は、検察官が事件を起訴するか不起訴にするか決めるときです。
刑事事件においては、必要な捜査がひととおり行われたあと、検察官が事件を裁判にかけるかどうか決定することになります。
その際、示談の成否は重大な考慮要素の一つとされるのが通例であり、もし示談が成立していれば不起訴となる可能性は変わってきます。

2つ目の場面は、裁判官が刑罰の重さをどの程度にするか決めるときです。
検察官が事件を起訴すると、その事件については裁判が行われることになります。
裁判では、犯罪の内容のみならず犯罪後の対応や更生の可能性なども考慮され、示談についても当然のように考慮要素の一つとされています。
示談の成立が考慮されれば、刑の減軽が見込まれ、執行猶予となる可能性も高まるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、示談の締結をはじめとする的確な弁護活動を行います。
強要罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

強盗事件を起こして逮捕されてしまったら

2019-12-02

強盗事件を起こして逮捕されてしまったら

~強盗事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~

~ケース~

名古屋市千種区で一人暮らしをしている大学3年生のAさんは自分の娯楽の為,両親に内緒で消費者金融から借り入れをしていた。
しかし,Aさんは返済日に返済用の現金を用意できず,近所の店で強盗をし現金を奪おうと考えた。
Aさんは犯行当日,包丁を持参しV店に押し入り従業員Xさんに包丁を突きつけ現金を出すように要求した。
しかしXはこれに応じず,緊急通報システムによって駆けつけた愛知県千種警察署の警察官によってAさんは強盗罪の疑いで逮捕された。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を依頼した。
(フィクションです)

~強盗罪~

強盗罪は刑法236条に規定されています。

刑法236条
1.暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪のいう暴行又は脅迫は相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強さが必要です。
強盗の際の暴行・脅迫が反抗を抑圧するに足りる程度であったかどうかは客観的な基準によって判断されます。
今回のAさんのように包丁を突きつけるという行為は反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫となりますのでAさんの行為は強盗罪に該当するといえるでしょう。

しかし,Aさんは強盗を試みたものの,Xさんが要求に応じずお金を奪う事はできませんでした。
強盗罪お金などの財物を奪った時点で既遂となりますので,お金などを奪えなかった場合には強盗未遂罪にとどまります(刑法243条)。
そのため,Aさんには強盗未遂罪が成立することになります。
なお未遂の場合は,「その刑を減軽することができる」と定められています(刑法43条)。

~刑事手続き~

今回のAさんの場合,一人暮らしであるという事情から逮捕後に検察官の請求により勾留されてしまう可能性が高いでしょう。
一人暮らしであるという事情から逃亡のおそれが高い,また近所の店に押し入っての強盗ですから被害者等への接触といった証拠隠滅のおそれも高いと判断されてしまうおそれがあります。
勾留の期間は勾留請求の日から10日間で,勾留満期の時点で検察官は被疑者を起訴するかどうかを決めなければなりません。
事件が複雑である場合など,10日間では起訴または不起訴の決定が困難な場合には検察官の請求により,裁判官は10日間を限度に勾留期間を延長することができます。

刑事訴訟法では,逮捕後,被疑者を検察官に48時間以内に送致し,送致を受けた検察官は24時間以内に被疑者の勾留を請求するか釈放するかを決定しなければならないとされています。
そのため,単純計算で起訴されるまでに最長で23日間身柄拘束されてしまうことになります。
その間が警察署の留置場などで生活することになりますので,当然大学へ通ったりアルバイトなどに行くこともできません。
そうなってしまうと出席日数が不足してしまったりアルバイトを解雇されてしまう可能性も高いでしょう。
したがって,勾留はできるだけ回避する必要があります。

~弁護活動~

今回のケースではまずAさんが勾留されないように活動していくことになるでしょう。
未遂罪とはいえ,強盗罪は重大事件ですので勾留されてしまう可能性は高いでしょう。
しかし,両親が身元引受人になり同居などによって監督を約束,警察などの出頭要請には必ず従うといったことを約束すれば裁判官が検察官による勾留請求を棄却する可能性はあります。
勾留請求が認められてしまった場合には勾留に対する準抗告をすることによって,それが認められれば釈放となる場合もあります。

強盗罪は5年以上の有期懲役というかなり重い刑罰が規定されています。
強盗罪には罰金刑が定められていないので起訴されてしまった場合には刑事裁判を受けることになります。
今回,Aさんの起こした強盗未遂事件は事件の内容がそこまで重いものではないとも思われます。
しかし,未遂であり刑の減軽がされたとしても刑事裁判の結果は執行猶予付きの懲役という判決になるでしょう。
今回のような事案では,被害店舗や被害者の方と示談交渉をし,加害者を許すという宥恕条項を盛り込んだ示談を成立させることができれば検察官は事件を不起訴とする可能性が高くなります。
しかし,示談を使用と思っても被害者の方は恐怖心や不信感などから加害者本人との示談に応じることは少ないと思われます。
弁護士が代理人として示談をするという場合であれば被害者の方も安心して示談に応じて頂ける可能性が高くなります。
強盗未遂罪であっても示談によって不起訴となった事例は多くあります。

ご家族の方が強盗事件を起こしてしまいお困りの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の弁護士にご相談下さい。
事務所での無料法律相談のご予約,初回接見サービスのお申し込みを0120-631-881にて24時間年中無休で受け付けております。

公務執行妨害罪で逮捕されたら

2019-11-28

公務執行妨害罪で逮捕されたら

~公務執行妨害罪で逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~

~ケース~

深夜に犬山市内の繁華街で友人と遊んでいたAさんは、別件で捜査活動中の愛知県警察犬山警察署の警察官Vに声を掛けられた。
警察官は私服姿で強面であったことから、AさんはVさんを警察官だと思わず、その場から逃げるためにVさんを手で押し、そのまま立ち去ろうとした。
死に貯め、Aさんはその場で公務執行妨害罪の容疑で逮捕された。
Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの家族は、少しでも早く釈放して欲しいと、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士に初回接見を依頼した。
(フィクションです)

~公務員だという認識が無かった場合~

公務執行妨害罪は刑法95条1項において「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」と規定されています。

ここでいう職務とは、適法なものであることを要します。
仮に、違法な職務まで保護するとすれば、国民の権利・自由が不当に侵害され、必要以上に公務員そのものの身分又は地位を保護する結果となりかねないためです。

今回の場合、警察官は警ら中ですので、適法な職務といえます。
また、Aさんは公務員のVさんを手で押しているので、暴行になり公務執行妨害罪としての要件は満たされます。

ただし、上記のケースにおいて、AさんはVさんを警察官だとは思っていませんでした。
公務執行妨害罪が成立するには、今回の場合であれば「警察官が職務執行をしている」という認識がAさんには欠けているため、公務執行妨害罪が成立しない可能性があります。(もちろん、暴行罪が成立する可能性はあります)

今回のケースのように、公務執行妨害罪の成否を争うケースでは、弁護士によるサポートが必要となるケースが多いです。
そのため、早い段階で刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

~早期釈放に向けた弁護活動~

上記のケースのように、公務執行妨害罪にはあたらないことを主張し、早期身柄解放を目指すためには弁護士のサポートが必要となります。
というのも、逮捕後勾留される前であれば、検察官に対して勾留請求をしないように働きかけることが出来ます。
そして、検察官が勾留請求をしてしまった場合には、弁護士は裁判官に勾留を認めさせないように意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
さらに、裁判官が勾留決定を出して場合には、準抗告と言う異議申し立てを裁判所に対して行い、勾留決定を取り消すよう求めていくことが可能です。
実際、準抗告が認容されるケースよりも、勾留請求をされない、あるいは勾留請求が却下されることで釈放されるケースの方が多いです。
したがって、出来る限り早い段階で弁護士に身柄解放活動に動いてもらうことが重要になります。

ご家族が公務執行妨害罪で逮されてお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士にご相談下さい。

初回無料法律相談のご予約や、初回接見サービスのお申し込みは、24時間いつでも可能です(0120‐631‐881)。
初回接見サービスや初回無料相談に関してご不明点がありましたら、相談予約担当の者がお答えさせて頂きますので、まずはお気軽にお電話下さい。

名誉毀損罪や侮辱罪で告訴されたら

2019-11-23

名誉毀損罪や侮辱罪で告訴されたら

~名誉毀損罪や侮辱罪で告訴について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~

~ケース~

名古屋市中村区在住の大学3年生のAさんは交際していたVさんと別れた後,SNSにVさんを誹謗中傷する内容を投稿した。
書き込みを発見したVさんはAさんに対して投稿をやめて当該投稿を削除するように要請した。
しかしAさんはVさんからの要請を無視し,継続的にVさんを誹謗中傷する内容を投稿した。
そのため,VさんはAさんを刑事告訴し,Aさんは名誉毀損罪および侮辱罪の疑いで愛知県警察中村警察署で事情を聞かれることになった。
前科が付くことを避けたいAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の無料法律相談を利用した。
(フィクションです)

~侮辱罪と名誉毀損罪~

名誉毀損罪は刑法230条,侮辱罪は刑法231条に規定されており条文は以下の通りになっています。

刑法230条(名誉毀損)
1.公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法231条(侮辱)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

ある行為が名誉毀損罪となるか侮辱罪となるかは「事実の適示」が存在するかどうかによって異なります。
ここでいう「事実」とは日常生活で使われる「事実」とは若干意味が異なります。
「事実」とは実際に存在しうる事柄という程度の意味で,内容が虚偽である必要はありません。
例えば「Xが留年した」という内容はXが実際に留年していたかどうかに関わらず「事実」として扱われ,「Xが留年した」という事実の適示によってXの名誉が毀損された場合には名誉毀損罪が成立することになります。
一方で,「Xはアホだ」というような場合は「事実の適示」ではないので侮辱罪に留まると考えられます。
なお,SNSなど不特定多数の人が閲覧できる場所に投稿することは「公然と・・・した」といえるでしょう。

~侮辱罪や名誉毀損罪に問われたら~

Aさんの投稿が具体的な事実を適示した誹謗中傷なのか,単なる罵詈雑言,すなわち事実を適示しない誹謗中傷なのかで成立する犯罪が変わります。
侮辱罪の場合,法定刑が拘留または科料と刑罰の中で最も軽いものが規定されていますが,名誉毀損罪の場合には3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金となっています。
他の犯罪との併合罪でなければ侮辱罪名誉毀損罪の実際の刑罰としては,科料もしくは罰金刑が選択されることがほとんどでしょう。
なお,市議会議員がスナックの女性客に何度も『デブ』と侮辱した事件では拘留29日の判決が言い渡されましたが,これは市議会議員という社会的立場が考慮された判決と考えられます。
また,名誉毀損罪侮辱罪は親告罪となっていますので,被害者の告訴がなければ検察官は公訴を提起できません。
そのため,名誉毀損罪や侮辱罪にあたる行為を行ってしまったとしても、実際には刑事告訴そのものが行われず刑事事件化しないことも多いでしょう。
一方,告訴が受理されて事件化した場合には基本的に科料や罰金刑となりますので前科となってしまいます。

しかし,親告罪ですので刑事事件化した場合でも被害者の方と示談などをまとめ,告訴の取下げをしてもらえれば公訴の提起ができなくなりますので前科が付くこともなくなります。
侮辱罪名誉毀損罪の場合,刑事告訴の前に被害者の方から当該行為を止めるように要請されることが多いです。
そのため,当該行為をやめることおよび慰謝料を支払う事によって示談を成立させられる場合が多くなっています。
示談を成立させる際に,告訴の取下げを約束してもらうことで前科が付くことはなくなります。

軽い気持ちでSNSなどに投稿した内容が名誉毀損罪や侮辱罪として刑事告訴されてしまう場合もあります。
そのような場合には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部,フリーダイアル0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事件の見通しや示談の可能性など,刑事事件の専門の弁護士が無料で相談させていただきます。

食品衛生法違反で故意否認なら

2019-11-22

食品衛生法違反で故意否認なら

~食品衛生法違反で故意否認について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~

~ケース~

名古屋市北区で小料理屋を営んでいるAさんは,常連客に市場にあまり流通しない珍しい魚を提供することで有名であった。
ある日,Aさんが魚市場で珍しい魚はないかと漁師Xに尋ねたところ,「脂の乗った美味しい魚がある」と言われ刺身を一切れ試食した。
大トロのような脂の乗った刺身で美味であったため,Aさんは鮪の一種であると思い,この魚を漁師Xから購入し持ち帰った。
後日,Aさんは自身の料理屋で常連に対し購入した魚の刺身を提供した。
ところが,刺身を食べた常連客が健康被害を保健所に訴え,Aさんは食品衛生法違反の疑いで事情を聞かれることになった。
この魚は実はアブラソコムツという魚であり,食品衛生法で販売が禁止されている魚であった。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)

~アブラソコムツ~

アブラソコムツは食べると非常に美味であると言われています。
しかし実はこの魚には人の身体では消化できない脂を含んでおり,ほんの少量であれば問題ない場合もありますが,食べてしまうと消化できなかった脂がお尻から垂れ流しになってしまいます。

そのため,アブラソコムツおよびバラムツは厚生省の通達により食品衛生法6条2項のいう有害な物質が含まれる食品にあたるとされています
そして、アブラソムコツおよびバラムツを販売することは食品衛生法第6条2項によって禁止されており,罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金となっています(同法71条)。

~故意と錯誤~

刑法38条1項は「罪を犯す意思がない行為は,罰しない。」と規定されています。
ただし,法律の不知,すなわち罪になると知らなかった場合には,罪を犯す意思がなかったとはいえないとされています(同条3項)。
罪を犯す意思,すなわち犯罪を犯す故意がない場合には罰せられないという規定であり,Aさんはアブラソコムツであると認識していなかったのでAさんに故意があったといえるのかが問題となります。

このような事実の錯誤の有名な事件として「たぬき・むじな事件」と「むささび・もま事件」があります。
たぬき,むささびは両者とも捕獲が禁止されているところ,たぬきを「むじな」であると認識して捕獲した事件,むささびを「もま」であると認識して捕獲した事件です。
前者は故意がないとして無罪,後者は単なる法律の不知であると有罪との判断が下されました。
前者は,当時(100年程前です),「むじな」はたぬきとは別の動物であるという認識が一般的であり,当事者も「むじな」という動物であるという確信的な認識でたぬきを捕獲したのであり,「たぬきを捕獲する」という故意があったとは言えないという判断が下されました。
一方後者は,「もま」は単なるむささびの方言であり,「もま=むささびであることを知らなかっただけ」で違法であることを知らない,すなわち単なる法律の不知に過ぎないと判断されました。

~Aさんの場合~

今回のケースでAさんはアブラソコムツをマグロの一種であると誤認して客に提供しています。
そのため,たぬき・むじな事件のように故意がなかったとして無罪となるか,むささび・もま事件のように単なる法律の不知にすぎないと判断されるかが問題です。
ところで,アブラソコムツおよびバラムツは海釣りで釣った魚を食べる愛好家の間では“美味しいが食べてはいけない魚”として有名なようです。
Aさんは単に提供した魚がアブラソコムツであるということを知らなかっただけですので,販売が禁止されていることを知らなかったに過ぎない,すなわち単なる法律の不知であると判断される可能性が非常に高いです。
また,Aさんは食品を客に提供する立場ですので,食品衛生法3条により食品の安全確認の努力義務が課せられています。
したがって,Aさんに故意がなかったと主張するのは難しそうです。
ただし,刑法38条3項では、「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる」とも定められています。
今回のケースでは,Aさんは自分には(一切れしか食べなかったので)症状がでなかったため安全な魚であると思い込んだといった事情などを情状として主張することになるでしょう。

「罪になると思わなかった行為」が単なる法律の不知なのか,実際に故意がなかったとして罰せられないかは事情によって異なります。
どちらの場合でも取調べの内容によって故意があったと認められたり,認識があったと判断されてしまう可能性があります。
「罪になると思わなかった行為」によって逮捕されてしまったり,警察から事情を聞かれることになった場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事件の見通しや取調べの対応などの無料相談,警察署での初回接見のご予約を24時間365日受け付けています。

嘘の予約で偽計業務妨害罪に?

2019-11-18

嘘の予約で偽計業務妨害罪に?

~嘘の予約で偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~

~ケース~

大学生のAさんはサークルの幹事をしておりサークルでの飲み会に利用する居酒屋の予約などを担当していた。
ある日,Aさんはサークルの飲み会にV店を予約した。
ところが,前日になりV店よりも安くおいしいと評判のX店を知り合いから教えてもらいX店に電話したところ予約が可能であった。
そのため,Aさんは飲み会をX店で行うことにし,V店にはキャンセルの連絡などを特に入れなかった。

その後,Aさんはインターネットで「嘘予約で偽計業務妨害罪で男性を逮捕」というニュースを目にし,自分も逮捕されてしまうのではないかと不安になり弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の無料法律相談を利用した。
(ニュースを基にしたフィクションです)

~嘘の予約が偽計業務妨害に~

先日,居酒屋に偽名を使って嘘の予約を繰り返していた59歳の男性が逮捕されたというニュースがありました。
被疑罪名は偽計業務妨害罪(刑法233条)となっていました。

第233条 偽計業務妨害罪
虚偽の風説を流布し,又は偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

偽計とは,人を欺罔し,あるいは人の錯誤または不知を利用することをいい,詐欺罪における欺罔行為よりもゆるやかな概念です。
偽計の範囲は裁判例によって次第に拡張されており,非公然と行われる妨害行為全般も偽計とみなされることが多いようです。

~無断キャンセルは偽計業務妨害になるのか~

今回のケースでAさんが不安に思っている無断キャンセルが偽計業務妨害罪になるのかという疑問ですが,単なる無断キャンセルの場合には偽計業務妨害罪とはなりません。
予約は基本的に民事上の契約関係が発生するにすぎませんので,無断キャンセルをする(=料金を支払わない)ことは単に代金支払い債務の不履行となるにすぎません。
そのため,民事上は店側から代金の支払い請求をされる場合もありますが,原則として偽計業務妨害罪とはなりません。

~偽計業務妨害となる場合~

刑法は故意処罰が原則ですので,最初から偽計により業務を妨害する故意があったと認められれば偽計業務妨害罪は成立します。
上記事例の基となったニュースでは,偽名を用いて予約をしている上,そもそも店舗を利用する予定などもなく,前日の確認に対しても変更がないと答えていることなどから偽計業務妨害罪の故意があったと認められたのでしょう。

すなわち,初めから店を利用するつもりがなく,いたずらや嫌がらせ目的で嘘の予約をした場合に偽計業務妨害罪罪は成立するといえます。
ただし,数件予約をブッキングしており,実際に利用した店舗以外を無断キャンセルしたという場合には偽計業務妨害罪の故意が認められる余地はありますので注意が必要です。

~偽計業務妨害罪における弁護活動~

偽計業務妨害罪は非申告罪ですので被害店舗などからの告訴がなくても検察官は事件を起訴することが可能です。
しかし,事件そのものは被害店舗からの被害届や告訴などで発覚するケースがほとんどでしょう。
キャンセル料などをきちんと支払えば刑事事件化することはありませんので,この段階では弁護士の出番はないでしょう。

問題となるのは,被害届などが出され刑事事件化された場合です。
起訴された場合には、件数にもよりますが罰金もしくは執行猶予付きの懲役判決となるでしょう。
また,被害が1件のみというような場合には刑事裁判を開かず罰金を納める略式手続きとなることもあります。
ただし,罰金や執行猶予であっても前科となりますので可能であれば不起訴処分となるように弁護活動をしていきます。
初犯であれば、被害店舗と示談が成立すれば不起訴となる可能性は非常に高くなります。
しかし,店舗が被害者の場合,経理の関係上,示談を受けてもらえないことも多いです。
そのような場合でも少なくとも被害弁償をすることで検察官が不起訴の考慮事項とすることもあります。
また,刑事事件化してしまった後に自身で被害弁償等を申し出ても受け付けてもらえない可能性も高いです。
弁護士であれば店舗に示談や被害弁償の話を受け付けて貰える可能性が高くなります。
もし偽計業務妨害罪として刑事事件化してしまった場合には早めに弁護士に相談されることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部刑事事件専門の法律事務所です。
予約の無断キャンセルで偽計業務妨害になってしまったという場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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スカウト行為で職業安定法違反に問われたら

2019-10-23

スカウト行為で職業安定法違反に問われたら

~スカウト行為で職業安定法違反について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説~

~ケース~

岩倉市在住のAさんは、岩倉市内の駅周辺で道行く女性に「風俗の仕事はどうか」などと声を掛け、ソープランドで働くようスカウトをしていた。
Aさんは仲間らと共に、愛知県内の105の風俗店に過去2年間に渡り計約300人を紹介し、風俗店から毎月総額1000万円の紹介料を得ていた。
ある日、Aさんらがいつも通り岩倉市内の駅でスカウト行為をしていたところ、愛知県警察江南警察署の警察官により職業安定法違反の容疑で逮捕された。
Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの両親は、少しでも早いAさんの釈放を願い、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士に相談をすることにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~職業安定法違反と愛知県迷惑行為防止条例違反~

愛知県では、愛知県迷惑行為防止条例違反職業安定法違反において風俗店等へのスカウト行為を規制しています。

・愛知県迷惑行為防止条例違反

第7条 何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
六 人の性的好奇心をそそる見せ物に出演する役務、人の性的好奇心をそそる写真若しくは映像の被写体となる役務又は人の性的好奇心に応じて人に接触する役務に従事する者となるように、勧誘し、又は人に呼び掛けて、若しくはビラ等を配布して、若しくは提示して誘引すること。
七 歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなす役務(卑わい行為を伴うものを含む。以下同じ。)に従事する者となるように、勧誘し、又は当該役務(卑わい行為を伴うものに限る。)に従事する者となるように、人に呼び掛けて、若しくはビラ等を配布して、若しくは提示して誘引すること。

愛知県迷惑行為防止条例では、駅や路上といった公共の場所でスカウト行為をすることを禁止しています。
そして、スカウト行為が禁止されている「役務」の内容も明示されています。
したがって、この役務に当たらない業務のスカウト行為あるいは公共の場所以外でのスカウト行為愛知県迷惑行為防止条例違反には当たりません。

・職業安定法

第63条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
2号 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

職業安定法では「有害な業務」へのスカウト行為が禁止されています。
この有害業務の判断は個々の事件によって検討が必要となりますが、過去の判例ではAV撮影や風俗営業などが有害業務に当たるとされています。
Aさんらは女性をスカウトし、ソープランドに紹介していますが、ソープランドは、風営法2条6項1号が規定する店舗型性風俗特殊営業です。

・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

第2条6項 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1号 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業

また、風俗営業には該当しなかったとしても、「社会一般の通常の倫理観念の保持にも多大な悪影響を与えた」といえる場合などには有害業務に当たると判断されたものもあります(神戸地方裁判所平成14年7月16日判決)。

~弁護活動~

上記のケースにおいて、Aさんの家族は一刻も早くAさんを釈放してあげたいと考えています。
早期身柄解放を目指すためには、弁護士のサポートがとても重要となります。
弁護士による身柄解放活動としては、勾留される前であれば、検察官に対して勾留請求をしないように働きかけることが出来ます。
そして、検察官が勾留請求をしてしまった場合には、弁護士は裁判官に勾留を認めさせないように意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
さらに、裁判官が勾留決定を出して場合には、準抗告と言う異議申し立てを裁判所に対して行い、勾留決定を取り消すよう求めていくことが可能です。

早期に釈放することができれば、被疑者は自宅に戻ることができるようになるため、取調べなどの捜査や起訴されてしまった場合の裁判に向けて十分な準備をすることができるようになりますし、被害者がいる事件では時間的に余裕を持って示談交渉を進めることが可能となります。
その為、早期釈放を目指す方は、刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士刑事事件の弁護活動に強く、これまで多くの事件で早期身柄解放に向けた弁護活動を行ってきましたので、安心してご相談ください。
職業安定法違反で逮捕されてお困りの方、早期釈放を目指す方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士にご相談ください。

恩赦について弁護士に相談

2019-10-22

恩赦について弁護士に相談

~恩赦について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説~

去る10月22日,即位正殿の儀が執り行われました。
台風19号による被害の為,祝賀パレードは11月10日に延期となりました。
今回の即位正殿の儀に伴い「恩赦はあるのか」というニュースを耳にした方も多いと思います。
恩赦という言葉を聞いたことがある方でも具体的にどういった制度なのかご存知でない方も多いでしょう。
今回は恩赦制度について説明していきたいと思います。

~恩赦とは~

まず言葉の字面から意味を考えますと,恩+赦という2文字の組み合わせとなります。
この「恩」は「御恩と奉公」の恩と同じ意味であり「社会的地位が上の者から与えられる物」というような意味になります。
「赦」は訓読みをすると赦(ゆる)すとなり,許すと原則的に同じ意味ですが特に罪などの過ちの場合に使用されます。
つまり恩赦とは上の者から与えられる赦しという事になります。
法務省は恩赦の定義として行政権によって「国の刑罰権を消滅,裁判の内容を変更,裁判の効力を変更若しくは消滅させること」の4つとしています。
恩赦の具体的な手続きなどは恩赦法で決まっており,恩赦は端的に以下の5つに分類されます。

1.特定の罪に問われている人全員が無罪となる「大赦」
2.特定の人が無罪になる「特赦」
3.死刑を無期懲役にするといった「減刑」
4.執行猶予中を除く刑の執行の免除
5.有罪により失った資格を回復させる「復権」

~恩赦の実施~

恩赦は国の慶事にの際に実施されることが多いです。
戦後では,第二次世界大戦終局,日本国憲法公布,サンフランシスコ講和条約発効,皇太子(現:上皇殿下)立太子礼,国連加盟,皇太子(現:上皇殿下)成婚,明治百年,沖縄返還,昭和天皇の崩御,上皇様天皇ご即位の際に恩赦が行われました。

戦時中の治安維持法等で有罪になった方が戦後の恩赦における大赦によって救済されました。
また,昭和天皇崩御の際に実施された恩赦では,減刑に期待し上訴を行わなかった結果,減刑がされずに死刑判決が確定したという事件もあります。

恩赦には不特定多数のを一律に対象とする「政令恩赦」と個別に判断された者に対する「個別恩赦」に分けられます。
また,国家の慶事などに一定期間に限って実施される「特別基準恩赦」と日常的に行われる「常時恩赦」があります。

恩赦は必要ないという意見もありますが,社会や時代の変化によって犯罪とされていた行為が処罰の必要がないと考えられるようになった場合や,冤罪の疑いがある場合などの救済として恩赦制度は必要でしょう。
先述の治安維持法などは事後的な救済が必要な事例でしょう。
近年では,外国人が登録の際に指紋押捺を拒否した場合に刑事罰が科せられていましたが後に刑事罰の規定は削除され,その後行われた恩赦で,指紋押捺拒否による罪は恩赦の対象となり救済されました。

~令和の恩赦~

今回の恩赦は罰金の納付から3年が経過した人を対象に免許の取得制限された人などが免許を取得できるように救済する復権が大半です。
「免許」と聞くと自動車運転免許を思い浮かべる方が多いと思いわれますが,医師免許などの国家資格が対象となっています。
運転免許の取消しや欠格期間は「刑事罰」ではなく「行政罰」ですのでそもそも恩赦の対象外となります。
そのため,飲酒運転,交通時等で免許が取り消され欠格期間となっている人が運転免許を取得できるということはありませんので注意が必要です。
今回の恩赦は対象者が約55万人といわれています。
対象者に対して個別に通知などはされないので個人で恩赦の対象となっているかを確認する必要があります。
また,受刑者らから出願を受けて行われる「個別恩赦」のうち,重い病気などで回復の見込みが低く,刑の執行が難しい受刑者や刑の執行が長期間停止されている高齢の受刑者らを対象に「特別基準恩赦」も実施されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件を起こしてしまい不安な方や不明な事がある方は0120-631-881までご連絡ください。
事務所での無料法律相談のご予約や警察署などでの初回接見のご予約を365日24時間受け付けています。

正当防衛で無罪主張なら

2019-10-21

正当防衛で無罪主張なら

~正当防衛で無罪主張について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説~

~ケース~

北名古屋市内の会社に勤めるAさんと同僚のVさんは、北名古屋市内の居酒屋で飲んでいた際、ちょっとしたことから口論になった。
そして、Aさんは「早くかかって来い」とVさんを挑発した。
腹を立てたVさんがAさんに殴りかかったが、AさんはこれをかわしてVさんの顔面を殴ったため、Vさんは顔に全治1週間の怪我を負った。
後日、Vさんから被害の申告を受けた愛知県警察西枇杷島警察署は、Aさんに後日警察署に来るよう出頭要請をした。
Aさんは、最初に殴りかかってきたのはVさんなのに自分が捜査を受けるのはおかしいと思い、何とか無罪を主張出来ないかと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士に無料相談をしに行った。
(フィクションです)

~正当防衛~

正当防衛については、刑法第36条1項において、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定されています。
上記のケースでは、AさんはVさんから殴られそうになったため反撃をしています。
その為、例え反撃をした結果としてVさんに傷害を負わせていたとしても、正当防衛が成立し傷害罪に問われ処分を受けることは無いように思われます。
ただし、上記のケースでは、AさんはVさんを挑発しており、その結果VさんがAさんに殴りかかっています。
Aさんが挑発することによって誘発された急迫不正の侵害に対しての反撃行為にも正当防衛が認められるかどうかが問題になります。
ちなみに、防衛者が自ら不正の侵害を招いて正当防衛の状況を作り出す場合は「自招侵害」と呼ばれます。

この点、判例では挑発の態様から「反撃行為に出るのが相当ではない」として正当防衛の成立を否定したものもあります。
したがって、上記のようなケースで正当防衛を主張するためには、挑発がどの程度のものだったのか、反撃した状況はどうだったのか等、事件当時の状況が重要になります。

~正当防衛成立に向けた弁護活動~

傷害罪などの刑事事件正当防衛の成立を主張するうえで、まず重要となるのが、捜査機関からの取調べにおける供述内容です。
というのも、取調べにおいて話す内容によっては被疑者に積極的加害意思があったという内容の調書にされてしまったりすることもあります。
そうなってしまうと、その後正当防衛を主張していくうえで、取調べで話した内容が大きな足かせになってしまうことも有ります。

また、捜査機関からの圧力に負けてしまい、嘘の自白をしてしまうと、それをもとに起訴されたり、公判で有罪認定の有力な証拠となることがあります。
さらに、後から自白を覆すことは困難なことが多く、また自白を覆すことが出来たとしても何度も供述が変わっているとして、被疑者・被告人の供述の信憑性に疑いを持たれることになりかねません。

したがって、刑事事件正当防衛を主張したいとお考えの場合は、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
取り調べでの供述内容や、受け答えの仕方についてアドバイスを受けるだけでも、嘘の自白をしてしまった、本意ではない内容の供述調書を取られてしまうリスクを軽減することが出来ます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士は、日頃刑事事件のみを受任しております。
そのため、正当防衛の主張など、刑事事件に関することであれば安心してご相談下さい。
北名古屋市で傷害罪に問われてお困りの方、正当防衛を主張したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部弁護士にご相談ください。

初回無料法律相談のご予約や、初回接見サービスのお申し込みは、24時間いつでも可能です(0120‐631‐881)。
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